[小説]テスト・フォー・エコー 第五話
茅ヶ崎時夫は新たに出演した国産ウィスキーのCMの公開とともにネット上にアカウントを作って発言を垂れ流し始めた。今じゃほとんどのタレントが自らの言葉を発信している。やつもその例に倣ったということか。茅ヶ崎時夫はそのままの名前で頭の悪そうな表情を浮かべたおれの顔とともに登場し、軽薄なコメントを発信し始めた。ソーシャルアカウントでの発信などアルバイトでも雇っていくらでもできるだろうし、なんなら人工知能にやらせたっていい。本人である必要がないどころか、人間である必要さえない。この国