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「仕事は演劇だ」と捉えると、働くのがちょっとラクになるかも

先日、勤務先の社長と仕事論をディスカッションしていて、色々と気づきを得ました。
そのなかで今日は「仕事=演劇と捉えると、仕事がラクになる」というお話をシェアします。

けっこう私独自の解釈も加えているのですが、とくに「仕事がつらい」と感じている方に読んでいただけると、視点を変えるためのヒントになるのではないかと思います。

なおここでいう「演劇」とは、あくまでも比喩です。
劇団員の方など、実際に演劇をお仕事とされている方には「仕事を演劇だと思うとラクになる?ナメてんのか」と思われるかもしれませんが、あくまでも喩えであるという点で、ご容赦いただけますと幸いです。


仕事って、誰かの「役」に立つということ

大前提として、そもそも「仕事」とは、いったい何なのでしょうか。
色々な定義があるとは思いますが、極めてシンプルに言うと「誰かの役に立つこと」だと思います。
誰かの役に立ち、感謝の印として対価をいただくというイメージ。

ここで注目したいのが「役に立つ」という言葉です。
「役に立つ」という表現に少し言葉を付け加えると、されたポジションに立つ」ということ。
なんだか急に、演劇っぽさが出てきました。

仕事における「配役」というのは、わかりやすく表現すれば「役職・職種」です。
自分がその職場で与えられている役割のことで、役職であれば「部長」とか「一般社員」、職種であれば「営業」とか「経理」とか。
独立起業している方の場合は、「●●デザイナー」とか「▲▲コンサルタント」のような肩書きがこれにあたります。

基本的に仕事の際は、この配役に沿った動きを期待されています。
たとえば「部長なのに部下をマネジメントしない」「営業なのにセールスを一切しない」「デザイナーなのにデザインを提案してくれない」というのでは、配役に合致した動きができていないため、仕事としては成立しません。

「クライアントや組織が思い描くストーリーに、配役に沿った何らかの影響を与えること」
仕事においては、これを意識しておく必要があります。

ではこの大前提を踏まえ、仕事と演劇との共通点について、もう少し詳しく掘り下げてみたいと思います。

仕事と演劇との共通点

先ほど「仕事=人の役に立つ=配役に合致した動きをする=演劇」というロジックで、「仕事=演劇」としました。
でもちょっと強引すぎますよね笑
もちろん、言葉遊びだけで仕事と演劇とを結びつけたいわけではありません。

以下で、仕事と演劇の共通点について、もうちょっと詳しめに説明します。

■【共通点1】シナリオはどんどん変わる

演劇って基本、稽古開始から終演に至るまで、想定どおりに進捗することはないと聞きます。
もともとの台本をベースに、稽古をするなかでどんどんアレンジを加えて、完成系をつくるらしい。

たとえば、演劇とはちょっと違うんですが、私の好きな映画『Kids Return』(監督:北野武)のメイキング映像に以下のような一幕があります。

北野監督が「止め!芝居変える!」と言い、その場で脚本を変えていますね。

仕事もこれと同じで、その場その場で状況がどんどん変わっていきます。
自分の「役」に見合ったアクションを意識しつつも、そこに固執しない姿勢が必要です。

劇をより良いものにするために、柔軟に動く。
この考え方をもっていると、「方針がコロコロ変わるなんて、ついていけない!」みたいにイライラすることもなくなりそうですよね。

■【共通点2】お客さまからの見られ方が大事

舞台に上がると、スポットライトの向こうには客席が広がっています。
役に没入しているとつい忘れがちですが、自分の演技を、間違いなくお客さまが見ている。

お客さまに喜んでもらえる演技ができないと、「チケット代もったいなかった~」という印象をもたれてしまう可能性があります。
だから、一心不乱に演じるのはいいけれど、独りよがりな演技をしてはいけない。
ステージ上にいる自分を、客席から俯瞰して見る必要があるんですね。

今の自分は、ステージ上で目立ちすぎていないか?逆に控え目すぎていないか?
仕事においても、この考え方をもっておくことは非常に重要です。

たとえばお客さまとのミーティングの際、とてもいいアイデアが浮かんだとします。
でもそのとき、考えなしにアイデアをベラベラしゃべってしまうのはNG。
自分が発言するのが適切なのか、このタイミングで発言するのが最良なのかを、一度立ち止まって考えてみる。
逆もまた然りで、名案が浮かばないからといってだんまりを決め込んでおくのがベストなのかを一度考える。
もしかしたら、「そんなんありえへんやん!笑」と一蹴されるようなアホっぽい意見を出すことで、議論が活性化する可能性もありますもんね。

アサヒビールの「すべてはお客さまの「うまい!」のために」じゃないですが、どうすればお客さまに喜んでいただけるのかを考えながら仕事をするのが大事なんだろうなと思います。

■【共通点3】役は役、自分は自分

役はあくまでも役であって、自分個人とは関係ありません。
めちゃくちゃ饒舌なバーの店主を演じてる俳優さんが、私生活では思いっきり寡黙、っていうこともありますよね。

仕事も同じで、仕事中の私は、仕事中の私。
コンサルタントとしてお客さまに施策を提案するのであれば、多少自信がなくたって、堂々とコンサルタントを演じる必要があります。
そしてそれは、全然悪いことじゃない。
つい「自分なんかがこんな自信満々に話すのは申し訳ない・・・」みたいな謎の謙遜をしてしまいそうになるのですが、グッとこらえて演じきる。
プロとして、演じる役になりきることが重要です。

同時に、仕事中の失敗はあくまでも仕事での失敗。
プライベートに持ち込まなくていいし、私自身の人間としての価値が下がるわけではない。
仕事がうまくいかずにお客さまや同僚に迷惑をかけてしまうと、つい「自分はなんてダメなやつなんだ・・・」と落ち込んでしまいそうになります。
でも、仕事中の自分とプライベートの自分は同じじゃない。
仕事での失敗を原因に、自分の人格そのものを否定したり、自分を無価値だと感じたりする必要はない。
舞台上でめちゃくちゃサイコパスな殺人鬼の役を演じたとしても、劇場の外で逮捕されることはないですもんね。

仕事とプライベートの自分を切り分ける、っていう点でいうと、仕事用の名前を使っている企業もありますよね。
ビジネスネームを使うのは会社によって難しいですが、「仕事は演劇なんだ」と意識しておくと、仕事中の自分とプライベートでの自分を同一視せずに済みそうです。

「仕事=演劇」と捉えれば、メタ視点をもって働ける

今回は、仕事は演劇なんだと捉えると、ちょっと仕事の質が上がり、精神的にもラクになるかも、という話をしました。
これはたぶん、仕事における自分や周りの動き方を、メタ的な視点で俯瞰して見られるようになるからなのではないかと思います。
「ほー、そうきたか・・・じゃあ次はこんな感じで」と、一歩引いた視点で仕事に取り組めそうな感じ。

また、チーム全体で「仕事=演劇」という解釈を共有していると、プロジェクト終了時の振り返りがめっちゃやりやすくなる気がします。

「ちょっとドキドキしたけど、ベストなタイミングでステージの中央に出られたな~」

「先輩、あそこでの僕を叱るときの演技、ちょっと厳しすぎて泣きそうになりましたよ!!」

「クライマックスの手前、マジでバッドエンドになりかけてめっちゃヒヤヒヤしましたね」

みたいな感じで、楽しくワイワイ振り返りができそうな感じがしませんか。
傲慢になりすぎることも、卑屈になりすぎることもなくなって、よりニュートラルな状態で仕事に向き合えそうな気がします。

というわけで私は、明日からも演技に磨きをかけたいと思います。
私と同じように仕事で悩む同士であるあなたに、何か少しでも参考になる部分があればうれしいです。


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