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弓がメエメエいっている

本日、文京楽器さんに久しぶりに行ってみた。お目当ては毛替え。なんとシベリア産上級が2割引。カナダ産が品薄のため急遽の処置らしい。こんなチャンスは滅多にないので2本毛替えしましたよ。
弦楽器をやっていないとわからないと思うんですけど、毛替えは大事ですよね。海外の演奏家もわざわざ日本の弦楽器店に来て毛替えする人もいるようで、日本の職人さんはかなり腕がいいらしいです。私の贔屓にしている岡本さんなんか当日ではなかなか予約取れないみたいですけど、文京楽器さんで弓を買ったということもあってか優先していただいて本日中に飛び込みで2本やってもらいました。それと弓の革巻きに穴が空いてきたのでそれも交換してもらいました。私の弓はトカゲだと思っていたのですが、何と『ヤギ』さんだったのですね。これにはびっくり。牛皮とトカゲのどちらかだと思っていたのですが、「ヤギ」さんらしいです。

大瀬国隆氏作のトルテ弓(トルテ弓はフロッグと弓の間のレールがないのが特徴)

『弓がメエメエいっている』
  なんか山頭火みたいですね。
ちなみに文京楽器さんでは以下の馬毛があるようですが、

モンゴル (Mongolian hair)
カナダ (Canadian hair)
カナダ上質 (Selected Canadian hair)
シベリア上質 (High grade Siberian hair)
イタリア上質 (High grade Italian hair)
カスタム・ブレンディッド・ヘア (Custom blended hair)

いつもはカナダを使っていたのですが、岡本さんのご推薦でシベリア上質を使ってみたところかなり引っ掛かりもいいし音色も良し、心配していた耐久性もカナダ並みではないかという感じです。サイトで耐久性は★★★☆☆ですが、私の感覚だと★★★★☆ですね。モンゴルは★★☆☆☆だと思います。ちなみに値段の高い上質だから良いというわけではなく自分の演奏スタイルに合わせるというのが大事ですかね。特に初心者の場合は、引っ掛かりのよいモンゴルの方が良いです。上質だと滑ってしまうでしょうからね。

逆に、中級者以上の方はシベリア上質が2割引きなので、これはすごくいいので今のうちに試した方がよいかもです。

変わったところとしては最近流行っているカスタム・ブレンディッド・ヘア。プロの方はここまでこだわっておりますよね。黒毛なんてコントラバスでしかみたことがなかったんですが、ブレンドありなんですね。

なんとビオラ弓に黒毛を使っています

待ち時間中にビオラを見せていただいたのですが、文京さんのピグマリウスは良いパーツを使っていて、顎あてに何とフェルナンブコですか。表板も裏板も美しい。新作ということもあって少し重量的に重いかなと思いましたが音はしっかりなっていますね。

トルテの前に平伏すビオラたち

たくさんの弓(トルテ、ペカット、サルトリタイプ)を持ってきてもらってきて3台とも弾かせていただいたのですが弓が凄かった。値段の高い弓だとどのビオラも音量、音色もしっかり鳴らせるし、特に弱音で音がブレないのが、弓の貫禄というやつですかね。特にトルテタイプが鋼鉄のような強弓でガンガンならせるし、逆に弱音の表現力がありますし、飛ばしも楽にできますし音も良いしね。この弓で鳴らしている分には、価格の安い楽器でもぜんぜん問題ないかなと思いました。畏れ入り奉りました。バイオリン弓でここまで反則的な弓はないですね。

もしかしたらビオラは弓から入る方がよろしいのかな。
本体/弓の価格比:8対2と思ってましたが、5対5いや、2対8でも良いかなと。ちなみにバイオリンの場合だと、6対4くらいかなと思いますけども。

強弓は正義

それと前回の記事が間違ったことを書いたかもしれません。最新の2022年の新作もできの良いのはかなり鳴ります。不思議なことに弾いているうちにどんどんどんと音が成長していくのがわかって面白いです。なんか楽器が、楽しくメ〜メと歌っているような気がするのですよね。俺を買えという楽器側からの声が聞こえてくるんですよね。バイオリンでもそういう場合はあるんですが、ビオラの方がそういう主張をしてくる楽器が多いのですよね。特に新作4台を並べられたときに、次と次と自己主張してくるのは、荒川遊園でやぎさんに囲まれたような感じでしたね。

『メエメエと囲まれて困っている』
そんな感じの1日でした

4台ともに新作なのに自己主張が激しい楽器たち

●追記
 文京楽器の鈴木さんから以下の動画をぜひ紹介しておいてと言われましたので掲載しておきます。日本を代表するバイオリニストの三浦さんがアルシェ工房を訪れたときの動画とのこと。一流プロが弓や毛替えをどう感じているのかが描かれていて面白いです。

三浦さんの弓って大瀬さんの弓だったのか。私も持っているのでなんか嬉しいですね。

エピソード3まであるのですね。追加しておきます。

エピソード2は上級者の人に是非みてもらいたいですね。三浦さんがと大瀬さんが選んだ最高の材料3本の比較ですが、どれを三浦さんがどれを選ぶのか予測しながらみると面白いと思います。ちなみに私は一発で当てました。たぶん三浦さんと音の好みが一緒なんだと思います。なお、選んだ弓にさらにダメ出ししているところがすごいですね。こうして理想の弓が出来上がるのですね。

こちらはバイオリンの音響測定になります。それに堀社長よくわかっているというかトッパンホールを選定してくるところがさすがと思いましたよ。弦楽器のための日本最高のホールですからね。ただ残念なのがマイクがノイマンだったこと。DPAにしてほしかったですね。ノイマンだと色がついちゃうのですよね。音響的なデータはなるほどと思いましたが、これから2、3年経つと結構変わったくるのでしょうね。

選定されなかった2本の弓は、スペシャルモデルとして販売されるのでしょうね。狙い目かも。

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