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外国人の別れ際のあっさり加減

通訳ガイドのぶんちょうです。ツアーを終了した時、当然挨拶をしてお別れとなりますが、実は、日本人と外国人の違いを大きく感じる瞬間です。いいツアーをすれば、欧米の人たちはハグをして、言葉でいかにツアーが楽しかったかを言ってくれます。

「私の家に来てね」と連絡先をくれたり、「友達にもあなたのツアー教えてあげるから」とレベルマックス喜んでくれる人でも、じゃあと挨拶をして歩き出したら、振り向きもせず歩いて行きます。

後ろ姿を見ている私は、「さっきまで一緒にあんなに盛り上がってたのに」とちょっと寂しさを感じてしまいます。テレビのチャンネルでも変えるように一瞬でさっきまでのシーンは終わりという感じです。

日本人だったら、1回くらいは振り向いて、また手を振ったりするのではないでしょうか。余韻に浸るという文化があまりないのかもしれませんね。

日本では、電車を先に降りたほうは、電車が出るまでホームで相手の姿を目で追って見送り、電車の中の人も、外の人に手を振ったり、もう一度会釈をしたり。そして、相手がすっかり見えなくなってからスマホを取り出し、自分の世界に入っていく。恋人同士でなくても、こう言う光景は日本ではよく目にします。

外国人では、こういうことはほとんどありませんでした。私はなんとなく、すぐに立ち去れなくて、電車に乗った相手の姿を目で追うのですが、たまに外の私に気づいて手を振ってくれる人もいましたが、滅多にないことです。

こういう小さな仕草の違いに気づく度に自分の文化が見えてきて、面白いと感じます。

相手を見送るという文化は日本だけなのでしょうか。わかりませんが、日本ではビジネスの場でもよくあります。私の行きつけの美容院は二階にあり、いつも美容師さんは一階まで降りてきて見送ってくれます。

一時、デパートなどでも、買い物をするとレジの所で品物を渡さず、各店の入り口のところまで一緒に歩き、そこで買った品物の袋を渡すというサービスがありました。それはそれで送られたほうは、なんとなく気恥ずかしいのですけどね。

オフィスではお客様の乗ったエレベーターのドアが閉まるまで頭を下げているという接客もあります。

外国人観光客と茶道の体験に行くと、そこでも必ず見送ってくれるのですが、外国人は振り向かないので気づきません。

日本人は、名残惜しいという気持ちを「見送り」や「振り返り」で表現しているのかもしれないと思います。

中学生の頃、1ヶ月だけ親元を離れ、おばあちゃんの家から学校に通いました。毎朝私が学校に行く時に、おばあちゃんは門のところまで出て、角のところで私が見えなくなるまで、見送ってくれました。毎朝のことなのに名残惜しい気持ちがしたのを覚えています。


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