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アライ・クリスチャンは何をするのか

Rom. 12:2 この世と調子を合わせてはいけません。むしろ、心を新たにすることで、自分を変えていただきなさい。そうすれば、神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に喜ばれ、完全であるのかを見分けるようになります。
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長いことクリスチャンをやってる方は、このみ言葉を何度も聞いたことがあると思います。
「この世と調子を合わせてはいけません」とはどういう意味でしょうか。こういうメッセージを聞いたことはないでしょうか。
「『ありのままで』という言葉がはやっていますが、クリスチャンはありのままではいけません。いつも悔い改めをしましょう」とか、
「世の中では、同性愛者を社会の中で受け入れようといっています。しかし、キリスト教には独自の価値観や道徳観があって、世間で流行っているような考え方を安易に取り入れてはいけない」
「この世とは、お金のことです。しかし、クリスチャンの優先順位は何でしょうか。神を第一とすることです。」
「この世は、偶像を拝んでいます。それは地位、金、名誉です。そういうものを求めてはいけません。」
という考え方です。
しかし、こういう論法の問題点は、ローマ人への手紙の1章から11章までの議論を無視して、パウロを突然現代に連れてきています。パウロに21世紀の社会状況を語らせます。
ローマ書の1章から11章までで議論されていることは、
·         福音はすべての人に告げられたものだ。
·         しかし、ユダヤ人クリスチャンは「すべてのクリスチャンはモーセの律法を守らなければならない」と主張していた。
·         一方で、異邦人クリスチャンは、「ユダヤ人クリスチャンは、いつまで律法に囚われているのか」と主張していた。
·         パウロは言います。「ユダヤ人とギリシア人の区別はありません。同じ主がすべての人の主であり、ご自分を呼び求めるすべての人に豊かに恵みをお与えになるからです。」(ローマ10:12)
こういう議論の後で、パウロは「この世と調子を合わせてはいけません」と言うのです。
12章で「この世」という言葉を考えると、この世とは、私たちの間にいつも分裂と敵意をもたらす仕組みです。
さらに、パウロが持っている教会に対する関心事という面から考えてみても、この考え方があてはまります。たとえば、ローマから遠く離れたコリントでも同じことが言われています。この町のクリスチャンたちは、誰に洗礼をしてもらったかが重要なことでした。それが教会の分裂を産みました。
1Cor. 3:3 あなたがたは、まだ肉の人だからです。あなたがたの間にはねたみや争いがあるのですから、あなたがたは肉の人であり、ただの人として歩んでいることにならないでしょうか。
1Cor. 3:4 ある人は「私はパウロにつく」と言い、別の人は「私はアポロに」と言っているのであれば、あなたがたは、ただの人ではありませんか.
この世とは、誰がより優れているか。誰が敵で、誰が味方か。教会で言うと、誰がより聖書を知っているか、どの神学がより真理に近いか、そういうことで、人を分けるのです。イエスの弟子たちも、だれがより偉くなれるかという発言をして、イエスにたしなめられています。それが、この世というものです。
「この世と調子を合わせてはいけません」とパウロがいう時、それは「教会が敵意で分裂を引き起こすようなことがあってはならない」と言っているのです。
そして、こう言います。「むしろ、心を新たにすることで、自分を変えていただきなさい。」「自分」という言葉は、ローマのクリスチャン全体を指しています。ですから、教会が変えられるのです。教会が敵意と分裂から離れて、和解と一致を目指しなさいと言っているのです。
パウロの手紙ではありませんが、新約聖書の他の箇所でも和解と一致が命じられています。
エペソ2:14-16は、こう言っています。
実に、キリストこそ私たちの平和です。キリストは私たち二つのもの(「2つのもの」とは、ユダヤ人クリスチャンと異邦人クリスチャン)を一つにし、ご自分の肉において、隔ての壁である敵意を打ち壊し、
様々な規定から成る戒めの律法を廃棄されました。こうしてキリストは、この二つをご自分において新しい一人の人に造り上げて平和を実現し、二つのものを一つのからだとして、十字架によって神と和解させ、敵意を十字架によって滅ぼされました。
 
私たちはこのような意味で、「地の塩、世の光」となるのです。
 
教会には多くの壁が存在しています。ジェンダー、セクシャリティ、既婚者、独身者の壁、子供がいるかいないか、経済格差、人種による壁があります。5月22日、29日の配信で、天満レインボーチャーチは、LGBTQのための教会、女性のための教会であると言いました。それは、ジェンダー、セクシャリティの垣根を超えて教会を建てあげるということです。そして、それは教会や社会にあるあらゆる垣根を、壁を壊していく働きです。
壁を壊すとは、ただ「みんな同じ」とか「ジェンダーとかセクシャリティは、神さまの前には関係ない」「多様性を大切にしよう」と言って終わるわけではありません。教会の中にも家父長制というような「この世」の制度が入り込んでいます。そして、シス女性やセクシャルマイノリティーの方々が傷つくのです。多様性を傷つける制度が教会にも忍び込んでいます。教会はこういうものから離れなければなりません。
このような教会でアライのクリスチャンができることはなんでしょうか。それは和解への働きかけです。寺田ルカさんというクリスチャンの方で、「約束の虹ミニストリー」という働きをしている方がいらっしゃいます。この方の講演を聞きました。トランスジェンダーの当事者の方です。彼の働きはセクシャリティの垣根を超えて信仰を伝えていくというものです。私たちアライも、そのような働きに身を置いています。一人一人では難しいかもしれません。アライは、自身のセクシャリティのために傷ついている人を励まし、アライ同士でも励まし合い、垣根や壁のない教会や社会を作る人でもあります。今日この配信をご覧いただいているみなさん、教会にあるいろいろな壁や垣根を取り除いていきましょう。私もみなさんとともにいます。
ところで、ここで紹介したいウェブサイトがあります。聖書プロジェクトのウェブサイトです。聖書は66巻のストーリー、手紙、詩からできています。それらを読むのは大変です。簡単ではありません。どうやって読んだらいいのか、何が書いてあるのか。手引きやガイドのようなものが役に立ちます。聖書プロジェクトでは、たくさんのYouTube動画をアップロードしています。お時間のある時に是非ご覧ください。このあたりにURLを貼っています。

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