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ZOOM F6「32bit float 録音でゲイン設定不要」は本当か?

 最近話題の32bit float 録音。録音ゲインの設定が不要で音割れしないという夢のような録音形式。その32bit float 録音に対応したレコーダーであるZOOM のF6。

 Amazon では品薄すぎてわけわからない値段になってたので我らが機材屋さんのリンクを貼っておく。ちなみに私のF6も機材屋さんで購入したもの。

 F6は32bit float 録音ができる機材だが24bit の録音にも対応しており、6つの入力にはそれぞれゲインコントロールのつまみがついている。このつまみは32bit float 録音時にも有効で、ゲインの変化に応じてヘッドホンから聞こえる音量が変化する。

 果たして、この入力ゲインの操作は本当に録音されるデータに影響しないのだろうか。本稿ではそれを検証してみる。

検証内容

  • 48kHz/32bit float 録音

  • 二種類のマイクでそれぞれゲイン±0.0dbと+24.0dbの状態を録音

  • 録音開始後につまみを操作してゲインアップ、ダウン操作をしてみる

上記の内容で録音を行った。
F6の入力1~4ch  を使用し、以下のようなマイク、設定で録音行う。

  1. audio-technica AT-8015 : gain ±0.0db

  2. audio-technica AT-8015 : gain +24.0db

  3. audio-technica AT-2035 : gain ±0.0db

  4. audio-technica AT-2035 : gain +24.0db

録音されたデータの確認

F6で録音したデータをCubase に読み込んだ状態(拡大表示)

 録音したデータをCubase にインポートしてみたところ、0.0dbと24.0db の差は明らかにあり、録音されたデータの波形の大きさが異なっていた。

 ただし、録音開始後にゲインを変化させても録音データには影響がなかった。録音開始時にゲインがどうなっているかで、録音される波形の大きさ(つまり音量)が決まるようだ。

 つまりどういうことかというと、F6においては、ゲインコントロールは録音されるデータに対して全く無関係ではなく、録音開始時のゲイン状態によって録音データの音量が変化する。

ポストプロセスで増幅して比較

 録音した4つのデータをすべて同じ条件でノーマライズしてみる。

Cubase で4トラックすべてにピーク-6.0db 設定でノーマライズをかけた状態

 同じ条件(ピーク=-6.0db)でノーマライズすると、4トラックともほとんど同じ波形になった。

 見た感じ似たような波形ではあるが、1, 2トラックと3, 4トラックはそれぞれ使用したマイクが違い、1, 2トラック間、3, 4 トラック間においても同じ機種のマイクを物理的に並べた状態で録音しているため全く同じ音ではない。そのため完全に同じ波形にはなるはずがないので完璧な比較はできないのだが、あまり大きな差が無さそうであることは見て取れる。

ノイズフロア比較

 ノーマライズ後のデータで、ノイズフロアを比較してみる。

AT-2035で0.0db で録音したものをノーマライズしたデータのノイズフロア
AT-2035で24.0db で録音したものをノーマライズしたデータのノイズフロア

 元データには24.0db分の差があったのだが、それぞれをポストプロセスで増幅したデータには、それほど大きな差は認められなかった。少なくともハイゲインで録音したものの方がノイズレベルが低い、あるいは高いといった明確な差は認められなかった。

結論

 F6 のゲインコントロールは、32bit float 録音であっても録音開始時のゲインによって録音される波形に影響を与える。(録音開始後の操作は影響しない)

 しかし、ポスト処理でレベルを統一すれば録音時のゲインよる影響は無い。

 よって録音時のゲイン設定は録音時のモニタしやすさ等に応じて決めて良いと言える。

感想

 F6 での録音でレベル設定が音に影響している気がして納得できていなかったので、今回検証してみてすっきりした。これで今後迷わずに録音できそうである。

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