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「人がダメになるクッション」原案:インデックスお釈迦様

【原案】
*酔っ払ったサラリーマンが駅前を歩いていると
「私の幸せ、ちょっとだけお分けします」というのぼりの露店
*「人を立てなくするクッション」「良い夢が見れる乳酸菌飲料」など
  普通にネットで人気の商品が売っている。
  サラリーマンは試しにとある商品を買ってみる…


 新橋のとある路地裏。
 ついに突き止めた。ブツをばらまいている露店はここだ。必ずや、あいつの仇(かたき)をとってやる。
 
 最近、新橋のいたるところにおいてネットで品薄であるはずの「人がダメになるクッション」に身を預け、眠り続けるサラリーマンが続出していた。道路の真ん中であろうと、どんなに頬を叩いてもすぐに眠りに落ちてしまう。ここで、刑事の勘が働く。このクッションに何か細工があるに違いない。
 
 先にアジトを突き止めたのは後輩刑事だった。定価でそのクッションを買うことに成功した後輩は、そのままブツを署に運ぶ途中、うっかり、ブツに体を預けてしまい、そのまま帰らぬ人となった。家に、という意味で。俺は後輩が握っていたレシートに普通に記載されていた住所を確認し、今ようやくたどり着いたのだ。
 
 「私の幸せ、ちょっとだけお分けします」
 
 怪しげな幟(のぼり)の向こう。例のクッションに加え、睡眠の質を上げる乳酸菌飲料など、やはりネットでも品薄の品が積み上げられていた。
 私は銃を構え、
 「手を挙げろ」
 店員と思しき男は腰を抜かす。
 「え、え、な、なん?」
 「お前か、このクッションをばらまいていたのは?」
 「ばらまく?いや、営業許可証は、ちゃんと、ここに」
 「んなことはどうでも良い。ここにあるのは皆、本来手に入りづらい商品だ。なぜ定価で売っている?何か別の目的があるに違いない」
 「目的?いや手に入りづらい商品だからこそ、正規ルートで仕入れて、定価で販売する方針でして…」
 
 綺麗事。騙されるな。そう刑事、というか消費者の勘が言っている。いずれにせよブツを購入し、署の科学班に渡せば全てが明るみにでるはず。俺はクッションを購入し、一応レシートももらうと「おとなしく待っていろ!」。
 
 路地から署へ急ぐ。にしても、重い。
 いくらクッションとはいえ、連日徹夜の捜査で疲れ切った体には耐えきれない。後輩が眠る交差点で、誤って姿勢を崩し、クッションに倒れ込んでしまった…
 
 …あ、だめ、こりゃ、寝るわ、普通に。
 
 薄れゆく意識の中、真実に気づく。
これは単に良いクッションであり、俺たちは単に過労で寝不足なのだ。そりゃ動けなくなるわ。
 が、時すでに遅し。しくじった。ちゃんと起きられるように、睡眠の質を上げる乳酸菌飲料も買うべきだった。
 
 
 …という新たな乳酸菌飲料のCMをプレゼンした。上司から「寝ろ」と言われた。

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