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楽園温泉マガジン

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楽園のような温泉、素敵な旅館を。
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2020年6月の記事一覧

‐ちょっと不自由なホテル‐ume, yamazoeには、ぼくたちの手放した自由があった

こんにちは。奈良市で「西村邸」という宿をやっています、杉本です。 普段は自分の施設のことを書いていますが、今日は、同じ奈良のホテル ume, yamazoe の体験記です。 あまりによかったので、頼まれてもないのに書きたくなりました。よければ最後までおつきあいください。 「ぼくがいままで入ってきたサウナは何だったんですか!?」冒頭からぶっちゃけますが、サウナ苦手なんですよ、ぼく。 禅とか瞑想が好きなぼくは、「サウナはどうやら『トトノウ』らしい」と聞いて銭湯にあれば試したくな

「里山十帖」「箱根本箱」を手がけた「自遊人」岩佐編集長に聞く“雑誌のような”ホテルの作り方

ホテルをとりまく業界の先輩たちから龍崎翔子が学ばせてもらう対談企画「ニューウェーブホテル概論」。新型コロナにより移動が制限される中、オンライン通話を活用して連載を続けています。 今回対談に応じていただいたのは、「里山十帖」や「箱根本箱」など唯一無二のホテル経営で知られる自遊人代表取締役の岩佐十良(とおる)さん。編集者として雑誌「自遊人」を作ってきた中で、メディアの可能性を拡張するため、ホテル運営に参画した岩佐さん。「ホテルはメディアである」と考える龍崎の憧れでもある岩佐さん

箱根・塔ノ沢温泉・福住楼

 昨年の5月。新緑に誘われて、小田原と箱根へ、一泊二日の旅。小田原近辺で松永耳庵の老欅荘など明治・大正・昭和期のお屋敷や別荘をいくつか見学し、平塚美術館の荘司福展と箱根・仙石原のラリック美術館を見ることも目的とした。  宿は、箱根湯本から登山鉄道で一駅、塔ノ沢温泉の中ほどにある福住楼。いまどきの個室露天風呂があるわけでもなく、明治・大正・昭和期の数寄屋建築が迷路のように川べりに広がった古風な温泉旅館だ。玄関の風情や鏝絵にも歴史を感じる。福住楼のシンボルである、幸福を呼び込む