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楽園マップ7 ウブド(バリ島・インドネシア)

1万7000分の1の奇跡の島、の奇跡の場所

聖なる泉が沸く寺院として有名なティルタ・ウンプル寺院@バリ島

バリ島と言えば、行ったことはなくても聞いたことがない人はいないぐらいの、メジャーなインドネシアの観光地ですよね。ところで、赤道直下の熱帯インドネシアにはなんと1万7000の島があると言われています。この数は当然世界一。さてここで皆さんに問題です。あなたはこの1万7000の島のうち、何個言えますか?

首都のジャカルタがあり、最大の人口を抱えるジャワ島、シンガポールやマレーシアからほど近いスマトラ島、近い将来首都が移転する噂のあるカリマンタン島、インドネシア語で唐辛子という意味を持つバリ島の隣の美しい島、ロンボク島などがメジャーな島です。

地理に詳しい人やインドネシアが好きな人はいくつか答えられると思いますが、普通の日本人は、バリ島ぐらいしか知らないのではないでしょうか? そんな有名なバリ島は、実はインドネシアでは15番目の大きさしかない小さな島です。そんな小さな島がなぜ、1万7000もある島の中で最も有名な観光地となったのか、不思議ではないですか?

バリ島の歴史を紐解いてみましょう。17世紀以降、インドネシアの島々はヨーロッパの列強の支配を受け植民地化ますが、大した特産品がなかったバリ島は、列強の支配をしばらく逃れていました。しかし19世紀にはオランダ領となりました。1930年頃には、オランダ人によってバリ島の美しさが喧伝され、早くも観光地としてヨーロッパで注目されるようになりました。おそらく当時の統治者であるオランダ人も、青い海と深い山、慈悲深い仏教徒の多いこの島を美しいと思ったのでしょう。統治者のオランダにはさまざまな事情があり、バリ島独自の文化を守る政策を行いました。この結果バリには古くから西洋文化と地元の文化が混じり合った文化が生まれるようになり、このことが後に世界的な観光島となっていく素養を産んだのかもしれません。例えば、喜劇王のチャップリンもこの時代にバリを観光で訪れています。

転機となったのは、1960年代に、バリ島サヌールにバリ・ビーチホテル、そして国際空港が立て続けに完成したこと。このことから、観光地として世界的に大きく注目を集めます。実はこのビーチホテル、世界大戦中にバリ島を含むインドネシアを侵攻した日本が支払った賠償金によって誕生したと言われています。実はバリ島の楽園建設には、日本が関わっていたのです。

観光地としてのバリ島の古くからの中心地はクタですが、クタから北にレギャン、スミニャック、クロボカンと進んでいくと面白いことに気づきます。少しづつ、街やホテルが近代的になっていることに気づくかもしれません。開発を順番に行なっていった結果、このようにかつての中心部クタから離れるごとに近代的な建物が増えていくのです。最近ではさらに北のチャングーまで開発が進みました。美しい自然は失われる傾向にありますが、クタからの北上ルートは、観光地としてのバリの足跡を表しているようでもあり、ある意味でおすすめの観光ルートです。

スミニャクのストリート。この辺りは古くから開発をされた結果、道も入り組んでる。開発はあまり計画的でなかったようだ

かつての中心地クタや、その北のスミニャクのあたりは騒々しくて、道も狭く、でも騒々しくて楽しい場所であればタイの方が楽しく、豊かな自然もなく、つまりあまりおすすめできる場所ではありません。弾丸でバリ島に旅行に来る観光客は、クタあたりだけを見てがっかりして帰ってしまわないことを願うばかりです。

本当のバリ島を楽しみたい方にはとっておきの場所があります。それがウブドです。

ウブドはバリの山奥にある、人口1万人ほどの小さな村です。しかし、ここにはバリ島の歴史と魅力が詰まっています。薬草が取れることからバリ語で薬の意味があるウブドと名付けられた村には、古くからガムランを使った民族音楽などの演奏会が毎夜行われています。ガムランって何? アジアの純真のやつ? って知識しかない方は以下の動画をどぞ。

リズムやビートがあるのに、なんかこうグネッた感じがあるというか、ふわふわとしていて、トリップ感がある不思議な音楽です。

ウブドは山の中にあって、周囲は森や水田で溢れています。この水田、日本人にとってはなんとも馴染み深いもので、これを見るとなぜか心は日本の田舎に帰ってしまいます。英語ではRice Fieldと呼びますが、ライスフィールド・ビューカフェというジャンルで呼ばれるような水田を見ながらコーヒーを飲める場所もあり、米の国の私たちは絶対に落ち着ける素敵な場所です。

水田を見ながらコーヒーやカクテルを飲む、ライスフィールドカフェ。店名はTropical View Ubud

こうして日がな水田を眺めてコーヒーやアルコールを飲んだり、ヨガを体験したり、宗教的な聖地に出向いてサイクリングしたり。そうやって毎日を過ごすことができるこの場所こそ、私が思う楽園です。


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