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㉓ファンシフリー~レベッカの前座~

「ファンシー・フリー」で何度か「W Street」というライブハウスでライブをやらせてもらったが、そのひとつに「レベッカ VS ファンシー・フリー」がある。

タイトルは「レベッカ VS ファンシー・フリー」だが、勿論、前座ということだ。ただ「レベッカ」はデビューしたばかり。

当時は、これから売り出そうとするアーティストを、地元の集客力が見込めそうなバンドとブッキングして、宣伝しようというようなツアーがあった。


CBSソニーのスタッフの方からお話を頂き、喜んでお引き受けした次第であります。

やはり「満員にできる自信があるなら」という条件がついていたけど・・・

とはいっても「レベッカ 」を注目してるファンもたくさんいて、逆にその人達に「ファンシー・フリー」を知ってもらういい機会にもなりチケットはすぐに完売した。

打ち合わせの時、「レベッカ 」の資料をもらった。

こういう資料があるとかっこいいなぁ。
資料を見ただけで僕は少し緊張してきた。

「これは、やばい?簡単に引き受けたはいいが打ちのめされるんじゃないか?」という感じ。でも、とてもフレンドリーな打ち合わせだった。

とはいえ、「ファンシー・フリー」のヴォーカルあっこちゃんは女性で、しかも作詞を手掛け、クラシックバレエとジャズダンスも得意という、まさに自分と同じ様なスタイルの「NOKKO」にライバル意識をもっただろうし、僕達も少なからずそういう気持ちはあったと思う。音楽に勝ち負けなんてないんだけど。


僕はとりあえず、ドラムのヘッドカバーに「ファンシー・フリー」のロゴをいれた。
なんで?

当日は、僕達がリハをしてる途中にメンバーが到着、準備をして、僕達のリハ後「レベッカ 」がリハを始めた。僕達は客席でそれを観ていた。
生意気言って申し訳ないけど正直「あれっ?こんなもの?」という印象だった。

それが、本番になると「どひゃぁ~~~」とぶっ飛ぶようなかっこよさ!

衣装を着替え、メイクをして、専属のオペレーターが来て「さぁ本番」となったらそこはもう「レベッカ 」の世界、オーラがバンバン!特にNOKKOとギターの木暮さんは半端なかった。出音もリハと全然違う!

こういうタイプの曲があまり好みではない僕でさえ惹きこまれてしまった。

無事にライブも終った後、なんとメンバーと一緒に打ち上げに連れて行ってもらった。場所はお好み村だった。

あっこちゃんはNOKKOさんと親しくなったようで深い話もしたみたい。

「プロになると、自分の周りにいろいろな人がスタッフとしてついてくれる。その方たちにも家族はいて、売れなければ・・・」というような。あとで聞いて僕もそんなNOKKOのファンになった。


僕はCBSソニーとシンコーミュージックのスタッフさん達と話をしながら呑んた。
ふたりともとても優しくて今日の事を「ありがとう」と何度も言ってくれて嬉しかった。さらにシンコーミュージックのスタッフさんは「君はいいドラムを叩くね。ずっと周ってきたけど君が一番よかった」と名刺をくれ「いつでも連絡して」と言ってくれた。

この時、これが業界では当たり前のお世辞を真に受け、大喜びをしたのはいうまでもない。