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八尺様の怖い話

ある日、山奥の祖父母の家に遊びに来た少年は、近くの森で遊んでいました。森の中には古い祠があり、そこには八尺様を封じる地蔵が祀られていました。少年はその祠に興味を持ち、地蔵の前で遊んでいましたが、その時、突然「ぽぽぽ」という声が聞こえてきました。少年は驚いて振り返ると、白いワンピースを着た高身長の女性が立っていました。女性は笑顔で少年に手を振り、「こんにちは」と言いました。少年はその女性が八尺様だと気づき、恐怖に震えました。八尺様は少年に近づき、「一緒に遊ぼうよ」と言いましたが、少年は必死に逃げ出しました。八尺様は「待ってよ」と言いながら追いかけてきましたが、少年はなんとか家までたどり着きました。
 家に入ると、祖父母が心配そうに少年を迎えました。少年は泣きながら八尺様のことを話しました。祖父母は驚きましたが、すぐに落ち着いて対策を教えてくれました。「八尺様は今夜必ず来るから、この護符を持って部屋に閉じこもりなさい。四隅に塩を盛っておくと良い。何があっても絶対に出てはいけない。声が聞こえても無視しなさい。朝まで神仏に祈りなさい」と言いました。少年は祖父母の言う通りにしました。
 夜になると、八尺様の声が聞こえてきました。「ぽぽぽ」と笑ったり、「おいでおいで」と誘ったり、「開けて開けて」と叩いたりしました。少年は怖くて震えましたが、絶対に出ませんでした。しかし、やがて八尺様の声が変わりました。「助けて助けて」と泣き叫んだり、「痛い痛い」と叫んだりしました。それは祖父母の声でした。少年は動揺しましたが、これも八尺様の罠だと思って耐えました。しかし、やがてドアが壊れそうな勢いで叩かれる音がしました。「開けろ開けろ」と怒鳴る声も祖父母の声でした。少年は我慢できなくなり、ドアを開けてしまいました。
 ドアを開けると、そこには血まみれの祖父母の姿がありました。彼らは切り刻まれたり焼かれたりしており、恐ろしい姿でした。「助けてくれ」と言って手を伸ばしてきました。少年は驚愕しましたが、その時気づきました。彼らの背後に白いワンピースを着た高身長の女性が立っており、「ぽぽぽ」と笑っているのです。八尺様は祖父母を殺して、その姿を使って少年をおびき寄せたのです。少年は絶望しましたが、もう遅かったです。八尺様は「一緒に遊ぼう」と言いました。そして、少年は八尺様に手をかけられた瞬間、目を閉じました。しかし、何も起こりませんでした。少年は恐る恐る目を開けると、八尺様の姿が消えていました。その代わりに、白い着物を着た老婆が立っていました。老婆は優しく微笑み、「大丈夫よ」と言いました。少年は驚きましたが、老婆の声に安心しました。老婆は少年に手を差し伸べ、「私はこの祠の守り神よ。八尺様を封じていたのだけど、あなたが地蔵を動かしたせいで力が弱まってしまったの。でも、あなたは悪気がなかったから、私が助けてあげたの」と言いました。少年は謝罪しましたが、老婆は「気にしないで」と言いました。「ただ、これからは八尺様に気をつけなさい。彼女はもうこの祠から出られないけど、あなたに恨みを持っているかもしれないからね」と言いました。
 少年は老婆に感謝しましたが、その時、祖父母のことを思い出しました。「祖父母はどうなったんですか?」と尋ねました。老婆は「あれは八尺様の幻影よ。本当の祖父母は無事だから安心しなさい」と言いました。少年はホッとしましたが、それでも心配でした。「でも、祖父母に会いたいです」と言いました。老婆は「わかったわ。では、私があなたを家まで送ってあげる」と言いました。そして、老婆は少年の手を引き、「さあ、行きましょう」と言いました。
 二人は森を抜けて家に向かいました。途中で、八尺様の声が聞こえてきました。「ぽぽぽ」と笑ったり、「帰ってこい」と呼んだり、「許さない」と怒ったりしました。少年は怖くて震えましたが、老婆は「気にしないで。彼女には何もできないから」と言って励ましてくれました。やがて家に着くと、祖父母が玄関で待っていました。彼らは無事で元気そうでした。「お帰りなさい」と言って抱きしめてくれました。少年は涙を流して喜びました。「ごめんなさい。心配かけちゃった」と言いました。祖父母は「大丈夫だよ。無事で良かった」と言って笑顔で返事しました。
 老婆も一緒に家に入りましたが、祖父母は彼女に気づきませんでした。「あなた達には見えないのね」と言って苦笑しました。「でも、私もお礼を言わなくちゃ」と言って祖父母に向かってお辞儀しました。「この子を助けてくれてありがとう」と言って微笑み、「では、私もそろそろ帰らなくちゃ」と言って立ち上がりました。「また会える日までさようなら」と言って少年に手を振りました。少年も「ありがとうございました。さようなら」と言って手を振り返しました。老婆は玄関から出て行きましたが、その後は姿を見せませんでした。

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