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HADOにおける後衛の考え方その1「思考を止めるな」

(総文字数:3625文字、記事を読み終えるのに必要な時間:約5分) 

Pro eSports Team 思考行結のHADO部門「思考行結-あひる組-」で活動をしている雨蜂(あめばち)です。

今回は、テクノスポーツ”HADO”において、後衛プレイヤーは試合中になにを考えているのか、について話したいと思います。

読者層としては、ビギナーズ~アドバンス(初心者~中級者)を想定していますが、この記事を読めば、さらに強い後衛プレイヤーになれるはずです。

なお、この記事は前衛プレイヤーが読んでも価値があるように設計をしていますので、よろしければ前衛プレイヤーの方もご覧ください。

まずは、この動画を80秒(試合終了まで)ご覧ください。
※めんどくさかったら30秒くらいでもいいよ!

これは、2018年12月に開催されたHADO WORLD CUPの決勝戦です。

これを見るとわかるように、両チームとも前衛が2人、後衛が1人というスタイルで戦っています。

この前衛2/後衛1という陣形は非常にオーソドックスなスタイルとなっており、個人的にはHADOの基本となる陣形だと思っています。

その中でも、今回は後衛ポジションについて考えていきましょう。

目次
・HADOにおける前衛とは
・後衛(雨蜂)が試合中に考えていること
・リスクを均等にしろ
・前衛は体を使い、後衛は頭を使う
・まずはシールドを壊すことから始めよう
・最後に

HADOにおける後衛とは

HADOの一般的なフォーメーションとしては、先述のようにエリアの前に2人置き、エリアの後ろに1人置くスタイルが一般的です。

後衛ポジションのメリット・デメリットとしては以下のようなものがあります。

メリット
・被弾が少ない
・安定してエナジーボールを撃てる

デメリット
・前衛ポジションよりも物理的に相手との距離が空くため、狙う際にコツがいる

上記のメリット、デメリットを見ても、「攻撃に特化しやすい」ことが後衛のメリットです。

流れ弾にさえ気を付けていれば、前衛ポジションほど激しい動きをする必要はありません。

しかし、その分後衛プレイヤーは「頭を使う」という見えない動きをする必要があります。

後衛(雨蜂)が試合中に考えていること

私はチームの中でも主に後衛を担当しています。

実際に私が試合中に考えていることを羅列すると、以下のようなものです。

・羽が1枚の相手プレイヤーは誰だ
・シールドを張ろうをしている/張ったのは誰だ
・全体のスコアは勝ってるのか、負けているのか

おそらくここまではHADO初心者でも意識できているかと思います。

上記に追加して、以下のようなことを常に頭の中で考え、計算し、最適解を出し続けるようにしています。

・相手のチームでポイントを稼いでいるのは誰だ
・味方の前衛2人で押し負けている、押し勝っているの誰だ
前衛2人の危険度(リスク)は均等になっているのか
・味方の前衛が負けている理由は何だ、後衛がすべき動きは何か
・残り時間はいくつなのか、残り時間であと何ポイント稼がないと負けるのか
・相手が嫌がっているプレイはなんだ

箇条書きの中で一つ、太文字にしたものがあります。
それが以下です。

・前衛2人の危険度(リスク)は均等になっているのか

リスクを均等にしろ

HADOにはプレイヤー間において相性の良し悪しがある程度存在します。
AさんはBさんには勝てるけど、Cさんはちょっと苦手……というようなものです。

また、HADOはライフを4枚抜かれてダウンすると、エナジーボールを撃つためのチャージ機能もストップしてしまうため、以下のようなループが起きがちです。

ダウンする⇒相手がチャージを貯める⇒ライフが復活する⇒相手だけチャージが溜まっているので一方的に攻撃される⇒ダウンする 以下ループ

これを通称”リスキル”と呼びます。

リスキルのパターンに入ってしまうと、個人の力だけで抜け出すことは非常に困難になりがちです。

なぜなら、ダウン中に相手はシールドを張ることも出来るし、チャージも自由に行えるため、ライフ復活後は圧倒的不利な状態からの勝負になるからです。

そうならない為にやることが「リスクの均等化」です。

前衛のプレイヤーをA、Bとしましょう。

Aのスコアは3-3、Bのスコアは1-3だとします。

その際、後衛がサポートすべきはどちらでしょうか。

この状況では基本的にBをサポートするのがベストだと考えます。

Aは一進一退の攻防が続いています。これは後回しでも大丈夫です。
しかし、Bは1-3になっている段階で、攻め切れておらず、かつ倒され続けていることが分かります。

これは、スコアだけの問題ではありません。

プレイヤーが一人減ることで相手のシールドを壊すスピードが遅くなる、という「チーム全体の問題」にまで響いてくるからです。

また、チーム総数におけるエナジーボールの数が減る、ということは「相手へのプレッシャーが少なくなる」ことにつながります。

試合に勝つための基本は、「相手の嫌がることをやり続ける」「自分たちのやりたいことを押し付ける」ことです。

そのため、試合中の後衛プレイヤーは常に「前衛プレイヤー2人が受けているリスクを均等に維持し続ける必要」があります。

リスクを均等に維持し続けるためには、

・羽が1枚の相手プレイヤーは誰だ
・シールドを張ろうをしている/張ったのは誰だ
・全体のスコアは勝ってるのか、負けているのか
・相手のチームでポイントを稼いでいるのは誰だ
・味方の前衛2人で押し負けている、押し勝っているの誰だ
・味方の前衛が負けている理由は何だ、後衛がすべき動きは何か
・残り時間はいくつなのか、残り時間であと何ポイント稼がないと負けるのか
・相手が嫌がっているプレイはなんだ

これらを瞬時に頭の中で計算し、最適な動きをしなければなりません。

前衛は体を使い、後衛は頭を使う

後衛ポジションはその立ち位置からフィールド全体を見渡すことが出来るため、試合全体のコントロールを行う指揮官としての役割もあります。

前衛プレイヤーは、後衛プレイヤーが冷静に計算を出来るようにヘイトを稼いでエナジーボールを避ける必要があります。

後衛プレイヤーは、前衛プレイヤーのリスクがどちらかに偏らないように、常に頭で試合の動きを計算し、最適な答えを出し続ける必要があります。

どちらか一方が崩壊しても、チームとしての動きは成り立たなくなります。

前衛は後衛のために、後衛は前衛のために。

ポジションに貴賤(きせん)はありません。

前衛は前衛ですべき仕事があり、後衛は後衛ですべき仕事があります。

前衛は勝つための動きを行い、後衛は負けないための動きを行いましょう。

まずはシールドを壊すことから始めよう

とはいっても、いきなり上記のすべてを初心者が意識しようとしても、どこから考えればいいのか分からなくなります。

そんな時は、まずシールドを壊すことから始めましょう。

具体的には、相手がシールドを張ろうとするモーション(手を下げる動作)をとったら、攻撃を止めてチャージします。
そして相手がシールドを張った瞬間に3発のエナジーボールを撃ちます。

相手が張ったシールドが1だと仮定した場合、3発のエナジーボールが当たった1.5秒後※にシールドが壊れます。
※シールドの時間経過による劣化を考慮しない場合。

試合中、味方の前衛がシールドを壊すためにエナジーボールを使わなくていいようになれば、次のステップです。

今回、箇条書きにした以下の内容を一つずつつぶしていきましょう!

・羽が1枚の相手プレイヤーは誰だ
・シールドを張ろうをしている/張ったのは誰だ←横線入れられるか?
・全体のスコアは勝ってるのか、負けているのか
・相手のチームでポイントを稼いでいるのは誰だ
・味方の前衛2人で押し負けている、押し勝っているの誰だ
・味方の前衛が負けている理由は何だ、後衛がすべき動きは何か
・残り時間はいくつなのか、残り時間であと何ポイント稼がないと負けるのか
・相手が嫌がっているプレイはなんだ

最後に

「後衛は動かなくて前衛よりも楽だわー」なんて思ってた時期が私にもありました。

しかし、対戦相手が強くなるたびに、脳死で相手のライフを削っていれば勝てるフェーズではなくなっていきました。

前衛プレイヤーは試合中に後ろを振り向けません。そのため、後衛プレイヤーが何をしているのか一切分かりません。

だからこそ、後衛ポジションは常に前衛プレイヤーが戦いやすい環境を"試合全体の流れを見ながら"提供する必要があります。

前衛プレイヤーは試合中、後衛プレイヤーに対して何も言ってくれません。

当然です。

彼らの仕事は「後衛プレイヤーに助けを求めること」ではないからです。

だからこそ後衛は常に、「我々の前衛は何を求めているのか」「相手の前衛は何を嫌がっているのか」を考え続ける必要があります。

前衛は勝つための動きを行い、後衛は負けないための動きを行います。

それがかみ合うことで、初めて強いチームになります。

これを忘れないでください。

もし、今回の記事について気になる点、分からない点があれば気軽にTwitterでも練習試合の時とかでも良いので質問してみてください:)

より、楽しい後衛ライフを。

執筆:Rainbee@雨蜂

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