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cakesには良い記事もあるよ

※11月中旬に別件で炎上していますが、本記事内容と同じスタンスである事を明記しておきます。
R2.12.10追加
※12月に出た話による揺らぎは、上記記事に書いてあります。
(本記事に出てくる有料購読も、一度停止しています)​
※本記事は令和2年10月22日に書き始め、10月28日に公開した記事です。

話題に敏感な方は既にご存知と思うが、「クリエイターと読者をつなぐサイト、cakes(ケイクス)」が絶賛炎上(延焼)中ホットワードである。

cakesの運営会社はnote株式会社(旧:株式会社ピースオブケイク)でありnoteと同じなので、cakesの購読終了・支持撤回だけに留まらず、noteの有料記事の買い控えをするとか、noteに記事を投稿する事自体を見送るとか、こちら側にも影響が出てきている(+出てきそうである)。

そんな動きあるの?という方への参考までに、下記に関連のnoteをリンクする。

そんな最中「cakesには良い記事もあるよ」というタイトルで記事を書き始めている訳だが、その良い記事を紹介する前に、発端の件の何がどうヤバくて炎上したのかという事を、個人名を出さずに個人的な主観でもって書いていきたい。

※私は炎上の内容に関して「激ヤバで擁護できない」という立場なので、「マジで最高な記事だったのに煩い外野のせいで削除されて謝罪までさせられて激おこ!!」という立場の方には下記記事文閲覧は推奨できません。

※あくまでも個人的な主観で書いているので、本件にご興味のある方は参照可能な程度で原文や他の方の意見もを見に行ってください。

※情報源は主にTwitterなので、拾い切れていない動きがある可能性があります。(ここで語るのは記事公開の28日までの動きとなります)
※「はよ良い記事教えろや」という方は目次から飛んでください。

ざっくり炎上概要(超個人的解釈)

1. cakesにて2年前からお悩み相談を回答している人気の人物が、激ヤバな回答をしたため寄稿してしまう。

2. 激ヤバな回答だったにも関わらず、cakes側(チェックフローは不明)は激ヤバだと思わなかったので、激ヤバ記事を10月19日に掲載してしまう。

3. 激ヤバだと気づいていないので、「掲載時の編集側からのコメント」と「新着記事の広報ツイート」においても「激ヤバ同調支持の文言」を添えてしまう。

4. 更にその記事の一般感想の中から、「記事文とは全く関係ない界隈の蔑称を用いたヤバい同調感想ツイート」を公式アカウントでいいね・RTしてしまう。

(5. 記事の担当ではないかと思われる方の個人アカウントでも、当該記事をベタ褒めし激ヤバに同調していたらしい。)

6. 人気の人物がいつもの連載で回答しているだけ(=それ自体は物珍しくない)ので最初は界隈の外には出回らず2日ほどはいつも通り掲載されていたが、何せ内容が激ヤバだったので、Twitterで21日頃に炎上しだす。

7. 詳細は不明だが、何故か炎上し始めた後で無料公開部分が大幅に削られ、有料でなければ回答がほぼ読めない状態になった。(尚、それでも見えてる部分がヤバヤバなのは変わらない)

8. 回答(寄稿)者がTwitter上で「相談者から(炎上案件とは別の理由で)記事削除の依頼があったので、当人に謝罪し掲載側に連絡している」という旨のツイートがされる。

(9. ⑤の、関係者と見られる人物の同調称賛ツイートが削除される。)

10. 22日朝、cakes側からは依然として何の声明もないまま、記事だけが削除される。

11. 22日11時頃、cakesから謝罪文が掲載され、当該記事のURLに上書きされる。

12. ④のRTが公式アカウントから見れなくなった。(一般人が鍵にしたのか、詳細不明)

13. 26日、連載の新しい記事として回答(寄稿)者から改めて経緯と反省を綴り掲載。内容には⑧で削除要請をしてきたアカウントが偽物であった事、記事の本物の依頼者が当該記事の処遇については連載側(回答者・cakes)に委ねる事などが書かれていた。(本人許諾済みの依頼者の言葉も交えられている)

14. 27日午前、連載とは別のお知らせ記事として、cakesが新たな再発防止策を交えた2度目の謝罪記事を掲載する。

15. 27日夕方、炎上の背景と再発防止策をnote社に聞いた、ねとらぼの取材記事が公開される。(ここだけの新情報あり)

(16. 28日朝、本炎上をきっかけに書かれた「本問題の核とも言える事案に触れた別の寄稿者からの記事」がcakesに複数掲載される)

・人気の人物とは、100人中90人に人気ではなく100人中40人に人気という程度
・回答者は毎度炎上している訳ではなく、良い回答もあるのでTwitterでは回答記事が回ってくる事もよくあった

・cakesやnoteという媒体(運営会社)自体もこれまで清廉潔白だった訳ではなく、掘り起こせば過去にも人が離れる案件もあったとの事

もう少しざっくり詳しく内容 (意訳含む)

【記事文について】

炎上した記事についてぼかして書くと、「とある被害を受けている被害者が相談」し、それを「わざわざ今回の相談として選んできた回答者」が「どうみても〝あるある〟で〝事実と見るのが妥当である相談〟」に対して「大袈裟にいってませんか(いったらダメだよ)」「話8分の1(※12.5%)ぐらいで聞いている」「嘘はつかない方がいい」「相談には答えることができません」「警察官も弁護士も裁判官もみんなすぐにあなたのことを見抜くとおもうけど」などの文言で「相談文を嘘であると断定」し「終始こきおろす」という形であった。

この回答者のお悩み相談では必ずしも相談者に寄り添う形ではなく、過去の回答でもズタズタにしている事はあったものの、「全くの的外れとは言えず最後に救いがあったり、別の誰かの視点では救われる文章だったりする」ので今回ほどの騒動には至っていなかった。

今回の記事は特定の誰かを救うもので「すら」なく、「有料記事でただひたすら二次加害を行った」という、「加害者を喜ばせ被害者の絶望を継続させるタイプの仕上がり」となっていた、というのが私の解釈である。
(本人や編集の意思は関係なく、そういう仕上がりになってしまっていた、という事である)

相談内容自体も同様の被害を受けた方にとっては嫌な記憶やフラッシュバックを思い起こさせる可能性のあるものではあったとも思うが、「救いを求めて読むはずのその回答内容」が「内容をウソ、大袈裟と断罪していた」ので、「真実を話しているのに1ミリも信じてもらえず罵倒や非難を受けた経験のある全ての人」にボディブローを喰らわせる「精神攻撃兵器と化したヤバい記事」となってしまい、急速的に(悪い意味で)話題になったと考えている。
この様な辛い体験を思い起こす可能性のある記事というのは事前に注釈がなされるのが普通であるはずなのだが、今回はそんな注釈も〝もちろん〟無かった。

また、2018年の連載開始時に掲げられた「回答する上での(連載の)コンセプト」というものもあったのだが、当該記事はそのコンセプトにも沿っている形ではなく、従来の記事を読んでいた人達からは「あのコンセプトだから信頼していたのに」「いつもの回答と違う」などとも言われていた。

当該記事は削除されているものの、今回の事態を重く見た閲覧者がその記事のページを残した「魚拓」と呼ばれるものが残っており、削除後に知った人々からは「想像していたのより酷い」というコメントも散見されている。

【cakesの謝罪文について】

cakesが記事URLに実質的に上書きする形で出された謝罪文については「100点満点ではなく30点ほど」だったが、昨今お決まりの「マイナス50点の謝罪文」では無かったので安堵している人も多くいる。

※マイナス50点の謝罪文=何が悪かったかや、原因や今後の対策などはゼロで、「ご不快な気持ちを与えて申し訳ない」1点張りの、「不快に思う人が居なければ問題にならなかったのに」という裏の意図を感じさせてしまう最悪の謝罪文。

マイナス50点と30点では80点もの差があるので、この80点を大きく見るか、100点に満たない70点を問題視するか、また「記事本文以外の騒動の動きを知っているかどうか」で反応が分かれると考える。

前述した16(謝罪作成時点では10)の動きのうち、cakes側の問題や動きというのは②③④⑦⑩と5つ、cakesに属する個人の動きと思われるものは⑤(→⑨)と1つだが、上書きされた謝罪文ではこの5+1のうち②と⑩の2つにしか触れておらず、残りの3+1点については釈明も謝罪も書かれず放置となっている。

謝罪記事の内容については、「多くの被害者を傷つけ、被害者の相談を信用されない現実の問題を助長した」「事前に記事を確認できる立場で問題を見逃したまま掲載した」「一貫してコンセプトに沿ってきた回答者を(二次加害を容認・推奨しているように)閲覧者に誤解させてしまった」事を問題として触れ、「被害の問題を学ぶ」事で対策をするという事が書かれている。
(前述の放置の項目に加え、チェックフローや各担当者の処遇・変更についてはこの時点では触れられていない)

また、26日に掲載された新たな説明・謝罪連載記事では冒頭の編集部コメントの中で「多様性を重視して、特に弱い立場の方が声をあげて届けられるような社会を促進するべき私たちが起こしてしまった責任は非常に重い」とし、改めて反省と改善の意向を示している。

27日に出された2度目の直接の謝罪記事では「チェック体制・掲載フローの見直し」「公式SNSの運用見直し」「アドバイザリーの起用」「様々な問題(被害)を考えるコンテンツ・記事の掲載」を新たな対策として上げたが、謝罪や経緯に関しては1度目と何ら変わりなく繰り返しで改めて掲載されたものとなっている。(1度目の30点と比較すると、20点アップの50点ほどと思われる内容)

また別のサイトに同27日掲載された取材記事において、「無料部分を短縮した事について」触れており、「普段より閲覧状況を見ながら調整を行っているもの(常時の運用体制)で特別な意図はない」とのコメントが掲載されている。(ここ以外の謝罪記事では一切触れられていない)

いずれにせよ、cakes側の発言において「我々がした事」として挙げられているのは「良くない記事を配慮のない形で掲載した事」に終始しており、「広報や編集過程における同調」や「公式アカウントが行った事」に関しては取材記事含めて28日時点で一切触れていない。(取材記事の質問と掲載文には実際のリード文も交えながら指摘がされているが、cakesに掲載された謝罪文では「その後の編集部の対応」という表記しかされていない)

また、謝罪対象として挙げているのは「相談者」「相談者と同様の被害者」の2点のみで、それ以外で傷を受けた「被害者以外で閲覧者」や、信頼の損失による打撃を受けた「cakesのファン・有料購読者」「cakesの寄稿者」などについては言及されていない。

【回答者の謝罪・反省記事について】

回答者については⑧のTwitter上での謝罪文と13の新記事としての謝罪・反省記事があるが、⑧のTwitterの時点では炎上の真っ只中という事もあり、悪手である〝弁明〟まで付け加えた形の「マイナス50点の謝罪文」となっていた。

26日時点の新記事ではその後色々と被害について調べて認識が変わった事も書かれており、回答者本人の謝罪としては80点(いつもの回答から考えれば100点)と言って良い仕上がりになっている。

新記事の内容については「二次被害(加害)を増長した」「(依頼人含め同様の)被害者を傷つけた」「無知であるにも関わらずウソと決めつけ記事を書いた」点などを詫び、「記事自体が二次加害にあたる」という指摘も(きちんと理解できていないがそうであろうと)認め、「自身の回答が全くの的外れ」「いまの自分には答えられる相談では無かった」という反省の言葉も書かれていた。

これからの対策については「編集部の人たちと一緒に講演や研修に参加する(話をしている)」と綴っている。

「なぜあえてこの相談を選んだのか」や「当初掲げたコンセプト(と相違)」については記事上では触れられていない。

騒動への個人的所感

【騒動全体について】

冒頭にも少し書いたが、私は当該記事と一連のcakesの行動について「激ヤバで擁護できない」という立場なので、ここから経営が傾いて「cakesもnoteもサービス終了」という事態に陥ってしまっても「それぐらいの事だったから仕方が無いよねー」という気持ちである。

どちらの謝罪文も(理想の完璧なものを100点とすれば)満点では無いと勝手に点数付けしてはいるが、そもそも100点を叩き出せる素晴らしい方々ならばこんなヤバヤバ案件は〝発生する訳がない〟ので、マイナス50点のまましれっとサービスを継続しなかったのは評価できると思っている。

連載については特に触れられていないので、そのまま謝罪記事を間に挟みつつ継続するものと思われるが、当初のコンセプトがズレてきたり、またそのズレを指摘できないのであれば、1から新しい連載をやり始めるのも手だとも思う。
(ただ、その場合「炎上したから乗り換えたのか!」「謝罪文を隠したいから新連載を始めるんですね」などと言われることは必至ではある)

また、どちら側の謝罪文でも触れられておらず、既に多数の方が指摘している「単なる知識不足ではなく別の認識のズレが起因している」という点についても考えなければ、再発を防ぐことは難しいとも考える。

「知識が無いからこの相談には回答できないな」と思わなかったのは何故なのか。「12.5%でしか聞けない様な相談に回答しようと思った」のは何故なのか。

「この問題についてよく分からないんですけど、こんなにハッキリ嘘だと言ってしまって良いんですか?」と聞けなかったのは何故なのか。「いつものコンセプトと違う気がするんですが何かの意図があっての事でしょうか?」と確認出来なかったのは何故なのか。

この問題の「核」である問題について対策を取らなければ、「全知全能の神になるまで同じ炎上を繰り返す」だけになってしまう。

再発が防げないのなら、防げるという信頼を得られられないのなら、人々が離れていくのを止めることは出来ない。なので、このまま終わりに向かってゆるやかに進んでいくのも致し方ない、というのが私の考えである。

実際、その「核」に触れた別の寄稿者からの記事掲載もし始め、学ぶ以外の(フロー変更など)対策も上げてきたので変わっていくのかもしれないが、一度離れた人は「その対策を掲げて始動しただけ」では戻って来ず、呼び戻すのには(1%の人を戻せるとしても)数年は掛かるはずである。

「個人が個人的に出したコンテンツがヤバすぎて炎上している」というのなら「またやってんな」という程度であり、日常茶飯事であるので、私もこんな記事など出していないだろうが、今回は自身も推しの作家(連載)があり「有料登録してる媒体での激ヤバ事件」であり、また「普段使っているnoteとも関わるもの」であったので言語化しておかなければいけないと思い、本記事をしたためている。

「井の中の蛙 大海を知らず」にとどまらず、「井の中の蛙 大海にマウンティングを取る」をしてしまい炎上した、というのが私の解釈である。

【回答者について】

回答者個人にとってみれば、今回の件は「不幸でもあり幸運でもあった」と思う。

多くの人々に対して加害者になってしまった事、炎上してしまった事、掲載を止めてくれる編集が付いてくれなかった事、YESマンばかりに囲まれて掲載直後にすぐ差し止めが出来なかった事、この記事を書くまでに認知が是正されず見過ごされてきた事。

それらは不幸としてあるが、「これをきっかけに新たな知識を得てアップデートの道が開けた」というのは幸運であり、今後の糧になるだろう。

とは言え、「この経験も糧にします⭐︎ミ」などと明るく言ってしまうと被害者をただ踏み台にした事になってしまうので、その有り難さを噛み締めながら再出発するという形になると思う。(外野に言われるまでもなく、自身でそうできる方であろうとも思う)

回答者本人に自覚が無かったとはいえ、「やった行いは擁護できないヤバいもの」であるので「回答者の事を許さない人々が存在し続ける」のもまた致し方無く、そんな人々の事を「反省してるし許してやれよ!」と外野が偽善を振りかざすのは間違いだし、回答者本人も許してもらって然るべきとは考えないだろうと思う。

【株式会社note(cakes運営)について】

掲載メディアとその母体に関しては、特にTwitterで公式アカウントがRTしてしまったツイートが記事以上に激ヤバな為、そこに触れずに過ごすのなら信頼の挽回は無理だと考える。

5年前の価値観が通用しないような急速なアップデートが行われている今の情報社会では、会社の為に、寄稿者の為に、「激ヤバな案件を避けれるアンテナ」をはれなければ、「炎上をしない事」も「着いた火を鎮火する事」も難しい。

今のチェックに関わっている人物は降ろせないとしても「根本の問題に触れずに進む」のならば完璧な対策にはならないので、プラスで分かる人物を間に挟まなければ何処かでまた同じ事が起こるだろう。
(被害について学ぶ上でその「核」にたどり着いて改められるなら希望はあるとも思うし、起用されるアドバイザーの質によっては改善されうると思うが、過度な期待は現時点では出来ない)

ただ、現状その「核」の問題を1ミリも内包しない媒体なり運営会社なりというものは恐らく無いのではないかとも思うので、「ここの運営だけがその問題を内包して必然的に淘汰される」という流れにはなりにくいだろう。
(無いと思っている所も〝今はまだ隠し通せている〟というだけで、問題がない訳ではない)

正直なところ、「連載記事として掲載するのは却下されたので個人で回答者がボツ記事を個人的に公開→炎上」or「記事の問題性を回答者に言及した上で注釈を添えヤバヤバ広報無しで公開→炎上→回答者が裏話を後出し」という流れであれば株が爆上がりする可能性もあっただけに、大きなチャンスをみすみす流したなあとも感じる。
(契約と募集要項的に、応募された相談分はよそでは使えないだろうとは思うが)

また、27日の二度目の謝罪文で様々な運用体制の改善を新たな防止策として掲げているが、「公式アカウントが行ったヤバイ行い」には一切触れずに「公式SNSの運用ガイドライン見直し」だけ掲げているので、「"あのヤバイ行いを無かった事にし、自社が延焼しないようにしている"」と捉えられても仕方がない。

様々な方が指摘した激ヤバな行動が事実でないのならば、それは「事実ではない」という事を明らかにすべきで、「大きな疑念や失望の対象となっている事象に関して無言を貫く」というのは全く誠実では無いだろう。
(ただ、"自らの事しか考えていない「弁明」"を添えれば火に油を注ぐのは間違いない)

無料範囲の変更についても「システム運用に沿った変更で、他の記事にも行っています」という内容の事しか言わず、「炎上を認識した上で変更したのか」「元々 "あの日時に" "あの部分まで" 短縮する事は決定されていたのか」などについては一切明かされず、その上「"取材記事で述べただけ"で自社の謝罪文には1文字も記載していない」ので、「聞かれたので答えました。問題には思っていません」という印象を与えてしまい、弁明として悪手と言えるだろう。
(「そう思われかねない状況であったとは認識しています」程度の事が言えなければ、火に油を注ぐだけである)

また別媒体の取材記事では「謝罪した上記事を削除」と表記しているが、回答者はともかくとして、cakesは「記事削除後、何のコメントも無い時間」が数時間はあり、「記事を削除→1度目の謝罪」が正しい表記である。

新しい文書を作り差し替えるまでの間に時間が必要なのは分かるが、その空白の時間はURLでは「この記事は有りません(削除されました)」というシステム上の文言しか出なくなっており、「後程経緯とお詫びの文章を掲載します」程度の事は書いておかなければならなかったと感じる。
本来であれば「削除したから何かコメント来るだろう」と思われるのが正しいと思うが、何せ現代は絶望の時代であり、「何も無かった様に鎮火し、しれっとサービスを継続する」という過去の様々な事例があり、「社会全体として炎上(問題発覚)対応への信頼が損なわれている」状態であるので、数時間でも空白の時間が出来てしまうのは痛手と言わざるを得なかった。

前項で「回答者にとっては幸運だった」とは述べたが、今回の案件は「連綿と続いてきた絶望という名の膿がまた出て来たヤバヤバな事件」であり、「これを機に良くなっていくと信じなければ当事者はやってられない」というものなので、「ここで気づけて良かったですね!皆学べると良いですね!」という「美談にして実害や被害を矮小化する」"いつものお決まりの流れ"に集束される動き(あるいは纏め)には賛同できない。

「核」に触れた、同媒体に掲載された1つの記事もこの纏めをしており、「"騒動の全てを知っている訳でもないのに"」回答者の謝罪文を"真摯だ"と「100点であるかのようなコメント」をしている+それをcakesは掲載しているので、手放しに称賛できない。
 (コメントからは回答者の記事についてのみ賞賛していると思われるが、cakesの謝罪文についても評価している様にミスリードが可能な形になっている)

27日の二度目の謝罪文では謝罪対象自体には変更が無かったものの、「意見や問題の指摘・対策アドバイスを受けた事に対しての感謝」を述べたのはとても良いと感じている。「何が問題か分からずGOしてしまった」という事案があった時、「何が問題か分からないけど他人の意見は聞きません」と言ってしまったら改善も何も無いからである。
この感謝を述べ新たな対策を提示する事によって、「cakesには意見を伝える価値がある」と見なされれば、今回の件だけに限らず今後も「よりよくなる為の声」というのが届けられるはずだ。

回答者が今回の相談を保留にしている様に、cakesも数年後、「アップデートした価値観でもって改めて今回の問題を考える記事」などが出て、そしてそれが「的外れでは無く全てを詳らかにしたより良いもの」であれば、「今回離れてしまった人たちの内の1%の信頼」を取り戻す事は可能ではないかと思う。

いずれにせよ、2度目の記事が出ても払拭できない不信感というのは「隠している」と思われている部分があるのが問題であり、80点に満たないところ(30点)が減点のポイントであるので、その様な不信感を抱いている人物に対して「50点の謝罪が出来てるからいいじゃないですか!」と外野が詰め寄っていくのだけはやめて欲しいと思う。(そしてそれは、cakesの為にもならない)

【同調してしまった外野の人々について】

あまり追ってはいないが、激ヤバ案件が出ると「激ヤバを激ヤバだと思っていないので同調・賞賛・擁護ツイートをしてボロを出してしまう」というケースは多く、今回も著名な人物を含む数々の人間が「マイナス50点の謝罪文」を出さざるを得ない状況になっている。

今回のも含めて激ヤバ案件の「核」というものは、「英才教育によって知らず知らずの内に培われ、ある一定の世代(またはコミュニティ)に属した事のある人間に標準搭載されてしまう」といった非常にやっかいな類の物で、「1度知らないままに獲得してしまったその認識を覆す」というのは相当難しく険しい道のりであり、当事者でもない(と思っている)外野の人々が「真摯に謝罪し今後の活動を改善する」という事は期待できない。

記事が削除されるまでの間に同調・賞賛してしまった人間だけにとどまらず、「あんなに燃えるなんてやりすぎ」「謝罪してるのに何で許さないの?」「失敗は誰にでもある」「これからに期待!」といった「今回の事件の重大さを鑑みない擁護や軽視の言葉」も、絶望している人々から見たら「ヤバイ人間」認定されるものであり、特に前述した1~16 (最低でも10)の動きを知らず、且つ「本案件を激ヤバだと思えない」のであれば、言及するのは火傷を負いかねない。
(特にTwitterでは文字数の縛りがあり、カバーやマイルドな表現が出来ずに「標準搭載されてしまったズレ」による本性や本音が露呈しかねない)

この「ズレ」を内包し直視しないままでは、全ての謝罪は "「弁明」となり火に油を注ぐだけ" なので、そんな面倒な自体にならない為にも「仕事に深く関係する立場などで無いならば言及は避け」、「すでに言及してしまっているのならばなるべく油を注がずにやり過ごす」のが良いだろうと思う。
(少なくとも謝罪したいのなら時間を空けて、様々な情報を漁って知識をつけてから熟考しないとマズい)

全ての問題に繋がる「核」

今回の「核」については、28日に掲載された他の寄稿者の記事でも触れられているが、Twitterで回ってきたもので1つ「せやな」と思ったものがあるので、2015年12月31日に日本語翻訳されて記事となった、5年前の該当記事をリンクする。

つまるところ、「ある一定の属性の人物の発言を過小評価し、その属性を持たない人物の同じ発言と異なった対応をしてしまう」という重大な問題が、

「知らず知らずの内に周囲の環境によって刷り込まれ、獲得したという自覚も無いまま "普通のこと" として自分の価値観として根付いてしまう」という事である。

今回の回答者やcakes編集部、また同調・賞賛してしまったそれぞれの人達が実際に「どんな属性の人物を過小評価の対象としているか」については分からないし、それぞれに微妙に差異があってもおかしくないと思うが、「あなたの話は12.5%で聞いている」と述べてしまうのが「問題ない」と思ってしまう事の「核」は、この "植え付けられてしまった価値観"  にある。

一般的に、人の伝聞というものは信用できないものであるので、基本的に私も8割で聞くことにはしているし、「お喋りで重要な事を言い忘れてしまう傾向のある友人」であれば6割程度で見積もる事もあるが、12.5%というのは1割ちょっとであり、「話した事の87.5%はそのまま受け取りませんよ」という事である。

そう言うと割合の話なのかという事になってしまうが、私が6割程度で見積もる友人も「度重なる会話を経て "この人は重要な事をうっかり言い忘れる傾向があるな" 」と思ったから6割で聞いているのであり、「初対面から "正確に話していないはず!" 」と6割で聞き始めていたらヤバイ奴である。

例えば12.5%だけ受け取って、それ以外の87.5%を補うものとして別の目撃者や関係者の意見を聞くなら分かるが、webフォームから送られて来た相談というのは「その相談者以外の話を聞く手段がない」ものであり、事実確認の補完はほぼ不可能と言って差し支えない。

補完のできない12.5%しか信頼できない文章に対して回答するのであれば、もはや「話の87.5%は捏造して記事作成する」と言っているに近しいものであり、それ自体が不誠実と言っても良いはずであるが、「最高!これで行きましょう!GOGO!」となってしまうのは、不幸にも関係者のその全てが「現在までの生育歴の中でこの価値観を内在化してしまい、事件当初までそれを削ぎ落とす事ができなかった」からだ。

※今回の連載の相談応募はメディアが作った「Googleフォーム」から投稿されるもので、回答者からの経緯説明でもある様に「コンタクトがあった時に本人かどうか特定するのは困難」な状態となっている。

※回答者が実際に記事上で表現したのは「話8分の1ぐらいで聞いている」であるが、100を8で割ると12.5となる為、12.5%と表記している。

この「特定の属性を無意識のうちに差別してしまう」という「核」については、こういった炎上だけにとどまらず、様々なものの根幹にいつも潜んでいるものだと思っている。

昭和には昭和の、平成には平成の、令和には令和の、都市部には都市部の、地方には地方の、それぞれの「無意識のうちに植え付けられてしまう偏った価値観」というものがあり、同じ価値観を刷り込まれた人間は同調・正当化し、違う価値観を刷り込まれた人々はそれらに憤りや呆れ、絶望を感じる事の繰り返しである。

全ての人類が「同じ過小評価の価値観」を絶えず受け継ぎ再生産していくのであれば "それが普通" なので問題にならないが、8割だった価値観が6割、5割になってくると異を唱える、唱えられる状態となる人間が増えるので、問題として表出してくる。

かつて我々に標準搭載されてきた、「 "異性愛" が当たり前で、皆 "結婚する" のが "幸せ" だよね!」という偏った価値観は「様々な事実や事象の表出」により崩れてきているが、その時代を長く生きて来た上の世代ほど削ぎ落とされず、日本全体で見れば今だ内在化したままの人達は多く過半数を占めるだろうと思う。(勿論、若者は0割であるという事でもない)

「人間は知らず知らずの内にヤバイ価値観を吸収し受け継いでしまう生き物であり、私もあなたもヤバイ人間である」という事実をどれだけの人間が認識し、共有するかというのが重要であると、私は考えている。

「私」はどうするのか

私は炎上し始めた22日の初動から経緯を見ており、cakesの有料購読会員でもあったので、今回についての事で4度(実質3回)に渡りcakesのお問合せに個人的な意見を送ってきた。

cakesの有料購読を辞める人も出て、noteの利用停止や乗り換えをする人も出てきているが、私はどうするか。

私は怠惰で元からこの世に絶望している人間であり、小3の頃より世界には甚だ期待していないので、実の所今回の炎上では左程ダメージを受けていない。受けていないが、本件が「劣悪で非常にヤバヤバな事件である」という認識はしているし、最近は「どんどんブロックして自衛しよう!」をモットーにしてTwitterをしているので、Twitterではブロックボタンを押しまくってきた。

インフルエンサーの様な影響力も無いし、ライターでも無ければYouTuberでも無く、お悩み相談をwebで公募していることも無ければ、ネットで熱く議論する知人が居る訳でも無い、本件の舵取りによって今後の生活に支障が出ないただの個人である。

なので、サービスの使用可否については勿論、こんな形で炎上(延焼)に対して感じている事を言語化したり説明したりする必要もさらさら無い訳であるが、それでも私はこれを言語化したいと思ったし、しておかなければいけないと感じて今書いている。

私は1ミリも悩まずに、cakesは購読を継続し、notoの記事投稿も、記事購入も、続けるつもりである。

騒動を注視しながら「これ以上ヤベー事になったら購読は解除しよ」とは思っていたが、他でもない私の推しの作家が、最高な人間であり、最高な姿勢を炎上後に示したからである。

noteに関しては自身が怠惰である事が大きいが、記事購入については「ここの収入が無いと生活が出来ない」という人も私は知っている。その人達が移ったり、コンテンツ自体が衰退してしまえばまた気持ちも変わるかもしれないが、今の所辞めるつもりは無い。

辞めるつもりは無いが、去っていった(いく)人たちを嘲笑ったり、揶揄する人達が居れば憤るし、また去っていった人々が、残っている人たちを見下すのも違うと思う。自分の進む道を、それぞれが考えて決断したのならば、それは全て正しい。

※もし「Twitterでブロられてるわ」と思った中で「ブロ解除してくれませんかね?」と思う方が居れば、Twitterの別アカウントなど他の所から通知の来るコンタクトを取ってもらえれば幸いである。
(通知がミスって来ないとか、サービスによっては設定OFFにしている事もあるのですぐに反応できるかどうかは分からない)

という事を書ききった上で、本題である「cakesには良い記事もあるよ」という事に移りたい。

cakesのオススメ記事(連載)

私の推しであり、「これがあるから購読した」という連載が、「牧村朝子」さんの「ハッピーエンドに殺されない」である。

https://cakes.mu/series/3068

(何故かURLが四角いボックスにならないのですが。時々よくある。)

↑今回の炎上記事をうけての記事も28日に掲載されている。

↑炎上渦中では、いくつかの記事を無料公開もしていた

有料購読しているので、連載ではどの辺りが無料で読める範囲設定なのかもよく分からないのだが、連載というより牧村朝子さん自体が推しであり、cakesの連載以外の活動もしていらっしゃるので、興味持ってくれる人が1人でも増えたらいいな~~~~と思っている。

【その他のオススメ記事】

とりあえずリンクだけドンドコ貼っておきます。

「性別の対立にさせられる世界から抜けようぜ(意訳)」と言っている牧村朝子さんの下に男と女の話の連載を並べるのもどうなのかとは思うのだが、まだまだ現代の人々にはその辺りの話の消化や落としどころが必要だとも思いつつ、「あ、この人見てるわ~」という連載も並べてみた。

全体の1部しか選び取っていないこの中でも、「1つのテーマに沿ったものをかき集めているメディアではない」という事が分かる。

去っていく人々の事は「悲しく手を振って見送る」他ないが、もし今回の騒動で初めてcakesというメディアを知った人が居れば、「色んな連載のうちの1つ (と運営のやり方) が炎上したんだなあ」くらいには思って貰えるとありがたいのかな、と考えている。

cakesには良い記事もあるよ。

(でも事件はヤバかったし皆が去っていくのはしょうがないし良い記事だから読めとも言わないけど) 良い記事もあるよ。