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ゲームシステムに関する考察

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ゲームのレビューではないです。思い切り「システムを深堀」して考えます。哲学みたいな話、「ゲーム考現学」みたいな感じにするつもりです。
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記事一覧

面心立方格子をボードゲームに応用しよう(2)

続きです。 Gigamic社の「Inside」は、まちがいなく(1)で紹介した「平面的」コンポーネントによってゲーム内容の再現が可能です。 もっとはっきり言ってしまえば(1)でご紹介したZenithの4種のゲーム盤のうち三角形のやつを使えば遊べますよ、という事です。 Insideは現物を持っていないため、ルールは正確には知りません。「だいたいのルール」はこんな感じだそうです。 Inside 2 players (だいたいのルール。ちゃんと取材していません) 勝利条件: 立

面心立方格子をボードゲームに応用しよう(3)

続きです。 とあるパズルの話をします。 ボドゲファンの皆さんには「パズル?じゃあ自分には関係ない。」として、切って捨てようと思った人もいるかもしれません。 でも、「新しいゲームアイデア」のネタとしてご利用いただける予感がしております。ぜひご参考にしていただければ&そのために、まずはお目通しいただかないと。と、希望する次第です。 さて、Smartgames社に「IQ-Perplex」というパズル製品があります。2023年8月に発売されました。 IQ-Perplexのパズル

面心立方格子をボードゲームに応用しよう(4)

IQ-Perplexの続きです。 IQ-Perplexという名の3D的なパズルを平面化デザイン?するお話を前回はしました。 平面化したピース達をじっと見ていると、なんだかボードゲームを作りたくなってきます。 https://www.nestorgames.com/rulebooks/PENTUP_A5_JP.pdf 例えば、NestorgamesさんのPent-upやSevenのルールをそのまま使わせていただくのはどうでしょう。 Perplex-Boardgame(仮

面心立方格子をボードゲームに応用しよう(5)

IQ-Perplexの続きです。 とりあえずNestorgames社さんのPent-up類似品的ボードゲームの案が作れました。 しかし、ラジくまるはまだ、満足していません。 次は、パズルデザインのお話に変わります。 !!ご注意:これ以後は、すごいマニアックな「パズル設計の話」になります。ボードゲームのお話ではなくなります。 さて、Smartgames社作品「IQ-Perplex」での「立方体」たちの「くっつき方」はとても面白い(興味深い)空間的位置関係になっています。ご

面心立方格子をボードゲームに応用しよう(6)

IQ-Perplexの続きです。 意図的に、あえて触れずにここまで引っ張ってきたことがあります。 パズルで考えうるピース種の「総数」のことです。 例えば、有名な話として、ペントミノパズル(5個の正方形をくっつけた形状のパズルピースを使うパズル)では、全部で12種類のパズルピースがあります。そういう「ピース種類の総数」のお話です。 手始めとして、前回の記事(5)でご紹介した葉樹林さんのずれオミノの「ピース種」は全部で何種類?について考えてみます。 私が作図してお示しして

面心立方格子をボードゲームに応用しよう(7)

「あそびをせんとや」という名前のサイトがあります。 ここの管理人さんは、「あやとり」と「パズル」に関して、すさまじい熱量で文筆していた方なのですけど、2024年2月時点には長期間休止中になっていました。 最後のページを拝見する限り、ご本職の方がとっても忙しくなってしまって何かを書く暇がなくなってるのかなあ? それとも健康上の理由?と、心配していました。 が、なんと、PCの故障があり、復旧が大変だったとのお詫びを発信しつつ、突然に、昔とほぼ同じ熱量で復活していました。(現時

3Dボードゲームを、2D(紙の上)でシミュレーション(1)

ちょっと前の話です。Nestorgames社のHomepageに、Icomega(2016)という名前で、ルールだけが公開配布された無料ゲームがありました。今は消されていますが、BGGには「超簡単なルール紹介」が今も残っています。 「超カンタンルール紹介」 交互に2個ずつ石を置く(マスの中に)。全部が埋まったら、次のように点数計算。 自分のコマが隣接しているものを「カタマリ」と考える。それぞれのカタマリの個数をメモする。 今、メモした数字を「全部をかけ合わせる(乗算する)」

3Dボードゲームを、2D(紙の上)でシミュレーション(2)

さて、昨日からの続きです。 この記事で示す立体図のうち、「いかにも」という見た目の立体図はWikipediaから引用しました。その一方、平面展開図(正距方位図法に似ている図)は全てラジくまるによる作図です。 Nestorさんご本人は、Icosahedron(20面体)とDeltoidalhexecontahedron(20x3=60面体)との2つを描いたことですっかり満足してしまったようです。 しかし、ラジくまるは、3D立体物を「正距方位図法(みたいな感じ)」にて、展開図

3Dボードゲームを、2D(紙の上)でシミュレーション(3)

さて、昨日からの続きです。 あとちょっとだけ図形を提示したいので、お付き合いください。 手芸店とかで、あるいはインテリアショップで、こういう図形の小物入れとか、あるいは花びんを見たことはないですか?正方形と正三角形とが不思議なコラボをしている多面体です。 この立体は面の数がちょっと少なすぎですけど、点線のようにこまかく分割すれば、ゲームが成立するくらいの面数に増えます。 では最後に、個人的にラジくまるが、なんだかんだで好きな立体図形です。なぜ好きかというと、紙工作で比較

ICOのアイデアをそのまま、2Dボードゲームに変換する(1)

この記事、実は昨日からの続きの話になっています。 1980年に珍しい3Dのアブストラクトゲームが発表されていました。名前はIcosagameといいます。正20面体の「面」のほうじゃなく、「骨組み(辺)」のほうをゲームボードとして利用します。棒状のコンポーネントを「カチッ」と組み立ててから遊びます。 ちなみに、数年後に「ICO the game」と名称が変更されました。販売会社名は変更なしで、本当に名前だけ変わっています。 昨日の記事に書いた通り、Nestor氏の作品、Ic

ICOのアイデアをそのまま、2Dボードゲームに変換する(2)

まだ続いております。昨日の記事から連続して読まないと、ルールブック全体の文意が分からなくなります。昨日記事から続けてお読みください。 レベル2ゲーム(Intermediate Game) 勝利条件: 正20面体(Icosahedron)の「直径」に沿ってジグザク状に立体を一周する10辺に自分のマーカーを置いたら勝ち。(最低でも10個のマーカーが必要) 自分のターンでしか勝利宣言を行えないので、もしも本人が勝利しているのを見逃した場合はゲームを続行する。 *3D立体模型を使わ

ICOのアイデアをそのまま、2Dボードゲームに変換する(3)

まだ続いております。(1)から連続して読まないと、ルールブック全体の文意が分からなくなります。続けてお読みください。 本日紹介するのは、完成商品として出荷後に、何人もの学生さんたちの協力をもらってテストプレイを重ねる途中で生まれた「新作追加」ルールです。つまり、年代的には最新作のゲームという位置づけで、でも難易度レベルは「2+」です。ちなみに、この作品を最後として、ICOのゲーム開発活動は完全に停止した模様です。これ以後、何もニュースがないです。 レベル2+ ゲーム(In

ICOのアイデアをそのまま、2Dボードゲームに変換する(4)

まだ続いております。(1)から連続して読まないと、ルールブック全体の文意が分からなくなります。続けてお読みください。 ここに紹介するレベル4ゲームは、正直にいうと、平面展開図では何がなんだかわからないです。ちょっと勝利条件が理解しにくくて、遊びにくい。立体じゃないと。 まあ、遊べないわけではないので、我慢しながらプレイしてください。と言わざるを得ません。 ともあれ、これをもちまして、立体ゲームICOを2Dの平面ゲームに変換する、という記事はおしまいです。 レベル4ゲーム(

「玉碁」のアイデアは、2Dボードゲームに変換できません

さて、この「平面展開図」を使う技法ですが、別のゲームで試したらうまくいかなかったというお話です。 「玉碁Tamago」と名付けられた3D囲碁が販売されています。 3D囲碁がメインのルールなのですが、他にも、囲碁よりもずっと軽~く遊べる追加ゲームルール付きです。 このゲームのゲーム盤は、正12面体を基本ベースにした構造をしています。その理由から、いちおうは「平面展開図」の作成は可能です。ちょっと「平面化」して印刷してみました。 でも、結論を申し述べますとこれは平面図では「プ