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拝啓 2024年の私へ その2

前回は月ごとに今年を振り返りました。今回は自由に綴ろうと思います。


私は「教育」に興味がありません。

教育旅行や探究学習のプログラムの運営を仕事としてやっています。高校生の留学関係の研修にも関わっています。前回記事を読んだ人の中には「将来は教育関係の仕事に就きたいの?」と私に聞く人があるでしょう。実際よく聞かれます。でも私は「いや、人がすきなだけです」と笑って答えます。


子どもはあまりすきではない

元々、子どもはあまり好きではありません。

幼稚園の時、順番待ちをせずに他の子からおもちゃを奪い取る同級生を見て、「なんでルールを守れないんだろう」と思っていました。お店でおもちゃを買ってもらえず泣く子どもを見た時は「誕生日やクリスマスまで待てばいいのに」と思っていました。

「子どもってなんて浅はかなんだろう」と思っていました。自分も子どもなのに。

小学校に入学し、2年生になりました。お姉さんとして1年生のお世話をしなければなりません。ペアになった女の子と手を繋いで学校探検をして、一緒に芋掘りをしました。私とペアになった子はおとなしい感じの子でホッとしたのを覚えています。「わがままな子はごめんだ」と当時7, 8歳ながらに思っていました。

高校の時、ニュージーランドに留学しました。なかよくなった友人の家に何度か遊びに行きました。わんぱくな男の子が2人いる家庭で、彼らは私に抱っこを要求したり、怪獣ごっこを一緒にさせてきたり、とにかく疲れました。友人も、その家のお母さんもだいすきですが、子どもたちと遊ぶのに疲れてしまって、二度と行くかって思っていました。(実際はその後何回も行きました)


卒業論文執筆の中で知ったこと

今、卒業論文を執筆しています。明々後日、一旦書き切って指導教員に提出します。テーマは国際結婚家庭の子育て。

子どもに興味のないはずの私がこのテーマにたどり着いたのは、揺れるアイデンティティやそれを取り囲む環境に関心があったからです。国際結婚し、パートナーの国に移り住む人には何かしらの葛藤があるのではないだろうか?そしてそれは子育てに反映されるのではないだろうか?と思い、このテーマに至りました。ここでの子育ては、あくまで「移動した人」を知るためのひとつの観点でしかないのですが、調査をするほどに関心が強くなりました。

執筆に際して4人の方にインタビューしました。予備調査も含めると5人。

ある方に「子育てについて知りたいんなら、自分でやらなきゃわかんないよ」と言われました。

ある方には「なんでこのテーマにしたの?」と目を見て聞かれました。

私はそれに対して、少し考えた上で「母が『子育ては趣味みたいなもんだし、最高の贅沢品』といつも語る理由を知りたくて」と答えました。我ながら意外でした。

アイデンティティや移民に関心があることは事実です。しかし、それだけではなく、私は自分の母のことを理解したかったのかもしれません。


中高生に関わる私

今年は、数百人くらいの中高生と関わりました。顔と名前の両方を覚えているレベルだと50人くらい。

中高生と話すときの私は、いつもよりテンション高めな分人です。彼らと仲良くなるきっかけ欲しさにアニメを見るようになったし、おすすめされたドラマも見るようになりました。

相手のことを理解するために、相手と仲良くなるために、アニメやドラマをみて、ちょっとだけテンションを上げて話します。「大学で何してるんですか」って聞かれたら、わかりやすく、でも面白さが伝わるように話します。


・・・

やっぱり子どもは得意じゃありません。
私には子どもはいないから、親の気持ちは経験を伴った形ではわかりません。
年下よりも年上と話す方が、わかりやすく新たな知識を得られることが多いと思います。


こんな話を母にすると、こう言われました。

「子どもを持つとね、子どもに振り回されて、自分の優先順位が1番じゃなくなるのよ。だから、子どもを持つとやっと人は大人になれるんだと思う。」


なるほどなあと思いました。
私は「振り回される」のが嫌だと思っていて、「自分のために」新しい知識を与えてくれる存在を欲していたんだと気づきました。


私はやっぱり「教育」という業界にも「教育学」という学問分野にもあまり関心はありません。

将来子どもが欲しいかもよくわかりません。

でも、子どもと関わることを通じて、大人になってみたいし、寛容になってみたいのです。


・・・

今年読んだ「子ども」に関連する書籍

原ひろ子(2023)『子どもの文化人類学』
「子育て」と一口に言っても色々あります。極北のヘヤーインディアンの子育てにフィールドワークを通じて迫った1冊です。タイトルに文化人類学と書かれていますが、児童書のようなやわらかな書き口なのでスルッと読めます。


村田沙耶香(2018)『消滅世界』
私のだいすきな小説家・村田沙耶香さん。実験都市・楽園で、「家族」システムではない新しいシステムで繁殖や子育てを行う世界を描いています。その世界では、大人全員が「おかあさん」となり、子どもに愛情を注ぎます。


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