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Zoki ー すっかり忘れられたボードゲームを発掘 

このゲームをテストプレイして、レビューする話ではありません。
Zokiの「ゲームシステム」を深掘りする行為そのものを楽しんだ、という話です。
*Zokiゲームタイルを自作してテストプレイしてみようとは思わないの?というご指摘は本当にごもっともです。でも悪しからず。です。

BGGのなかをネットサーフィンしてたらZokiという「タイル並べ系」のゲームを発見。
当然ながら、すごく古いゲームなので絶版です。それだけでなく、2023年時点には、ゲームルールも全体の約90%しか発掘できなくなっています。ゲームル-ルの概要までは発掘可能だが、詳細については失われた部分があります。
*BGG:Board Game Geek

下の図は全34枚のタイル & どんな感じに遊ぶのかのイメージ画像です。
裏返して良くシャッフルした後、1人でパズル、あるいは2人で速さを競うタイムアタックも遊べる。そんな感じ。
タイルを3x3や4x4に並べる遊び方とは全く別の遊び方として、「2枚のペア」を作った時、2枚のタイルに描かれている棒の総和が「12本」なら、それらをペアとしてGetできるという「神経衰弱」みたいな遊びも可能。

*画像はBGGから引用

今回は、34枚のタイルから任意の25枚をセレクトして5x5の正方形に配列するのは、どのくらい難しいのか、BurrToolsを使って調査してみたという話です。
*図形組み合わせパズルの難易度は「解答が何通りあるのか」にほぼ反比例しているとの一般則があります。

BurrToolsは「いろいろな形状の図形(パズルピース)を数種類作り込み、それらを合体させて1カタマリの大きな図形を作る問題」を入力すると、そのパズルに解はあるのか、解があるなら何通りの解があるのかを求めてくれる便利なアプリケーションソフトです。テンヨーのプラパズルで試してみたら、かなり短い時間で全解を求められてしまい、驚きました。

テンヨーのパズルをBurrToolsで解いた例

ところで、BurrToolsは△や◇等の図形しか扱いません。数字や文字は理解できません。
したがって、Zokiタイルに描かれている1とか2とかの数字(というか棒状の記号というか)を、BurrToolsで扱いたい場合は、例えば「正方形の個数が1個とか2個」という具合に、図形の個数に置き換える必要があります。こんなイメージです。

同じ数字どうしは、カチっとぴったりハマります

しかし、よく考えてみれば、「1は1の位置をへこませ、2は2の位置をへこませる」・・・というのは非効率です。2進数の考え方を応用すれば、こんな風に、コンパクトに表現できます。

2進数的な考えかた

さらに深掘りすると、今、やってる思考実験は、木工細工ではない仮想の図形を取り扱っているわけです。
従って、現実にはありえない図形を仮想してもかまわんのです。下図のような考え方もできます。すると、こんなに小さい図形で16種の記号(あるいは0~15の数字?)を表現できます。
*2進数から4進数へと進化しました。

4進数的な考え方

せっかく「4進数モデル」を考案はしたものの、Zokiで必要な記号は(0,1,2,3)の4種だけです。それゆえ2進数のモデルのほうを採用して次に進みます。

私は、34種のタイルから任意の25枚を選ぶ場合の数「278,256」通りの組み合わせを総当たりで全部調べたいとは全然思っていません。
ですから、278256種のなかから、10?とか25?とか、「もっと数が少ない標本群を抽出」して調べ、そこから全体を「推定する」ことにします。
*これって、統計ですよね・・・・

そういうわけで MicrosoftExcellなどを利用して乱数を発生させ、なんとなくランダムに作った組み合わせを12種作りました。その12種がそれぞれ何通りの解をもつのか調べ、平均値を求めたりとか。統計を取ってみようと思いました。結果はこうです。

ここに「表」や「グラフ」を入れて、平均値を求め、分散を示したりしようと計画していたのですが、できません。なぜなら・・・・

  • 試してみた12種すべて、解答数は10,000超

  • 見続けるのが面倒なので、途中で全てBurrToolsの解析を中断しました

  • 途中までに得られた10,000種の解答の図の見た目の変化の具合から推定して、おそらく最後まで解析したら1,000,000解の近くまで行きそうな感触(12種それぞれ全部)

解析結果の一例(ちなみに、右下のタイルは4辺が 2,3,1,3 の組み合わせ、右上のタイルは0,2,0,3の組み合わせです。なお、全てのタイル中央に2x2のでっぱりをつけた理由は、こちらの面が表だよ、と向きの指定をBurrToolsに与える目的。)

とにかく全てに10,000を超える解があるという結果になりました。タイムアタックで2人対戦することを想定すると、ランダムに選んだタイルセットでも、これなら公正に競争できると思います。
パズルとしてはちょっとカンタン!なのかもしれませんが、対戦ゲームとして考えると、かなり巧みに、良い感じにタイルセレクションしていることが理解できます。
このZokiゲームの作者さんは、数学的にすごくデキル人だったに違いない、と結論いたします。

ゲームシステムのデザイナーって、何なの?どういう意味? そんな疑問は、私の記事群によってご理解いただけるものと期待してます。 ラジくまるのアタマの中にある知識を活用していただけるお方、サポート通知などお待ちしています。