見出し画像

砂場の会場にて。

その会場もまた完全に砂まみれだった。この路線はそういうものばかりなのだろうか。職員室の人間は、五十代を終わり掛けな爺が夏の怠さで、中央机で瀕死の不貞寝。まだ若いのに擦れ切った女講師は、あのカンキツが声を掛けないほど、干からび具合が酷く、現代ファッションからも遠くかけ離れていた。十年近く前に神奈川辺りの派遣先で、夏に観たような残骸景に近かった。この地域は貧しいのか。その上、更にダサい薄い紺のスーツ崩れな服が、輪に掛けて痛かった。校舎長は、完全にアニヲタで、この空気を読むことも到底せず。つまらぬデータ分析と思いきや、小テスト結果から、カンニング生徒を炙りだしている。完全に黒な奴らリストのデータづくり。眼鏡越しに薄ら笑いな面で。デスクにはその類いの人形も散在していた。完全に話題の欠片すら、転がっていない。カンキツは、無の境地に徹した。会話など、楽しむレベルの以前に、存在していない。偏差値にして、二十台。唯一の楽しみは、それでも転がっている未熟石や麗わしき生足の長脚が、ダサいフェイクレザーから覗く姿が沁みるくらい。あと二日。あすは、一日ぶりの、更なる下層クラスなため、授業の進度も重いだろう。が、授業がなく、このクソ暑い最中に道端で一晩中夜勤する塵よりは、百万倍マシだから、あすも仕方なく、消去法的に無に徹すると腹に決める。唯一の救いは、あすが、午後からどしゃ降りな天気予報であるのみだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?