後悔していること

特におばあちゃん子というわけではなかった自分が
なかなか気持ちが切り替えられないのは物凄く後悔してることがあるからだと思う。

ひとつは5/4、意識のあるおばあちゃんに会った最後の日。

痰の吸引器を使うことを拒否するおばあちゃんの説得に叔母さんと病院へ行った。
病室へは1人ずつしか入れないので先に叔母がが行き、私は休憩室で待っていた。
特に何を喋ろうかとかは考えていなかったけど
しばらくちゃんと会っていなかったからとにかく会いたかった。
叔母が戻ってきて
「全然納得してくれないからことちゃんからも言ってみて」
と言われ、その役目が自分にまで回ってくると思っていなかった私は
ひょえ〜、困った
と思いながらとりあえずおばあちゃんのいる病室へ向かった。
おばあちゃんはとても苦しそうに浅い息をしていた。口の中にはすでに痰が見えていた。
あまりにも苦しそうでびっくりした私は
「苦しいの？」
頷くおばあちゃん
「看護士さん呼ぼうか？」
首を横に降るおばあちゃん
私はしばらくおばあちゃんを見つめながらどうしたら良いのか分からなかった。

この呼吸の仕方が元からなのか
叔母が去った後からなのか
叔母に確認しようと思って一度退出した
叔母に
「あの呼吸の仕方はいつもあんな感じなの？」
と尋ねると一緒に病室に戻ってくれた
「ことちゃんびっくりしとるやん。ねぇお母さん、吸引器使ってもらおう？」
どうやら叔母と話している時からこの様な呼吸らしい
数日前、おばあちゃんの状態は安定してきていると聞いていたから
あまりにも苦しそうな姿を見てびっくりしてしまった
叔母が声をかけている隣で私は涙を流してしまった
こんなに苦しそうなのに、さらに痛いことをやれなんて言えなかった
何も声をかけられず涙を流し
おばあちゃんはわたしの顔をちらっと見た後目を閉じた

最後に見せた顔が泣き顔なんて最悪だ
泣いたせいでおばあちゃんは
自分の姿を見せて孫を泣かせてしまった
と思っただろう
一番苦しいのはおばあちゃんなのに
泣くべきじゃなかった
あの時、
おばあちゃんが今までずっと頑張ってきてるの知ってるよ
おばあちゃん凄いね、偉いね、はぐしていい？おでこにちゅーしていい？
これくらい出来たら良かったのに
今までそんなことしたことないけども、
最後なんだったらおばあちゃんが安らぐ様な
笑顔になれるようなことを言いたかった
あの日本当は野花を持って行こうかとも思ったんだ
急いでたし次の機会にしようと思ってやめてしまった

もう１つは今までの過ごし方
おばあちゃんとは二世帯住宅で一緒に住んでいた
会おうと思えばいつでも会える距離にいた
でもそこまで積極的に会っていなかった
父がおばあちゃんとドライブに行かない？
おばあちゃんとご飯食べない？
何回も誘ってきてくれたのを
様々な理由で何度も断ってしまった
本当に行けない時もあったけど
適当な理由をつけて断っていたこともあった

おばあちゃんのことは好きだけど
会って何の話をしたら良いか分からなかったし
せっかく会ってるのにすぐに帰るのもなと思って、一度会うと帰るタイミングも分からなかったし
父と三人でいると今度は父に色々と使われるのでそれも面倒だった
後から考えると全部馬鹿みたいな理由だ
会話がなくても毎日顔を見せるだけでも良かったんだろうな
父に使われるのが嫌なんて小さい理由だし自分の心も小さい
もっと自分から色々としてあげられる人間だったら良かった

おばあちゃんが死ぬなんてまだまだ先だと思ってたから
やるべきことを色々と後回しにしてきた
この状態でおばあちゃんが死んだら
後悔するだろうなと思ったこともある
本当に後悔する羽目になった

おばあちゃんが死んでから毎日おばあちゃんの家に来ている
亡くなった時に頂いた花の世話がメインだが
家の中の色んなところを覗いては
おばあちゃんのことを知ろうとしてる
おばあちゃんのオムライスと肉じゃがとかす汁美味しかったの、習っておけば良かったし
うちの家のこと、おばあちゃんの家のこと、もっと詳しく聞いておきたかった

おばあちゃんが毎日何を考え、何を見て生きていたのか
おばあちゃんという人間を、私は全然知らない
おばあちゃんから受け継いだものを私がまた下の世代に引き渡すということが出来ない

今になってとても、おばあちゃんと話がしたい