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仏像さんと仲良しになろう 天部編

通訳ガイドのぶんちょうです。今日は「如来」「菩薩」「明王」に次ぐ、4つ目の仏像グループ、「天部」についてです。天部は一言で言えば仏教を守る「護衛」です。

satomigoroさんによる見出しの仏像の写真は東大寺の広目天さんです。広目天は四天王のひとつで、西の方角を守る役割を果たしています。

よく見ると右手に筆、左手に巻物を持っているのがわかると思います。広目すなわち、遠くまで見通して、人間の悪事をしっかりメモっているわけですね。

多聞天(北)、増長天(南)持国天(東)と共に東西南北を守っているのが四天王、4レンジャーです。

天部は種類が沢山あり、姿形もいろいろです。鎧をつけた武士系、中国の服装の貴族系、女性的な天女系など。また、動物の姿をしている場合もあります。

寅さんの柴又に代表される帝釈天は四天王の上にいるリーダーで元々インドの神様です。天部はインド神が仏教に取り入れられたものです。中には元々悪い神さまだったのに改心して天部になった神様もいます。聖天や鬼子母神です。

鬼子母神は自分の子どもが500人いましたが、人の子どもを取って食べるという悪行を繰り返していました。あるとき、お釈迦さまに一人の子どもを隠されて悲嘆にくれます。そして子どもを奪われた他の親の悲しみがわかると、その子が返されました。それ以来、子どもを守り、安産と子育ての神として祀られています。

お寺の門の左右に、よく仁王様(金剛力士像)をみかけます。いかめしい顔つきで、まっすぐに立つことを言う「仁王立ち」の語源になっています。左右それぞれの像は、口を開いた阿形あぎょうと口を閉じた吽形うんぎょうをしています。これは物事の始まりと終わりを示しています。

閻魔大王さまは明王グループではなく、天部です。

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イラストはpoosanです

イラストのように中国の裁判官の格好で、赤い顔をして怒っています。死んだ後に悪事の審査をする役割です。このこわーい閻魔さまが実は、お地蔵さんの化身だという説もあるので驚きです。

他にも沢山の天部グループの面々が存在しますが、今日の最後は「韋駄天いだてん」さんを紹介します。韋駄天と言えば俊足の人を指しますが、これは天部の韋駄天から来ています。韋駄天が悪事をはたらいた鬼を見つけて追いかけた時に、ものすごい速さで走ったことから来ています。韋駄天さんは火神の子なので鎮火の守り神として台所に祀られます。

火事と言えば昔、年末いまごろになると「火の用心カンカン」と夜に大きな声で呼びかけながら拍子木を打つ人が町内を歩いていました。今は聞こえなくなりましたが乾燥の季節です。「火の用心カンカン」。

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