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創作作品集

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自作の小説や詩など、創作文芸の作品を集めてあります。
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記事一覧

[小説]かきならせ、空! 第十一話

 修学旅行よりもずっと濃密だった合宿が終わり、汗だくになるほどの夏日も少なくなった頃、夏…

涼雨 零音
2か月前
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[小説]かきならせ、空! 第十話

 夏休みの終盤、空楽たちSTUNNUTSのメンバーは瑠海の家にある練習場で二泊三日の合宿…

涼雨 零音
2か月前
16

[小説]かきならせ、空! 第九話

 夏祭りが終わって町に日常が戻り、まだ夏休みが続く空楽たちは練習場に集合した。メンバーは…

涼雨 零音
2か月前
16

[小説]かきならせ、空! 第八話

 晴れてメンバー全員が帰宅部となったSTUNNUTSは、平日の放課後もしょっちゅう瑠海の…

涼雨 零音
2か月前
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[小説]かきならせ、空! 第七話

 旭東高校の学校祭に空楽は琴那と連れ立って午後から出かけた。友達を連れてくると言っていた…

涼雨 零音
2か月前
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[小説]かきならせ、空! 第六話

 七月に入って最初の週末、空楽たちの通う旭北高校の学校祭が行われた。部活動の発表以外にも…

涼雨 零音
2か月前
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[小説]かきならせ、空! 第五話

 翌週、空楽たちはまた連れ立って瑠海の家を訪ねた。事前に瑠海からのメッセージで、今度は楽器持ってくるようにと指示があったので、空楽はギターのケースを、六弦はベースのケースを背負い、琴那はドラムのスティックケースを提げて集まった。雫はいつもの大きなバックパックを背負って現れた。バス停からの長い道のりを談笑しながら歩き、瑠海の家の敷地へ入っていくと、奥のビニルハウスの前に雪野家のミニバンと、澤木の四輪駆動車が停まっていた。 「澤木さん来てるっぽいね」  空楽の目はそのまま二階

[小説]かきならせ、空! 第四話

 特に待ち合わせたわけでもないのに、バスの本数があまりに少ないせいで結局みんな同じバスに…

涼雨 零音
2か月前
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[小説]かきならせ、空! 第三話

 空楽は瑠海と出会ったあまりに濃密な一日のあと、土曜日までの数日をかつてないほど長く感じ…

涼雨 零音
2か月前
25

[小説]かきならせ、空! 第二話

「バンドってもさ」  週末恒例になった琴那家セッションの休憩時間に、コーラを飲みながら琴…

涼雨 零音
2か月前
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[小説]かきならせ、空! 第一話

「あーっ。天っ才になりてぇー」  中学校を卒業した日の夜、空楽はまだ雪の残る自室のバルコ…

涼雨 零音
2か月前
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[小説]テスト・フォー・エコー 第七話

「あの喫茶店だ」  唐突に部屋に響いたその言葉を発したのがおれであることに、少し遅れて気…

涼雨 零音
3か月前
44

[小説]テスト・フォー・エコー 第六話

 目覚めるとインターネットにアクセスして茅ヶ崎時夫の活動を追いかける。新たな映画の特報が…

涼雨 零音
3か月前
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[小説]テスト・フォー・エコー 第五話

 茅ヶ崎時夫は新たに出演した国産ウィスキーのCMの公開とともにネット上にアカウントを作って発言を垂れ流し始めた。今じゃほとんどのタレントが自らの言葉を発信している。やつもその例に倣ったということか。茅ヶ崎時夫はそのままの名前で頭の悪そうな表情を浮かべたおれの顔とともに登場し、軽薄なコメントを発信し始めた。ソーシャルアカウントでの発信などアルバイトでも雇っていくらでもできるだろうし、なんなら人工知能にやらせたっていい。本人である必要がないどころか、人間である必要さえない。この国