資本主義社会で生きることー前編
熊です。
熱帯雨林はあくまで精神世界の話で、
実際熊が生息している場所はコンクリートの森です。
この森に入るときの話をしたいと思います。
熊は元々学術研究の道に居たが、
しきたりが多く、少し政治っぽく感じて、
どうせ飽きたので、一般企業に就職しようと考えた。
リュックにどんぐりと燻製鹿肉と鮭とばを詰め、
「ウォール」に向かいました。
繭
当時、
熊は自分はギフテッドであることを知らず、
5歳に積極的分離のLevel3に至ったが、
周りの大人と子供との精神年齢が合わず、
精神的・肉体的な虐待をたくさん受けた結果、
乖離状態に近い水の中で生きているような状態になった。
戦う意思を失い、
人生は他人の期待に応えるゾンビのように過ごしてきた。
本来の自分は「繭の中」に避難し、
裏で様々な人間の意識を統合し、
彼なりに成長し続けた。
あの子は表面意識では気づかないぐらい深いところに隠れたが、
能力は共有している。
能力が高いから、
色んな人に便利にこき使われていた。
いつも最低限の努力で、
ぎりぎり周囲の期待を満たした。
こんな状態で就職に突入した。
思考停止
「んー就職どうしようかな」
「親の期待、社会からの期待は何だろう?」
と考えた結果、とりあえず
人気企業ランキングの上位30位から
適当に20社を選んでエントリーした。
どれに受かっても、誰も文句言わないでしょう。
・・・アホだったよね。
最初の壁は筆記試験。
熊は日本で義務教育を受けたことがないので、
「日本で二番目に長い川は?」
といった質問に当然答えられません。
一番目すら知らない。
興味もねえ🐻
「あなたにとって一番美しい川」
のような質問のほうが色んな意味で価値があると思うが、
これを語り始めると軽く3万文字超えちゃうので、
ここら辺にしよう。
結局ネット受験の場合はたまにGoogleで検索、
もしくは友達にやってもらった。
テストセンターは諦めるしかない。
このまま面接へ。
「意味不」の真意
最初の三社の面接時の熊の精神状態は、
まさに「虚無」だった。
「この会社が第一希望ですか?」
「ずっと日本で働くつもりですか?」
「学生時代のやりきった経験は何ですか?」
のようないくらでも嘘をつける質問を振られたりした。
場合によっては嘘をつくしかないよね。
第一希望しか受けてはいけないのか?
会社側だって第一希望だけ採用したければ、
人は足りないでしょう?
と心の中で色々不平不満があった。
ネットで調べてみると、
こういった質問は結構出てくるらしいと分かった。
考えよう。
何か対策あるはずだ。
そのヒントとなったのは、
海外にはない「総合職」の概念。
なるほどね。
あれは面接ではなく、
商談の場だ。
しかも普通の商談ではない。
まさに「総合職」という名の通り、
「総合力」が試されているのだ。
ビジネス場面で、競争相手より
自社サービスの全ての側面が優れている場合は珍しい。
まして業界全体、とくにトップ層と比べて、
一位と言える強みの数は片手で数えられる。
つまり、
ばりばり超研究特化路線以外、
自力でビジネスを取りに行ける能力は求められている。
作業分担前提で考えたら無能と思われる。
先に採用されるのは「リーダ」、
その後が「労働者」だ。
この本質が見えてから、
面接はめっちゃうまく行けた。
パフォーマンスは元々ギフテッドの強みなので、
おかげでどの国の外国人も苦戦しているのに、
熊だけが早々に良質な内定を頂き、
外国人向けの就職カウンセラーとして暇つぶしをし始めた。
主流社会に従い、
ストレスに感じることを視野に入れない、
結果論であらゆる疑念を振り払えば、
ギフテッドの能力を享受することができ、
優越感と全能感に浸かることができる。
「あー熊さん嫌なやつ!」
とこの話は自己満で終わればいいですが、
「繭の中のあのモンスター」は、
熊の歪んだ社会適用が気に食わないのだ。
盗人
グループ面接、グループ作業が必要な面接において、
優秀な学生が居るとかなり楽だった。
彼らに寄生するのではなく、
彼らを飲み込めばいいからです。
日本企業の面接で最低限評価されるためには、
協調性をアピールする必要がある。
よく言われているのは、
「最低限他の面接者の話をまとめ、
「それができたら自分の意見を述べる」こと。
この話を聞いた時点、根拠もないが
「これだけだと不十分だ」と思った。
他人の話をまとめるのは他人のパフォーマンスに依存するため、
他人より優れた意見が言えたとしても、
その起点となる他人が居なければあなたは何もできません。
なので、
当時の熊が考えた最高の盗みは、
盗んだことを面接官に気づかせないことである。
他人の意見を聞き、
同じレベルの発想や意見を言うのではなく、
その先の世界を先読みして、
その世界を前提に話を展開すれば、
盗んだことはなかなかバレない。
自分より先に発言した他の面接者の意見は、
当たり前のように熊の世界に包括されているように聞こえる。
つまり、面接官の目には、
「リーダ」と「追随者」の構成が自然にできている。
まともに企業研究もせずに、
面接官と面接者の仕草から心理を理解し、
初耳のことを広く遠くまで展開できるのは、
やはり自分の脳がすごいからだと思う。
ごく稀に熊の工作に気づく他の面接者も居るが、
彼らはなす術もなく帰るしかない。
繭の中のモンスター
強者は自分のために生きる。
弱者は卑怯に生きる。
かつて子熊の目にはこの二つのタイプしかなかったので、
自分を守るために信仰を作った。
その信仰が、
ピュアな弱者に出会ったときに崩壊した。
ある面接に不思議なオーラを纏う女性が居た。
熊がいつも通りに完璧なパフォーマンスをした後、
あの女性は熊のことを称賛しまくった。
面接官に
「何か別の考え方や違う視点がないか」と聞かれても、
女性は
「ないですね。熊さんの話を考えているだけ」と返した。
こいつバカだ。
相手を肯定するのは、
社内やビジネスパートナーとうまく連携が取れるアピールであり、
競争相手とやり合える能力を具備することもアピールしないといけない。
褒めて終わることってあるのかよ。
ここは社会福祉事業ではなく、搾取ピラミッドの頂点だ。
この子はダメだ。ビジネスセンスなさすぎ。
と色々思った。
※面接中
すると、謎の声が聞こえた。
ん?????
今の何?????
誰も世界の話なんかしてねえよ。
でもその発言・・・何か懐かしい感じがする。
あ、さっきのアイディアは当たりみたい。
面接官の目つきは真剣だし、
熊が話すときに限ってやったらメモするよな。
落とすつもりなら、軽く理由を書けばいいので、
こんな毎回毎回メモするようにリソースを使う必要はない。
これは勝ったな。
※面接中
そういえば、
彼女の熱意は本物のようだな。
熊は受かったとしても、
初日辞めるかもしれないぐらいやる気ないけど。
でも彼女はおそらくここだけではなく、
どこに行っても受からないだろうな。
そして人手不足のブラック企業に採用され、
うつ病になるだろうな。
※面接中
今回も楽勝だった。
あとは頭脳ではなく、
人柄の良さをアピールすれば完璧だ。
※面接中
彼女にこの内定を譲れないかな。
しかし、
直接面接官に言うわけにはいかないし、
仮に熊が内定を辞退したとしても、
彼女の番に回っていくとは限らない。
そもそも最初から内定取消し待ちの候補リストに居ないだろうな。
※面接中
こうやって、
その日の夜に内定の通知を頂いても、
熊はずっと椅子に座ってくよくよ悩んでだ。
猿の宴会
子熊からの支配と対抗しながら、
社会人デビューを迎えた。
誰もが入りたいエリートだらけの会社だ。
みんな高学歴に高知能に様々な賞を持っている。
内定式の夜は、
新入社員による懇親会だ。
何社の内定を取ったのか、
どこの内定を取ったのか
との話をよくされた。
すごい数を取った人は天狗になっている。
彼らに対して羨望な目線を向ける人が居た。
悔しさを隠そうとする人も居た。
興味ない人は熊だけだった。
熊の目に映っているのは、
猿の宴会だ。
皆は木の上でパーティーをしている。
そして食べきれないほどの数のりんごを持っている。
一口齧って捨てたり、腐るまで放置したりしている。
一方、
木の下にはパーティーに招かれていない、
お腹が空いている猿がたくさん居た。
その内定の数の話は、
この懇親会の後はもう二度とすることもないでしょう。
その内定の数は、
あなたのキャリアに何の影響もないでしょう。
必要な分、欲しい分だけ取ればいいのに、
称賛されるために取りに行く必要はあるのか。
・・・この世界は嫌だ。
やっと思い出した。
この世界が嫌だから、
嫌に感じないように自分を分離した。
子熊の頃は自分はバカだと疑ったこともあるため、
高知能でしか入れない世界に入ってみた。
しかし、
高知能の連中とも合わない本熊は、
一体何なのか?
どう生きていけばいいのか?
次回予告
次回!
子熊の逆襲に遭った
浅く虚しくアホらしく生きてきた熱帯雨林の熊が、
資本主義の社会で善を浸透させるために煉獄に匹敵する修行を行った。
お楽しみに。
🐺チワワ「いつ更新するかは言っていません」
🐻熊「早ければ三日、遅ければ三年かな」