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雲助一門会「師弟四景」この会だけ聴いてりゃいい。

9月5日日本橋劇場(日本橋公会堂)師弟四景

フォーカスが甘いのはご愛嬌

開口一番 金原亭 駒介 「高砂や」
お初の前座さん 高砂の謡がうまいな〜と思ったら、学生時代に端唄根岸流の師範名取になっていたそう。どうりで。

蜃気楼龍玉 「駒長」 
マクラで「珍しい噺は演り手が少ない、なぜなら面白くないから」と。
しかし、どんでん返しあり、ベタなオチありと十分に楽しめる噺。
こういう作品を選んで自分のものにするのが龍玉さんのセンスと個性だな。

桃月庵泊酒 「寝床」
噺に入った途端から爆笑の連続。同じ噺でも演じる噺家さんによって味わいと色付け大きく違うのが落語の醍醐味。ひとつの噺をどう演出するか、どう編集するか、そのあたりの出来が噺家さんの力量になるんだろうな。

隅田川馬石 「替り目」
この噺聞くたびに、「こんなカミさんっていいな」と思ってしまう。旦那も旦那で自分勝手なのだがなぜか憎めないし、文句を言いながらも本当は奥さんに感謝してるし。なんかいい夫婦だな。

五街道雲助 「景清」
雲助さんを初めて聴いたのが紀伊国屋寄席で演った「景清」。その時初めて、噺の世界にぐいぐいと引き込まれて行く感覚を体験した。
マクラで落語の所作について語り、扇子が刀になり槍になり手紙になる様を実演。いや、本当にそう見える。湯呑からお茶を飲む仕草と酒を飲む仕草の違い。
子供の頃から目が悪かった人と成長してから目が悪くなった人の杖に使い方の違い。そこから本題に入っていくのだけど、すでにマクラの段階で雲助ワールドにどっぷり浸かっていた。

この会、いままでに4回やっていて今回満を持して一門の師匠五街道雲助さんがトリをつとめた。私は2回目から聴きに来ているが、毎回、噺のクオリティが高くて幸せな気分になる。

東京では毎日寄席が開かれ、そしてどこかで必ず落語会が行われている。いつでも落語が聴けるありがたい状況なのだけど、そうかと言って毎日落語を聴けるような身分でもないし、懐具合でもない。

落語鑑賞にも"選択と集中"が必要なのかもしれない。そうなると極端な話、年に数回開催されるこの会だけ来てればいいのかも。
上質な落語が聴けて、豊かな時間を過ごすことができる雲助一門会「師弟四景」。
次回、年末に行われるこの会のチケットもすでに購入。

そういえば白酒さんが「無駄な時間を過ごすのが落語だ」的なことを言ってたけど、そういう境地には当分なれそうもない。



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