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[戯言戯言日記] さだかではない

6月15日(火)

 スープカレーというのがある。スープのようなカレーなのか、あるいはカレーのようなスープなのか、はたまた、カレーを入れたスープなのか、スープに溶いたカレーなのか、さだかではない。このスープカレーはどうやら札幌名物ということになっており、札幌には我こそが元祖であるというスープカレーの店がいくつもある。元祖とはどういう意味であったのか、それもさだかではない。
 そんな元祖の一つに、薬膳カレーというのがある。店の表記に倣うなら薬膳カリィとなる。その薬膳カリィを今日も食べに行った。一年ぶりぐらいだろうか。もっと間が空いただろうか。好きでよく食べに行く、という認識でいたけれど、思い返してみると数年に一度ぐらいしか足を運んでいない。以前食べたときと印象が異なるような気がしたけれど、もはや記憶のかなたにある前回食べたものはぼんやりとしてはっきりせず、味が変わったのか、記憶のほうが変わったのか、それもさだかではない。
 外食産業が苦境を強いられる中、この店も例にもれずいろいろな対策をして営業していた。大きな文字で「黙食」と書いてある。黙って食う。アクリルの仕切りが立ち、「黙食」という字に見降ろされながら食す薬膳カリィは、やはり前に食べたものと印象が異なるような気がした。それははたして味そのものの変化なのか。それとも以前来た時にはなかった現在ならではの対策によるところなのか、それもさだかではない。
 昼食を振り返るだけでなにもかもがさだかではない。さだかなことなどなにもないのかもしれない。

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