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「#居酒屋新幹線2」と実用ドラマの可能性

眞島秀和主演の第2シーズンが始まりました。第1シーズンは東北新幹線が舞台でしたが、今回は3月に上越・北陸新幹線が福井まで延伸するのを見据えた話になっています。第1回目が金沢、第2回目が福井でした。

基本的には、隠れた名品の紹介、つまり定番の商品の脇にあったり、地元以外では知られていない商品を視聴者に知らせることが目的です。リポーター役があちこち歩き回る代わりに、主人公を設定して、そこに商品情報を集約していくわけです。そうした場合に、実用本位の「薄いドラマ」をどのように成立させるのかが成功の鍵でしょう。

「薄いドラマ」はコントに近いので、圧縮が必要です。高宮進が、損保会社の監査の仕事で、日帰り出張となり、帰りの新幹線で「居酒屋」を楽しむという設定が物語の反復を用意してくれます。毎回同じようだけど、毎回違うわけです。それが安心して観ていられる基盤となります。

久住昌之の「孤独のグルメ」は、食事のメニューの選択と逡巡を「内面の声」として描き出していましたが、「居酒屋新幹線」が、自問自答だけではなく、内面の声の代わりに、SNSで複数のツッコミやうんちくが入るというのがなかなか上手な点だと思えます。彼らはおそらく最後まで顔を出さず、高宮の人生と交差しないキャラクターなので、安心して情報提供できるわけです。

第1シーズンでは、高宮の妻や二人の娘をめぐる話が薄いドラマをつくっていました。家族も顔を出さないのが良かったわけです。それによって、薄いドラマを抱えつつ、小さな葛藤が起きても、エピソード内で解決できる程度のものであり、それが次回に出張を繰り返すという反復を不自然に感じさせないのでしょう。東京に到着する頃には宴が終了しいるというフォーマットがいいわけです。

第2シーズンでは、第1話が金沢支社の男、第2話が単身赴任している台湾人デザイナーと絡めるという趣向を取り入れています。エピソードによっては、クドくなる危険もあるので、このあたりのさじ加減が第2シーズンの難しさに思えます。





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