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日本人製作家 ヴィオラ展示会(2024.2)

今年は年初から日本での惨事が続いたので、ブログネタはあれど書く気力がなくなっていましたがようやく書く気力が戻ってきました。本年のはじめはやはりこの展示会ですよね。毎年楽しみにしております。
https://www.kma.co.jp/live_event/info/live_event-33015/

去年、鈴木恒平さんのヴィオラを購入してそれなり練習もしてきたので、ヴィオラの音に関してわかるようになってきたのですが、びっくりしたのは私が良いなあと感じたヴィオラがプロの方からも選ばれたこと。弾く人と聴く人、製作者では基準は随分と違うのだと思うのだけれども。弾く人基準は似たような感じになるのかな。で選択されたのが以下の楽器。

初日の選者は二宮隆行さん(読売交響楽団)

初日の4台を選択

眞鍋清美ヴィオラ
410サイズで左肩が抉れているのが特徴のヴィオラ。この工夫のおかげで高音域が弾きやすくなっている。残念ながら眞鍋さんの遺作となってしまった。セットアップは篠崎さん他の同志メンバーでおこなったとのこと。
私はこのヴィオラを弾きこなすことができなかったけども、二宮さんはみごとに弾きこなしておりました。チェロよりの太い音が特徴かな。

村川タクトヴィオラ
肩が張っているタイプだが弾きやすい。396の小柄なタイプだがよく鳴っている。なかなかこの大きさではこの音が出せない(二宮)。

翌日の選者は村上淳一郎さん(N響主席)、原田友一さん長石篤志さん、生野正樹さん。それぞれ以下のヴィオラを選択。

2日目の4台選択

この中で選ぶとしたら、私は平塚兼一さん、江畑正一さんのヴィオラになりますかね。平塚さんは今回、初めて会ったのですが、かなり研究熱心というか究極を追い求めている仙人のような風貌の職人さんです。2台のヴィオラが評価されたのですがこちらの楽器がよかったですね。音が遠くまで届いており輝きがあったし、2日前に完成したと思えない素晴らしい鳴りっぷり。

これでも未完成とは驚きの平塚ヴィオラ 製作者はご不満のようでしたが音量と音質が素晴らしい。どこが悪いんだろうとみんな不思議に思っていましたよ。

江畑正一さんの楽器は、ヴィオラの楽器として弱点となる音域部分がなく均整がとれているので、無理なく音が出せるという感じですね。反応が素直でどんな曲でも合いそう。楽器そのものの精度をとるのであればこちらかな。音大生とかはこうした楽器は自分色に染めることができるのでよいかも。

正確無比の江畑ヴィオラ 楽器の完成度が高い

高橋尚也さんの楽器は、密度が高いよく通る音で、清流、大河のもはや四万十川サウンドと名付けてよいのではないかな。高橋さんの楽器は強力な個性がありますね。前回出されていた楽器もそのような感じでしたが、村上さんはもう少し広がりのある音にしたらとアドバイスされたようなのです。よって今回は広がりも持たせていますね。ニスの仕上げも非常に美しいです。

四万十川サウンドの高橋ヴィオラ

木村哲也さんのヴィオラは相変わらず渋く新作なのにオールドのような音。製作者いわく音量は上手い人が弾けばどうとでもなるので、音質にこだわったつくりにしているとのこと。画家がいろいろな色を使うように。まさにその通りですね。新作ヴィオラは圧力をかけると反発してくるのだが、このヴィオラは圧力をかけても反発されることはなくそのままいい音で鳴る。『いい意味での暖簾に腕押し』のようなヴィオラという表現で笑いをさそっていました。

オールド風格の木村ヴィオラ

今回、個人的に嬉しかったのは鎌田智史さんの弓が評価されたことかな。二宮さんが高く評価されておられました。ヴィオラ弓のいいものはたぶんお店ではなかなか見つからないでしょうからね。あればすぐに買われてしまうということもありますが、こうした展示会で見つけるのが近道ですね。なければオーダーするという考えもあります。

鎌田弓 3本ともバランスを変えている


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