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支援センターより「医療的ケア児支援法」

 2021年 6 月 11 日(金)、参議院本会議で「医療的ケア児支援法」が成立されました。皆さん、この「医療的ケ ア児支援法」ってご存知でしょうか。
 
 その前に、まず「医療的ケア児とは?」なのですが、出生時に疾患や障害よってこれまでであれば命を落 としていた赤ちゃんも、医学の進歩・医療技術の向上によって、命を救う事ができるようになりました。そ の医療的な処置の結果、生きるために医療的な器具(人工呼吸器、器官切開、吸引、経管栄養、IVH、酸素 療法、導尿等)を継続的に使用する児童の事を「医療的ケア児」とよびます。
 そのような児童がここ 10 年で約 2 倍となっており、厚労省の平成 28 年の調査によると、医療的ケア 児は全国に 17,058 名います。京都府においては 295 名となっています。
 今回「医療的ケア児支援法」が成立された背景には、医療的ケア児が置かれている状況が「家族任せ」で あり、国として、施策として非常に乏しい現状がありました。当事者の声や活動が広がりをみせ、その結果 として支援法として可決されました。

 今回の支援法の目玉としては、「自治体支援の責務」として「学校・保育所に看護師等の配置を求める」 とされています。これまで、医療的ケアが必要な子どもの場合、学校では医療的な処置や対応ができないと いう理由から、家族が学校に付き添い、何かあった場合の対応を任されていた、という経過があります。 京都市においては、支援学校やいくつかの地域の学校には看護師が配置されている事が増えつつあり、支援センター「らくなん」のケースでも、学校の他、児童館でも看護師が配置されている例が出ています。  しかし、配置されていない学校もあり、「地域差」がある事も事実で、今回の支援法は大きな前 進の第一歩になりうるのではないかと感じています。 ただ課題もまだまだあり、例えば、学校で看護師を配置されたとしても、通学は保証されていません。特別総合支援学校においても送迎バスには乗れません。医療的なケアができる添乗員がいない事、乗車時に緊 急的な対応ができない事などが理由としてある事から、結果的に家族が送迎しないといけない。 京都市では、医療的ケア児には「ほほえみネット」という通学保証のためのヘルパー制度がありますが、支援時間数や単価、公共交通機関を利用しないと行けないという移動手段の問題等もあり、保証されているとは言い難い所があります。
 そのため、通学するには家族が担う部分が大きく、家族が送迎できない場合には事業所の努力に頼る部分であったり、通学を断念せざるえなくなる事もあり、義務教育であるはずなのに、義務を全うする事ができ ない環境があります。
 今後、この支援法で環境整備が整っていく事に期待する一方で、当法人としても「子どもの支援」の責務 を問われているように私自身は感じています。 医療的ケア児は今後も増えていきます。地域の子どもを育む一端として、何ができるのかを皆で考えてい く必要がありそうです。

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