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【詩】私の花だけ咲かなかった

季節は常に呼吸を合わせて
同じように巡ってくるから
私も常に呼吸を合わせて
いつも同じように迎えていた

同じように
同じように

そして
私の花だけ咲かなかった
季節は巡ってきたのに

種を植えて
いくつかの儀式をこなして
少し祈りさえすれば
花は咲くものだと思っていた
皆の花は咲いているのに
私のものだけ蕾も付けなかった

花を見ることができない
花を嗅ぐことができない
花を知ることができない
それはつまり
季節の完成を知らないままなのだ

巡ってきているのだろうか
花は咲かなかったのだ
私だけ季節から取り残されて
呼吸を乱しているのだろうか
本当は季節が止まっているのに
皆の花が気付いていないのではないか

はっきりしていることは
私の花だけ咲かなかったこと
咲いていない花は
散ることもなくて
悲しませてさえくれない

いっそ季節が死んでいたならば
誰の花も咲かなかったならば
何一つ心を乱すものはなかっただろうに
私の花だけ咲かない
風が吹いても変わりはしない

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