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「鉄路の行間」No.0

こんにちは。こちらでは、はじめましての方もいらっしゃると思います。
鉄道ライターの土屋武之です。日本では珍しい、鉄道を専門としているフリーライターです。

私、東京新聞にて、2016年11月1日から、まさに今日、2021年2月9日まで。
「鉄学しましょ」というタイトルで、他の2人の著者(村井美樹さん、古今亭駒次さん)と一緒に、交代で連載する鉄道エッセイを持っていました。
テーマは自由ということで、3人が三様の記事を書いていたのですが、私は自分で「文学鉄」と呼んでいる分野を展開していました。「文学など、芸術的なサイドが描いた鉄道を語る」という主旨です。

作家や音楽家、映画人や演劇人など芸術に携わる人は、とにかく好奇心が強いものと思います。
明治維新となり、外国から導入された「鉄道」にも多くの芸術家が注目しました。
特に鉄道が好きなファンということでなくても、しばしば自分の作品の主題や背景として鉄道を取り上げています。

そして、鋭い観察眼で、当時の鉄道を活写していることに気がついたのです。
たとえ深い知識は持っていなくても、作品中に描かれた鉄道は、その時代時代のリアルな姿なのです。

最初に着目した作品は、上林暁の『花の精』でした。中学校の教科書に載っていました。
この作品で、著者は多摩鉄道、現在の西武多摩川線(写真)に乗って、多摩川へ月見草をひきに出かけます。
その際、当時のダイヤが出てくるのですが、私はそれが気になり、買ったばかりの復刻版の時刻表で多摩鉄道を調べてみたのです。

上林暁の描写は、極めて正確でした。
それから私は、小説、短歌、映画、音楽、演劇などに鉄道が登場すると、描かれている鉄道の姿が気になるようになり、背景を調べて楽しむようになったのです。
これを乗り鉄(鉄道旅行派)、撮り鉄(鉄道写真派)などになぞらえて「文学鉄」と称しています。

西武多摩川線2

東京新聞から連載鉄道エッセイの依頼があった時、私は躊躇なく「文学鉄」を全体テーマに選びました。約4年3ヶ月ほど、楽しく書かせていただきました。

しかし、この2月9日限りで最終回となってしまいました。連載は、いつか終わるものです。
最終回のテーマは、最初から決めていました。私の人生を左右したと言って過言ではない、高橋留美子の「めぞん一刻」です。リンク先は東京新聞の公式サイト。無料ですので、ぜひご一読ください。
見出し画像は、西武鉄道東久留米駅が「時計坂」の駅名を掲げた、奇跡の一日に撮影したものです。

けど、ずっと連載は続くものと思っていましたから、「めぞん一刻」だけではなく、他にも多くの作品を材料として取材、キープしていました。これをこのまま捨ててしまうのは惜しいところです。
そこで、Noteで、独自に連載を引き継ぐことにしました。
タイトルも「鉄路の行間」と改めます。

スタイルは「鉄学しましょ」とまったく同じにします。
本文500〜600字程度。
写真は1点だけでしたが、こちらでは数点は、掲載いたしたく存じます。

「鉄学しましょ」は3週間に1回でしたが、こちらは2週間に1回。隔週で火曜日にアップすることにします。

「鉄路の行間」No.1は、連載で取り上げそこねた、阿川弘之がテーマ。
2月23日(火)にアップいたします。

阿川弘之は、鉄道好きとして内田百閒、宮脇俊三と並び称される大作家で、鉄道の描写も数限りなくありますが、今回はエッセイ集『お早く御乗車ねがいます』から拾ってみます。

太田川

なお、東京新聞では、当然ながら原稿料をいただいていました。
私もプロのライターです。No.1以降は、最低価格にするつもりですが、有料記事とさせていただきます。
また、「鉄学しましょ」と併せて、各記事を大幅に加筆した上で、単行本化も目指します。

正直、どこまで収益化できるかわかりませんが、よろしくお願い申し上げます。

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