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レイルロオド・マニアックス「ノワール」&3分で読めるレイルロオドのお話「ノワールの精密検査」

みなさまこんばんわTVアニメ『レヱル・ロマネスク2』

AT-X様でも放送が開始され

いままで視聴環境になかった方にもご覧いただけるようになったのではないかと存じます。

ぜひとも既存レイルロオドたち同様、
2期から登場の新規レイルロオドたちもご愛顧たまわれますと幸いです。

そんな新規のこたちを集中的に紹介してまいります、『レイルロオド・マニアックス』。

第一回「むむむ」
https://note.com/railroma/n/n4779261f44cc

第二回「なこ」
https://note.com/railroma/n/n18074e163155

第三回「切子」
https://note.com/railroma/n/n3705925ce034

第四回「海」
https://note.com/railroma/n/nea257b1e969a

第五回「とらこ」
https://note.com/railroma/n/n30ae0014f5c1

に続きましての第六回はノワール! 通称をノワ、9600形のレイルロオドでございます。

プロフィールと短いお話を、どなたにも無料でお読みいただけるコンテンツ。
より詳細な背景――つまりは過去エピソードと、田上俊介さん画による設定画とをメンバーシップ特典として公開していこうと思いますので

もしもご興味お持ちくださいましたらチェックいただけますと幸いです。

読んでおけばアニメが更に面白くなること間違いないかと思いますんので、ぜひご笑覧ください!

■ ノワールのプロフィール ■


<製造年> 1918年 

<出身> 汽関車製造合資会社 逢坂工場

<所属路線> 来大鉄道(くるだい-) 来大線

<長所>極めて忍耐強い。マスターが「待機」と命令してそのまま忘れて帰宅して翌朝待機を続けるノワールを見て(しまった)という顔をしても、意にも介さず待機を続けるレベル

<短所>大変に燃費が悪いため、常に空腹な食いしん坊。なにをしていてもどこにいても、石炭をつまみ続けている。天性の忍耐強さは食欲に対してだけは全く発揮されない。

<その他>大食らいだがお腹はデリケート。木炭や練炭などを食べてしまうとすぐ腹痛に苦しめられる。

空腹になると勝手に涙が出てきてしまう体質ゆえに同情されやすく、
石炭を携帯常備しているそのうえに、どこでも石炭を恵んでもらえがちな常食のレイルロオド、ノワール。

どなたにも無料でお楽しみいただけるお話となりますので、ぜひご一読ください。

■ノワール
旧帝鉄9600形蒸気機関車 来大鉄道29616専用レイルロオド。
大食漢ですぐお腹が減る超低燃費なことで有名。
そのため、いつでも愛用の弁当箱から石炭を取り出しては口にいれている。

■ひよこ
旧帝鉄C57形蒸気機関車145号機専用レイルロオド 
レイルロオドでありながら、レイルロオド研究の第一人者でもある。
ニックネームは「不死鳥博士」

■「ノワールの精密検査」■

「なるほど? ……それで旺宮送り――いや失礼、
当歴史館への検査回送となったわけでしたか」

「そうですっちゃ! 無事故無故障の秘密、
こんどこそ明かしたいって会社がお金出してくれましたっちゃ」

「ふぅむ――ご期待に添えればよかったのですが……」

さすが永年無事故無故障機。
普段の整備がよほどよいのか、要交換、要調整の部品ひとつも発見できませんでした。

組み込みももちろんほぼ完璧。
バランス的に不調和な箇所も一切なく――

「素晴らしいほどの健康体。であるということ以外に際立った特徴は見つけられませんな」

強いていうなら身長比体重――
人間でいうところのBMIが高く出ていたくらいでしたが、これはおそらく

「そう……ですっちゃか」

「!!? そ、それほどショックでしたかな」

いささか動揺させられます。
ぼろぼろぼろと、大粒すぎる涙をいきなり、ノワール氏がこぼし初めましたので。

「い、いえ、違いますっちゃ。これは、勝手にっ」

(ぐーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ)

続いて盛大な腹の虫。
正確には燃料欠損アラームが、あたりの空気を震わせます。

「はうっ、恥ずかしっ――えと、ノワ、なんでか自分でもわからんっちゃけど、
おなかが空きすぎると勝手に涙が出てきちゃいますのっちゃ」

「おなかが――? もしかしてノワール氏、検査前に食事を抜いてきたのですかな?」

「は、はいですっちゃ。そ、『そうするもんだ』って、ま、マスターが――ひぐっ――教えてくれましたっちゃから」

「人間とレイルロオドではまた違うものですが――それはともかく、もう一度体重を量らせていただきたい」

「は、はいですっちゃ」

「……ううむ――身長も、願わくばいまいちど」

「かっ――かしこまりですっちゃ――ぐすっ」

……やはり、おかしい。
同型・同時期・同工場製造のレイルロオドであれば、身長比体重は必ず一定の枠内に収まるもの。
ノワール氏はお腹に何もいれていないにもかかわらず、それが有意に重く出ている。

「つまり……つまり?」

「ぅ……な、なにかわかりましたっちゃか?」

「判明りかけている……のかもしれませんな。ノワール氏、すみませんがメンテナンスハッチを開け、
内骨格のサンプルをほんの少量、採取させていただいてもよろしいか?」

「よ、よろしいですっちゃ」

「では」

……ダイヤモンドナイフを用い、内骨格の超薄切片を採取します。

「――ふむ。これを専門機関に送って分析してもらいましょう。
この不死鳥博士の予想が正しければ、
ノワール氏の内骨格には鉄ではない、なにかの鉄合金……
おそらくはニッケル鋼あたりがが」

(ぐーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ)

「おおっと」

いけません、ノワール氏はもう泣き疲れ、ぐったりし始めてきております。

「どうぞ、好きなだけお食べくださ」
(ひゅぼっ!!!)

言うや否やで差出した石炭が、真空ポンプに吸われるごとくノワール氏の口内に消えていきます。

「はぐはぐもぐもぐ――おいしいですっちゃ!」

はぐはぐもぐもぐは、言っているだけ。
実際には噛み砕きもせず、塊のまま喉の奥へと石炭たちが送り込まれて……

(いやはや、炉もよほどの高性能なのでしょうな)

小職があのように石炭摂取してしまったら、あっという間に不完全燃焼で動けなくなってしまうでしょうに。

(高密度の内骨格に、破格の性能を持つ火室……)

ノワール氏の無故障・無事故の秘密が、どうやら垣間見えてきました。

「まるで試作機のごとくコストを度外視して製造された……」

「はうっ! 低燃費高コストって、ノワ昔よく叱られてましたっちゃ」

「いえ――」

そこにどのような意図があったか、今では計り知れません。
が、ノワール氏が積み重ねてきた実積は、それをおそらく雄弁に物語っていましょうとも。

「ノワール氏と29616ほどコストパフォーマンスに優れたコンビは、おそらく日ノ本の鉄道史上でも稀有でしょう」

「そうですっちゃか?」

照れくさそうに、誇らしそうに、ノワール氏はわずかにはにかんで――

「でしたら遠慮なく! 『おかわり!』ですっちゃ♪」

;おしまい

いかがでしょうか?

かみくだくのではなく飲み干す石炭! なレイルロオド、ノワール。
いつか機会があればWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』で、その様子をビジュアライズしていけたらいいなと思います。

で、その『レヱル・ロマネスク0』。

どなたにも無償でご確認いただける0~7話のネームはこちらとなります。

よろしければどうぞ、あわせご笑覧ください。

(それ以降のまとめはメンバーシップ特典です)

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【メンバーシップ限定記事のご案内】

『レヱル・ロマネスクnote』メンバーシップ『御一夜鉄道サポーターズクラブ』

にご参加いただきますと、レイルロオドたちにかかわる詳細な内部設定資料や掲示板機能などをお楽しみいただくことができます。

『レイルロオド・マニアックス』掲載時にはそのレイルロオドの過去エピソードと設定画群をご覧いただけます。

『レヱル・ロマネスクゼロ』の字コンテ掲載時には、その字コンテがネーム化されたもの、および推敲過程でボツになった未公開ネーム画像などがあるときには、そうしたものも公開していきたく思っております。

どうぞご参加ご検討いただけますと幸いです。

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