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2021年7月 自分の世界を広げたもの(格安スーパー点編)

育児休暇を取得して4ヶ月が経過した。

毎日料理をこなしていると、最近は「料理が好きだ」「料理が楽しい」と思えるようになってきた。

これは自分の中でも意外な境地なのだが、この境地にたどり着いたのは大きな要素になったのが2つあると自覚している。

今回はそのうちの1つについて記載したい。


「一個から買えて極端に安い店 マンボウ西野店」


このお店で得られるもの。それが僕にとって「今日も料理を美味しく作ろう!」というエネルギーに変わる。このお店で僕が何を得ているのか。少し長くなるが、お付き合いいただけたらと思う。

マンボウは、とにかく品物の値段が安い。青果、魚、肉、卵、調味料、お菓子など…あらゆるところで「安い」と感じさせる値段設定になっている。でも安いからだけが、僕のエネルギーになるのではない。

わかりやすく伝わるように少し物語のように展開させてみたいと思う。


マンボウの青果部門担当(以下:山下)

至高のネギ農家:(以下:太田)

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営業開始前から客が並ぶ店前。朝日が1日の始まりを告げるころ、その店の1日が始まる。「極端に安い店」と自ら謳う時に決めた。ただ安いだけではない、値段に見合わない鮮度と情熱を買っていただくということを。
その店で青果部門担当になり、早14年。いまでは仕入れも担当するようになった山下は知る人ぞ知るというネギ農家の太田のところを訪ねていた。
今回で5度目になる訪問もかなり厳しい戦いになることは容易に想像できていた。山下は、太田が育てるネギをどうしても仕入れたいという思いに駆られていた。


山下:「この、コロナでみんなが大変な苦しさを味わっているからこそ、このネギをうちで売りたいんです」


太田:「だから言ってんだろ。うち、あんまり商売に力を入れてねえんだよ。今の世の中ァよ、ネギなんかもう高くなっちまったからよ…みんな野菜を買うのも怖くなってんだろ」


山下:「うちは商売に、だからこそこだわりたいんです!ただのお金のやりとりだけじゃない。良いものをどこよりも安く売る。その情熱をとにかく持ち続けているスタッフばかりです。お客様に売っているのは情熱です!なんてというスタッフもいるんです。この大変な状況でお客様に元気になって欲しいってみんな思って働いているんです」

「ここのネギには情熱があります。僕にはわかる。これだけ大きな畑なのに全てのネギが笑ってる。こんなネギは見たことがないです。このネギはぜひうちの店で売らせて欲しいです」


山下は太田の顔をじっと見つめながら言った。勝算はなかった。もうこれで何度目の商談だろう。太田のネギに惚れ込んでから足繁く通っていたが、太田はなかなか首を縦に振らなかった。

今回はむしろ勝算なんていらないと思っていた。とにかく、太田にうちの情熱を感じて欲しい。情熱をとにかく伝えたい。太田の目をみながらも、両手の拳は硬く握っていた。


太田:「だからうるせえんだよ。何回も同じこと言ってらぁよ。もういいよ、聞き飽きたっつんだよ」

山下が「でも!」と、すがろうとしたその時。


太田:「いいよ、っていってんだよ」

急に強い風が吹いた。大地の香りが咲き誇る。一拍置いて、地鳴りのような声が響いた。


太田:「俺もよ、俺も情熱でネギを作るって決めてんだ」「おめが責任持って、うちの情熱を売ってみろ」「食えねえやつもいっぱいいるんだろ?いいよ、ネギの代金はおめの出世払いでよ」

言い終わると太田がいじわるそうな顔で山下の方を一瞥し、作業に戻るためか、背中を向けた。


太田:「あ、でもよ、輸送費はそちらで持ってくれよな」「最近ガソリン代って高くなってんだよな」


声の調子は変わらないが、穏やかなトーンで太田は言った。そしてそのまま作業に戻っていった。

太田の背中を見ながら大きく息を吸う。大地の香りが体の中に充満した。

そのまま山下は太田の背中に大きく一礼する。大地の香りは次第に山下の感情を安心感と優しい気持ちに包んでいく。


山下「太田さん…!ありがとうございます!!!」

大地に響くその声は、聞こえたのかどうか。太田は振り返らない。

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みたいな、エピソードがマンボウの商品のあらゆるところで展開しているんだろうなと思う。


だって、たとえば北海道産のネギ(2Lサイズ)が3本で税込107円とかですよ。原価割れしたまま商売しているか、農家がボランティアしているかのどっちかじゃないですか。販売価格は送料のみって感じじゃないですか。

それに、北海道産だけじゃなくて、全国各地のものがあるし、ブラジル産の鶏肉とか、フィリピン産とか全世界にボランティア精神の極まった人たちがいるんだなー、ってパワーがもらえるんですよ。


全世界のボランティアパワーがマンボウに集結している。

そういうマンボウの部門担当と農家や漁師や商品を開発している人たちのエネルギー、レジのスタッフの活気とかそういうものを感じて、今日も僕はネギを買うのだ。


太田さん、山下さん、今日もありがとう。


急にどうした、何この文章はって思うでしょ?うん、僕もそう思うよ?


つまり、勝手に物語をつくり脳内エネルギーをもらっているってことですね。


そんなこんな。

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