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太い万年筆が好き

 万年筆を愛用し始めて一年と少し、経った。使いながら、次第に自分の好みがわかってきた。

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 今愛用しているのはだいたいこのあたり。全部プラチナ万年筆のもの。

 写真の左三本はPlaisir(プレジール)というシリーズのもので、黒が0.5mm、黄色(金色?)は0.3mm、オレンジが0.5mm。黒は回覧板に名前書いたりする用途で玄関に常備してあり、黄色とオレンジは持ち歩き用のペンケースに入れてバッグに常駐。黒いのにはプラチナのブルーブラックのカートリッジを入れてあり、黄色にはプラチナのブルーブラックの富士というインク、オレンジにはPILOT から出ている色彩雫シリーズの月夜というインクを入れてある。

 プレジールはいわゆる万年筆のFとかMとかの太さ区分ではなく、ボールペンのようにミリメートル表記になっている。0.3と0.5の二種で、おそらく0.3がF相当、0.5はM相当ではないかと思う。なお、プレジールは1000円~1500円程度で金属軸だが、軸もプラスチックのプレピーというシリーズ(300円程度)のものとペン先が共通。

 真ん中の二本はProcyon(プロシオン)というシリーズで、黄色がF(細字)、オレンジはM(中字)。この二本は、購入時に初回ロット限定でついていたプラチナミクサブルインクのカートリッジを入れて使用中。

 右の二本は#3776 Century(センチュリー)というシリーズで、黒い方はダイヤモンドブラックのM(中字)、透明のは「忍野」という限定モデルでB(太字)。

 一年ぐらいプロシオンの二本を愛用していて、手帳に細かい文字を書くときはF(細字)、アイデアノートはM(中字)で書いていた。このMぐらいの太さが気に入っていたので、今年、もう一段上級のセンチュリーシリーズを買ってみよう、と思ったとき、Mを買ってみた。それが写真右から二本目の黒いもの。

 ところが。このCentury のMは感覚としてプロシオンのFに近くて、ちょっと細い。アイデアノートはある程度の太さで、文字の中にインクの濃淡が出るような感じで書きたい。プロシオンのMは心地よかったのだけれど、Century のMはちょっと細い。さらに、プロシオンは鉄ニブ(ペン先がステンレス)でCentury は金ペン(ペン先が金にロジウムメッキされたもの)なのだけれど、Century のMはプロシオンのF並みにカリカリな書き味だった。もうちょっとヌメヌメと書きたい。(手帳や日記を書くのはカリカリで良いのだけど)

 そこで。当初Century は一本しか買うつもりはなかったのだけれど、もっと太いのが欲しいからもう一本買うことに。思いきって、Bという、かなり太いものを買った。「忍野」というこの限定モデルは気になっていたので、ペン先がBのものを探した。MやFはけっこう出回っているのに、Bはなかなか見つからず、ようやくネットで見つけて購入した。

※本来、万年筆はなるべく実店舗で試し書きして買った方が良い。当たりはずれがあるので。今回は忍野のBがもはや無かったので選択の余地がなく、最悪有償で調整に出すことも視野に入れてオンライン購入した。届いたものが問題なかったので結果オーライではあったけれど。

 このBはさすがにプロシオンのMよりも太く、とても快適。これにプラチナ万年筆のクラシックインクというシリーズのインクを入れて愛用している。写真では赤っぽいインクのカシス・ブラックというのを入れているけれど、この写真の後、フォレスト・ブラックという黒っぽい緑色のものに変えた。(Bはかなり太いので細かい漢字などはつぶれてしまう。購入の参考にされる方はやはり一度試し書きしてみることをお勧めします)

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 書影サンプル。プロシオンのFはインクが明るい色なのもあるけれど、一度落っことしてからインクフローがおかしくなった気がするので、メーカーに調整を依頼した方が良いような気がする…。

 こう見るとやはりCentury のMはプロシオンのMより細いよね…。同じメーカーでもこうだから、万年筆の字幅もやはり現物を試し書きしてみてから買った方がいいでしょうね。

 太い万年筆は文字の中にインクの濃淡が出て、さらにクラシックインクは書いたあとに紙の上で酸化して色が変わる(黒っぽくなる)ので味わいがあってとても良い。書くこと自体が気持ち良いのでなんでもいいから書きたくなる。

 最近は主にプロシオンのMと忍野のBを使ってアイデアノートにメモを取ったり、詩作をしたりしている。「なんでもいいから書きたい」という動機によって逆方向からアイデアが促されて、妙な形でクリエイティブにつながっているような気がする。「書きたくなる筆記具」や「打ちたくなるキーボード」は創作を直接刺激するアイテムかもしれない。

※追記※

「打ちたくなるキーボード」についてはこちらで紹介してます。

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