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torito旅しんぶん

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南伊豆にある下賀茂商店街の空き店舗を、1ヶ月借りて開いた、期間限定のちいさな旅食堂torito。週替わりで、わたしがこれまで旅した5カ国のをテーマにしたおやさいランチを、お届けし…
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【Burkina Faso】「あなた」に会いに来ました。|vol.5|torito旅しんぶん

【Burkina Faso】「あなた」に会いに来ました。|vol.5|torito旅しんぶん



 頭上に揺れる水瓶、すっと背筋の伸びた立ち姿、つややかな黒い肌、鮮やかなアフリカ布の色、赤茶けた大地、曲線を描く木々、駆け回る子どもと動物たち。

 アフリカ、と聞けば脳裏によぎる景色。そこに、写真のように微動だにせず、凛々しく佇む「彼女」がいる。いつからかずっと心の中にあるこの景色は、一体どこなのだろう。

 わたしは、ずっと「彼女」に会いたかった。

 ついに、アフリカの大地を踏むのだ。

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【Croatia】光っている。どこまでも、青く。|vol.4|torito旅しんぶん

【Croatia】光っている。どこまでも、青く。|vol.4|torito旅しんぶん



 光っている。いつだって、きらめいている。まるで、溶かしたガラスに浮かんでるような、なめらかでやわらかな海。まるで、水の一粒一粒が太陽から光を分けてもらったかのような、きらきらと光輝くとうめいな海。アドリア海のやさしく淡いブルーが、旅を、よりロマンティックにする。思い出す景色は、いつも眩しく光っていて、その隣では、あの子がいつも笑っている。

 あの街を光らせているものは、なんだろう。

 ど

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【Mongolia】あるもんで生きるをくれた国|vol.3|torito旅しんぶん

【Mongolia】あるもんで生きるをくれた国|vol.3|torito旅しんぶん



 草原を自分の足で歩き、見知らぬゲルの戸を叩き、そこに生きるひとたちと、出会い過ごしめぐったモンゴルふたり旅。「あるもんで生きる」を体現する遊牧民の人々と過ごした1ヶ月は、いまの暮らしを選ぶ契機となった。

 旅の隙間、ぽちぽちとiPhoneに綴っていた日記。その中にいるわたしは、とても素直でたくましい。ちゃんと悩み、向き合い、答えを生きようと必死になっている。モンゴルの景色と紡いだ純粋な言葉

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【Cambodia】「あなた」の隣で見た景色|vol.2|torito旅しんぶん

【Cambodia】「あなた」の隣で見た景色|vol.2|torito旅しんぶん



 たったひとりの友との出会いで、世界の景色が一変することがある。

それが、旅先でなら、尚更だ。

 わたしにとって、彼女はそんな存在だった。

 

「こんにちは、わたしはカンボジア人です。
本名はSakriknyだけど、みんなNiniと呼んでます。よろしくね。」

  カンボジア人? 流暢な日本語?!
こんな小さくて可愛い子が、すごい…。

「に、日本語、ジョウズデスネ…!」

 

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【Korea】どこもかしこも「本気」でカワイイ国|vol.1|torito旅しんぶん

【Korea】どこもかしこも「本気」でカワイイ国|vol.1|torito旅しんぶん



 初めて韓国に降り立ったのは。十年前、大学一年生の冬休み。二月の韓国は寒い。頬の感覚が無くなるほどの寒風が吹いているにもかかわらず、韓国の原宿と言われるミョンドンは、どこもかしこもきらめいていた。

 華やかなショーウィンドウ、ぎっしり詰まったアクセサリー、色鮮やかなコスメティックが並ぶ店の隣には、熱々のトッポギやホットック屋台が並ぶ。口を開けば「かわいい」と「おいしい」。ただそれだけを息

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