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読みづらい記事を書くための10のコツ

 みなさんいかがお過ごしですか。季刊雑誌を待つかのように呑み書きを楽しみにしているわたくしです。呑みながら書きすぎて呑まなくても呑んでるような文章を書き、どんどんマイナー路線に突入していっているような気配もありますが、やはりインフルエンザーとして病的に蔓延したいという野心を抱えているのであり、ここは然るべきnoteの書き方をおさらいせねばならぬのである、と公式のガイドを参照することにしたのでありました。

 これを参考にすれば読みやすい文章が書け、ワクチンのブロックなどにもマケズ、インフルエンザーに感染させることができるのである。この記事はとても詳細に書いてあるようですごい文字数だ。とても読みきれないので一番上の目次だけ見て内容を想像し、その内容をここにまとめてみることにする。


1. 本文を逆三角形の構図にする

いきなり難しいことを言ってくるではないか。
 逆三角形である。 一般に三角形というの
  は一辺を水平に起き、上に凸な形に配
   置するのである。それを逆に、水
    平にした辺の下に三つ目の頂
     点が来るようにしろとこ
      ういうわけだ。それ
       はつまりこのよ
        うに非常に
         難しい
          こ

スマホに対応させようとしたら書きたいことが書ききれなかった。仕方がない。逆三角系なのだ。いや三角形。これ以上ないほど読みやすい。むしろ斜め方向に読みたくなり、ここにも意味をもたせつつ書くという恐ろしく高度なことを要求され始めるような気がするが、とてもじゃないが酔った頭でできる芸当ではないのでお預けとする。

2. スマホで読む人向けに改行する

スマホで読む人向けに改行しなければならない
 のはやはり逆三角形はスマホベースで作れ
  ということなのであろう。スマホの文
   字数は固定なのだろうか。機種に
    よって違うとしたらこの大変
     な労力は単なる徒労に終
      わっているのではな
       いだろうか。こ
        のようなも
         のを酔
          っ

どうすればいいのだ。字数が足りない。

3. 図版や写真などの要素を入れる

要素とは一体なんだ。どこに入れるんだ。逆三
 角形の中に写真など入れられるのか。無理
  だろう。

写真などの要素

ほら見ろ。今僕は「だろう。」の後ろに写真を入れたかったのだ。なのにこのありさまだ。逆三角形は写真などのヨウ素によって破壊されてしまったのだ。

4. 1文を短くする

 出た。よく言われるやつだ。一文を短くする。簡単だ。細切れにすればいい。修飾語は不要。形容詞、副詞、接続詞を排除する。朝のルーティンを書こう。

 起きた。着替えた。顔を洗った。飯を食った。糞をした。コーヒーを入れた。呑んだ。仕事をした。

 素晴らしい。日本語において主語は必ずしも必要ないので極力排除する。動作の同時進行性などは文を長くする原因になるので無視する。コーヒーを呑みながら仕事をした、という文は長すぎるため、コーヒーを呑んだ。仕事をした。と二文に分けるが良い。呑みながら感を出したければ「仕事」という漠然とした説明をやめ、「コーヒーを呑んだ。コンピュータを起動した。コーヒーを呑んだ。パスワードを入力した。コーヒーを呑んだ。むせた。飛び散った。しずくを拭いた。メールをチェックした。コーヒーを呑んだ。」とかいう具合にしたらよろしい。非常に動作に忠実な情景を伝えることができるだろう。

 完全にバカみたいなことを書いているが、実際の話、「形容詞、副詞、接続詞を排除する」というTipsはかなり使えるので、自分の書いている文が冗長だと感じる場合にはやってみると良い。基本的に形容詞、副詞、接続詞はすべて無くても意味が通るはずで、これを排除して意味が通らない文章はどこか間違っている。逆にわかりにくい文章を書きたいときは無用な形容詞や副詞を詰め込み、古今東西の接続詞を満載して一文を伸ばすと良い。

5. 動作とその説明をする言葉同士を近くする

 動作の説明をする言葉というのは副詞のことだろうか。これは例えばどういうことを言っているのだろう。「彼は人間とは思えないほどの素早さで、バランスを崩してテーブルから落下したワイングラスを拾った」みたいなのを「彼はバランスを崩してテーブルから落下したワイングラスを人間とは思えない程の素早さで拾った」にしろ、というようなことだろうか。たしかにこの前者の文は後者のようにしたほうが幾分マシではあるが、そもそもこういう問題が発生する文は冗長であるので文自体を分割したほうが良かろう。逆に、もっとどうでもいいヨウ素を追加して数回読まないと意味がわからないような文にする、という方向もあり得る。僕は割とそういうことをやる。

6. 漢字・ひらがな・カタカナのバランスを調整する

 また実に難しいことをおっしゃる。流し読みしやすくするには漢字、特に熟語を使ったほうが良い。
「けさぼくはおきるやいなやせいだいなくしゃみをし、はずみでおならがでるとどうじにおしっこももれた。」といった文章は読みづらいため漢字を入れるわけだが「今朝僕は起きるや否や盛大なくしゃみをし、はずみでおならが出ると同時におしっこも漏れた。」という風にするとおならやおしっこがひらがなすぎてどうも幼稚に見えるのでこの辺を熟語化する。「今朝僕は起きるや否や盛大なくしゃみをし、はずみで放屁すると同時に失禁した。」となる。漢字・ひらがな・カタカナのバランスを調整しなければならないがここにはカタカナが入っていないため、「今朝僕は起きるや否や盛大なクシャミをし、はずみで放屁すると同時に失禁した。」という具合にくしゃみあたりをカタカナにする必要がある。

7. タイトルと見出し画像を設定する

 タイトルはとても重要だ。一目見てギョッとするようなのが良い。内容に即しているのが望ましいがタイトルには多少ハッタリもきいていたほうが良かろう。さらに、タイトルの印象にあう画像を設定したほうが良い。画像がないと文章だけで勝負する自信があるような印象を与えるため、そんなことはないんですよと慎ましく画像を置いておいた方が良いだろう。なお私の投稿に画像を設定していないものが多いのは単に面倒くさいからであって文章に自信があるわけではないし文章だけで勝負するつもりでもない。この投稿のタイトルは公式からパクってほんの少しだけ改変したものなので最強である。意味が反対になってしまったような気もするがほとんど同じ文字列のはずなので気のせいだろう。

8. 声に出して読んでみる

 これはよくいろんなところで聞く。良い文章を書くためには声に出して読んでみたほうが良いらしい。ちなみにこの投稿のタイトル画像は私の小説から抜き出してきたテキストであるが、声に出して読めない。読んでみようとしたのだが読めなかった。声に出して読んでみようとしたら無理だったような文章こそ最強である。読みづらいとかいう次元ではなく不可能である。理解不能だ。読みにくい文章の究極が読めない文章ではないだろうか。究極はすごい。とりあえず強そうであり、インフルエンザーになるには多分重要な要素だ。究極、極限、月極。極という時には迫力がある。何事においても極まっているほうが良いし、行き過ぎているほうが良い。

9. ほかの人に読んでもらう

 ほかの人というのは自分ではない人という意味であろう。ほかの人に読んでもらう。もちろん読んでもらうためにここに書いて公開しているわけだが、ここで言うところの「ほかの人に読んでもらう」は、公開するまえに、事前に読んでもらう、という意味だろう。事前に読んでもらい、「…なにこれ」と言わせることができるかどうかが勝負だ。「なにこれ」の前の「…」が長いほどその文章は(いろんな意味で)圧倒的だという指標になる。誰か事前に読んでくれそうな人がいる時点でちゃんと友達がいるということでもあり、なんらかの安心が得られそうだ。ちなみに私にはそういう人はいないため、誰にも読んでもらっていないものをいきなり公開している。そのためこういう文章がどんなふうに受け止められるのか一切わからない。博打のような状態で公開ボタンを押し、多くの場合爆死する。

10. 他のクリエイターのコツを参考にする

 ここで気になるのはなぜ「ほかの人に読んでもらう」のに「他のクリエイターのコツを参考にする」となるのかである。ここでクリエイターのほうの「ほか」を「他」と漢字にしてあるのは例の「漢字とひらがなとカタカナのバランス」をあれしたからである。クリエイターはかたかななので他を漢字にし、人は漢字なのでほかをひらがなにしたのだ。なのでねこに読んでもらう場合、「ホカのねこに読んでもらう」といったぐあいにホカはカタカナになると想像される。
 他のクリエイターの文章を参考にするのではなく、コツを参考にすると書いてある。つまりは、コツを公開しているクリエイターを探せという意味である。しかし目の覚めるような文章を書いている人がコツに言及した文章を公開しているとは限らず、なかなか「コツ」としてその辺に落っこちてはいないあたりが難しい。

 以上のように、10項目にわたって解説されていた「読みやすい記事を書くための10のコツ」を積極的に実践し、友達がいないため実践できなかった項目をボーゼンと眺めつつ泣く泣くスキップし、最終的に読みづらい文章を書く方法を発見した。

 かくも文芸は面白く、奥が深い。当分書くべきものはありそうだ。

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