コエトモ民@デスゲーム❸

ゲーム開始の合図と共に再びチャイムが鳴った。
体育館に響いたその音は、ひどく不気味に聞こえた。
「は?鬼ごっこってどういうことだよ
暗号を解読したら出られるんじゃないのかよ」
「わかんねえけど、とにかくその3号館ってのに行こうぜ」
「でもオレらは、地図もないし、3号館がどっちなのかも、分からならないんだぞ」
「んなこと言ったって」

「なぁ君たち、もしかして出口を探しているのかい?」
背後から急に声をかけられた。
振り返ると、そこには、眼鏡をかけた、いかにも真面目そうな中高生が立っていた。
「あぁ、もしかして出口を知っているのか?」
「一応ね。まぁまずは自己紹介からだろう、僕の名前はライオネルガ
君たちは?」
「オレはゲスオ、こっちは8ミリ、アンタみたいな真面目そうなやつでもコエトモなんてやってるんだな」
「僕は好きでやってるわけじゃないんだけどね」「おい!そんなことはいいから早く教えてくれよ!」
「分かった分かった。君たち、今から僕の言うことをよく聞いてくれ。
この学校にはいくつかの建物がある。
そして、そのどれもが地下へと続いているんだ。
恐らくこの学校の地下は全て繋がっているんだと思う。僕はこの体育館へ向かう時に、地下を通ってきたからね。
だけど僕がここまできた道の扉は、鍵がかかっている
だから3号館へいくには、一番近くにある建物、つまり1号館の地下へと向かう必要があるんだ。」
「なるほど、とりあえずオレたちはその建物を探してりゃ良いって訳だな」
「まぁそういうことになるね」
「わかった、ありがとよ」
「いや、僕こそ役に立てて良かったよ」
「よし、そうと決まれば早速行動しようぜ」
8ミリは張り切っているようだ。
「そうだな、まずは近いところから探していこう」
こうして俺達は、3号館を探し始めた
オレ達が体育館を出た時、ちょうど時計が0時を指した。
オレ達はすぐに次の建物の探索に向かった。
「おい、あれじゃねぇか?」
オレ達の目の前には、1号館と書かれた看板があった。
「確かにあれっぽいな」
「入ってみようぜ」
オレ達はすぐに、その建物に入っていった。
そこは、先ほどの体育館と同じくらいの広さで、真ん中に机と椅子がいくつか置いてあるだけの簡素な作りになっていた。
オレ達は、ひとまずここで休むことにした。
少し休んで体力を回復させた後、また3人で地下への入り口を探し始めることにした。
「全然ないなぁ、なぁ、ほんとに地下なんてあるのか?」
さっきまで張り切っていたはずの8ミリは、もうやる気を無くしたようだった。
「ありますよ。だいたい僕がここで嘘をつくメリットがないじゃないですか」
「それもそうか」
そんなふうに他愛もない会話をしていた。
その瞬間ーーーー ドォンッ!!! 大きな爆発音が聞こえた。
「なんだ!?今の音は!!」
「分からない、もしかしたら鬼が動き出したのかもしれない」
「くそっ、どうする?逃げるか?」
オレ達は焦った。だがその時ーーー
「グァグゲジェーザゲグァア」
「なんだよ、アイツ」
言葉では形容し難い異形の生物が
そこには立っていた。
「逃げてッ」
ライオネルガの声で我に返ったオレは、必死に逃げた。
「ハァ、ハァ、ここまで来れば大丈夫だろう」
気がつくとオレは、1号館の2階にいた。
「なんなんだよ、あの化け物」
「きっとアレが鬼だよ」
「あんなもん、勝てるわけねえよ」
「あぁ、僕達だけじゃ無理だろう」
2階まで上がってくる間に見ただけでも、10体以上はいた。
とても勝ち目などないだろう。
「でも、もしかしたらこの階にはいないのかもしれない」
「いや、それは無いと思うよ」
ライオネルガが、否定した。
「どうしてだよ」
「だって、ほら見てみなよ」
ライオネルガが指差す方を見ると、壁の一部が壊れていた。
「おそらく、さっきの鬼の攻撃でできたものだと思うんだ」なるほどな」
「という事は、ここにいても安全とは言えないな」
「あぁ、そうだね。
3人の間に沈黙が流れる。
「なぁ、ここは一旦別れないか?」「え?」
「おい!何言ってるんだよ!」
ライオネルガの提案に、8ミリが反論をする。
「このままじゃ全滅だよ。」
「でもよぉ……」
「僕は賛成かな。確かに今はバラバラになって行動していた方がいい気がするんだ」
「まぁ、ライオネルガが言うなら仕方ねぇな。」
8ミリとライオネルガと別れた後、オレはこの階の探索を始めた。
しばらくすると、長い長い階段を見つけた。

もしかしたらと思い駆け下りると、そこには扉があった。
「やった!地下室の入り口かも!」
急いで扉を開けると、そこは教室のようになっていた。
そして、その奥には、先程廊下で見たのと同じ様な化け物が立っていた。
「マジかよ……こんなところにもいんのかよ」
オレは慌てて引き返すことにした。
「グルルル」
後ろから獣のような声が聞こえる。
オレは振り返ることができなかった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
全力疾走できた道を走った
死にたくない一心で走った。
しかし、無情なことに化け物は、どんどん近づいてきているようだ。
「もうダメだ」
そう思った時だった
「ゲスオー大丈夫か?」
「きちゃダメだ8ミリッ」
「うるせぇッ!!オレはまだ死なねぇよ」
「いいから早く逃げてくれッ!!!」
「嫌だね」
8ミリは、ゆっくりとオレの方へ歩いてきた。
「おいおい、お前はオレが守ってやるから安心しろ」
「何言ってんだ、オレはいいから来るな」
「うおぉりゃああ」
いつのまにかライオネルガが、鬼の背後に回り込んでいた。
「死にやがれ糞が」
その言葉と共に、シャベルを鬼の首筋に突き立てた。
だが鬼は怯むことなく反撃してきた。
「危ないッ!!」
オレは、咄嵯に飛び出していた。
グサッ 鈍い音が響く。
目の前に血が飛び散っている。
そこで、やっと自分が刺されたことに気づいた。
「ゲホッ」
口からも血が出た。
「おい、大丈夫か!?」
「クソッ、油断したぜ」
鬼は、こちらに向かって突進してくる。
「させるかよッ!!」
ライオネルガは、鬼を蹴り飛ばした。
がしかし鬼はビクともしない。
「クソッ」
ライオネルガはそのまま鬼に払い飛ばされ壁に強く背中をぶつけた。
「うっ」
「大丈夫かッ?」
「あぁ なんとかなそっちは?」
「オマエが大丈夫って言ってんのに、
いつまでもへバってるわけにはいかねぇだろ」
オレは必死に痛みを堪えて立ちあがった。
「オレに考えがある」
8ミリが自身ありげに言った。
「アイツは、ライオネルガを払い飛ばしたとき、腕を伸ばしやがった。ってことはよ、腕を極限まで伸ばしちまえば 頭はガラ空きだそこを刈り取る」
「名案だな僕が囮になろう」
ライオネルガが真っ先に名乗り出た。
「じゃあオレもだな」
「ああ待てよ、そんな刺された身体で大丈夫なのか?」
「オマエが一番元気なんだ。オマエがアイツの首をとってくれ」
「わかったよ。一瞬で終わらせてさっさとその傷の手当てするぞ」
「あぁ 任せた」
「行くぞッ」
ライオネルガの声と共にオレは鬼に向かって走り出した。

「グルルルルァアアッ」
鬼が叫びながら突っ込んでくる。
都合よくオレを掴もうと手を伸ばしてきた。
「今だッ!」
ライオネルガが叫ぶ。
それと同時にオレとライオネルガが横に跳ぶ。

鬼の頭の真上に8ミリがいた。
そして、
「どりゃあああぁあ!!」
8ミリがシャベルを振り下ろす。
ゴトッ 何かが落ちた音だけが聞こえた。
「どうなった?」
オレ達は、恐る恐る覗き込んだ。
そこには、首のない鬼の死体があった。
「やったぞ!倒したんだ!」
オレ達3人は喜びあった。

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