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導かれし わたし

 風の向くまま気の向くまま。わりとのらりくらりと過ごしている。信念らしきものを底の方にひそめ、そこがあまりぶれないから頑固に見られることもあるけれど、実際はけっこうふらふらゆらゆらと進んでいる。

 前にどこかに書いた気がするけれど、わたしは欲しい本を丸善やジュンク堂、文教堂が一緒になってやっているhonto というサービスの「欲しい本リスト」に入れて管理している。管理しているなんていうと管理しているみたいだけれど(何を言っているのかわたしは)、実際は備忘録的に、メモ代わりに入れてあるだけだ。

 このリストに入れておくと、丸善、ジュンク堂、文教堂などの店舗ごとに、そのリストの本の在庫があるかどうか、アプリ上で確認できる。在庫がある場合、店内のどこにあるかまでわかる。店頭にある検索端末と同じようなことがスマホアプリで可能なのだ。

 これが便利だからとりあえずこれに入れておく。そしてそのリストにある本を買いに行くのだけれど、意外と、その買いに行った本を買わずに別のものを買って帰ることが多いことに最近気づき始めた。リストの本が減らず、買ったものが増える。

 honto では対応する店舗で本を買う時にポイントカードを通してもらうと、その買った本の情報が自動的に「My本棚」というところに入る。何を買ったのか一目瞭然なのだ。この本棚には他店で買ったものを手動で登録することもできる。リストの本を買うと翌日にはリストから消え、本棚に登録される。

 先日、ある本を買おうと思い、本屋に向かう途中で在庫確認をし、その本のある売り場へ直行した。目的の本はあっさり見つかったのだが、その周辺に並んでいる本が魅力的だった。並んだ背表紙のタイトルを見るだけでワクワクする。どれもこれも面白そうだ。

 目的の本を確認して一旦棚に戻し、周辺の棚をしばらくうろうろした。欲しい本が大量に増えてしまった。どうしよう。買いに来た本はあったが、それよりももっと興味深いものがある。うわーと嬉しい悲鳴を上げながらうろうろうろうろして、小一時間迷った。どれを買おうか。

 さんざ迷いに迷って一冊の本を手に取って購入。

 それを読んでいたら、なんとこれまでにも興味を持ってあれこれ読んだ分野の話も出ていたり、新たに興味を持てる話も出てきたり、それになにより、このまえつぶやきで書いたのだけれど、小説のアイデアとして構想していた要素の一つが、紹介されていたのだ。

 まだ書き始めていない小説なので詳細は伏せておくけれど、ちょっとSFっぽい作品で、ある精神的な状況を考えていたのです。特殊な状況下で脳の知覚がおかしくなり、それに伴って精神に異常を来すというような。そうしたら、わたしのまったく知らなかった病気として、それに名前がついていて研究されているということが書いてあった。

 なにげなく手に取った本。タイトルと帯で興味を持って、これはきっとわたしの興味のある世界の本だと思って買ってみた本。それはまぎれもなくこれまでとこれからをつなぐわたしの途上にある本だった。

 実はそういう体験は今回が初めてではなく、わりとよくある。気の向くままに進んでいるのに、何かに導かれるように道を進んでいる感覚。ある程度進んだところで全体を俯瞰するような知識に出会い、ああそうだったのか、というようなことがある。

 これはきっと、書店の棚が素晴らしいということでもあるような気がする。これだからこだわりのある書店で本を探したいのだよね。買いたい本が決まっているならオンライン購入でもいいのだけれど(実際honto はアプリからもサイトからも通販で買える)わたしは必ず書店へ探しに行く。で、買いたかったのと違う本を買ってしまう…。

 リストに入れた本がなかなか買えないという事態は発生しているのだけれど、自分としては満足が得られているのであります。いや買うよ、リストに入れた本も。買う、必ず。いずれ…。

 買う買う詐欺やこれ…

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