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天地創造❷[בָּרָא]バーラー:創造する


聖書での「創造する〈バーラー〉」の意味

前回は古代と近代の宇宙観の違いを見ました。そして、神様はその違いにおいて何も言及していません。では、創世記はどういったことを描いているのでしょうか。
今日は創世記の「創造」という単語に注目して、神様が何を創ったのかを考えていきたいと思います。

はじめに神が天と地を創造〈バーラー〉された。
地は茫漠として何もなく、
闇が大水の面の上にあり、
神の霊がその水の面を動いていた。
創世記 1章 1〜2節


天と地を創ったと聞くと、私達はどうしても物質世界の出来事を考えてしまいます。宇宙空間や、天体、地球、海や山々などです。ですが、創世記は驚くことに物質がどのようにできたかということについては何も述べていません。もちろん、古代人にとって物質世界は神様が創造したということは当たり前のことでした。その、常識を聖書でわざわざ話す必要はありませんでした。ですので、聖書には 

  「どうやって」 世界が創られたかは記述されていません。むしろ、   
   「なぜ」   世界が創られたかを記述しているのが聖書です。

そして、その創られた存在の機能と役割が描かれています。

では、創造する〈バーラー〉とはどういった意味なのでしょうか。
ヘブル語的な言葉の意味も大切ですが、聖書の中でどのように使われているかを確認しなくてはなりません。

聖書における「バーラー」

聖書神学を学ぶ時にとても大切になってくるのは、聖書そのものです。聖書そのものだけが情報の柱となります。例えば、辞書で「寛容」という言葉を調べ、それを聖書に当てはめようとするとなかなか合いません。なぜなら、「寛容」という言葉が持っている物語が、国語辞典と聖書では違うからです。同じように、バーラーという、ヘブル語の意味を理解するだけでは、聖書で用いられている意味を理解することにはなりません。

バーラー(創造する)はとても特殊な動詞です。その、特殊な用法として、「神様がつくる」と言ったときにしか、使わない動詞です。では、何をつくるのでしょうか?
聖書神学において、言葉を学ぶ時に、聖書で使われている全ての場面をゆっくりと理解して行く必要があります。そして、全ての箇所を調べ、その言葉が持つ物語と、箇所の理解が重要になってきます。以下に、バーラーが使用されている箇所を載せます。(さ〜っと飛ばしても大丈夫です😀)

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これらのことから、バーラーは何を「つくる」
動詞かを見ることができます。

• 全宇宙 十回 (新しい世界も含めて)
• 一般的な人間 十回 (アダムなど)
• 特定の人々のグループ 六回 (国家としてのイスラエルなど)
• 特定の人、あるいは個人の型 五回 (ツロの王、職人)
• 生き物 二回 (動物)
• 現象 十回 (闇、奇しいこと)
• 宇宙地理学上の構成物質 三回 (万象)
• 状態 一回(きよい心)

バーラーは「機能の創造」

聖書で用いられているバーラーのことを考えると、バーラーとは物質をつくるだけでなく、その存在に「意味・機能」を与えるという力があることがわかります。創世記1章でも少し考えて見ましょう。創世記1章において、創造(バーラー)されるのは3箇所だけです。それは

天と地・・・・ ・・v1
海の生き物と鳥・・ v21
人・・・・・・・・ v27


他のものは「区別」や「生じさせる」という風に違う単語が使われています。    例)光とやみとを区別された。(v4)

つまり、天と地、海の生き物と鳥、そして人は創世記一章に置いて、
「特別な機能」を与えられていることに、読み手は気づきます。そして、その「機能」の言及については、神様の命令によって知ることができます。

• 海の生き物と鳥は、増えるという機能

創世記 1:22
神はまた、それらを祝福して仰せられた。
「生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。また鳥は、地にふえよ。

• 人にも、増えるという機能

創世記 1:28a
神はまた、彼らを祝福し、このように神は彼らに仰せられた。
「生めよ。ふえよ。地を満たせ。

創世記一章において、バーラーされた存在は、「増える・満ちる」という「機能・意味」を与えられています。

• さらに、人には世界を管理する機能

創世記 1:28b
地を従えよ。
海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ。」

このことから、人と動物の違いをはっきりと描いています。良い、悪い、ではなく、役割が違います。そして、神様はそれらの機能が素晴らしい調和をしているのを見て、「良い」といいました。

創世記 1:31
そのようにして神は
お造りになったすべてのものをご覧になった。
見よ。
それは非常によかった。

「機能の創造」は「物質の創造」よりも意味がある

これは、大切な事実です。聖書は私たちという物体をどう神様が造ったということは大きな問題として取り上げていません。私たちという生き物の生きている「意味・機能・役割」、私たちが存在していることに意味があるのです。私達はどうしても、目に見えることに心が向く傾向があります。ですが、目に見えないことほど大切なものはありません。

信仰によって、私たちは、この世界が神のことばで造られたことを悟り、
その結果、見えるものが、
目に見えるものからできたのではないことを悟ります。
ヘブル人への手紙 11章 3節

ここで、ヘブル人への手紙の著者は目に見えるこの世界は目に見えないものからできたと言っています。どういうことでしょうか。

例えば、家族です。家族は目に見えるかもしれませんが、その秩序、ルールやコンセプト、さらに愛は目に見えないモノです。増えていく、愛、それらの役割がこの世界に置いて重要な意味をもつとはどういう意味か、深い黙想に導いてくれるのが聖書の役割ですね。

すべての機能や秩序をつくる力をバーラーといいます。自然のサイクル、食物連鎖、人間関係、法律、この世界はそういった秩序の中に成り立っています。

そして、そのどれもはことば(知恵)があります。恋愛・結婚関係に置いて、愛し合う時に知恵は必ず不可欠です。お互いをいたわり、慈しむことが、絆という見えないものに、秩序を与えます。

私たちは、誰かに「愛してるよ」、「ありがとう」と声をかける時に、私たちの役割が機能しているのかもしれませんね。

エペソ 2:10
私たちは神の作品であって、
良い行ないをするために
キリスト・イエスにあって造られたのです。

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