「夏夜鉄道4号蒸気機関車専用レイルロオド『かよ』」のご紹介&3分で読めるレイルロオドのお話「りいこの虫取りCF計画」
加悦鉄道をご存知でしょうか?
というか、そもそも「加悦」――読めますでしょうか?
これは「かや」と読みまして、京都府内の地名です。
いわゆる平成の大合併で「与謝野町」となる以前には、
丹後半島、天橋立から南西に10km強ほどのところに、加悦町が存在しておりました。
その加悦町の加悦駅と、いまは京都丹後鉄道の与謝野駅となっている丹後山田駅とを結んでいたのが、加悦鉄道でした。
旅客、貨物の両方を1926年の開業当初から運んでいた加悦鉄道の主たる輸送物は、沿線の特産品である「丹後ちりめん」だったそうです。
その後、加悦駅の南西にある大江山でニッケルの採掘が行われるようになり、加悦駅-大江山ニッケル鉱山および丹後山田駅-岩滝町の製錬所までの専用線もそれぞれ開通されます。
戦後、ニッケル鉱山が閉山され、車社会へと以降していくと、旅客・貨物とも輸送量が激減していきます。
が、輸入ニッケル鉱を精錬するための丹後山田駅-岩滝町の製錬所までの専用線は存続し、鉄道収入の60%を稼ぎ出す大黒柱として加悦鉄道を支えました。
また、明治・大正期に製造された蒸気機関車たちや木造二軸客車、客車改造のキハ08形気動車などが目白押しだったため、鉄道マニアも人気を集まり。
加悦鉄道は観光鉄道として、グッズ類の販売にも力をいれての存続を計るようになります。
が、1985年。丹後山田駅に乗り入れていた国鉄・宮津線の貨物輸送が廃止。
これにより輸入ニッケル鉱を丹後山田駅にまで輸送する手段が失われ、稼ぎ頭だった丹後山田駅-岩滝町の製錬所までの専用線も廃止となり――これがとどめとなり、同年の5月1日に、加悦鉄道全線は廃止となったそうです。
しかし、加悦鉄道の歴史はここで終わりませんでした。
運営会社である「の加悦鉄道株式会社」、鉄道事業廃止後の「カヤ興産株式会社」には、先見の明があったのです。
鉄道事業廃止に先立つ1977年9月、当時のSLブームをにらみ、加悦駅構内に解説された「加悦SL広場」は、当時から加悦鉄道の旧・廃車を展示しておりました。
鉄道廃業後の1996年、同施設は大江山鉱山駅跡に移転し「加悦SL広場」として活動を始めます。
加悦SL広場は2020年3月31日の閉園まで、「地域の車両を地域で触れ合える形で残す」という保存・展示活動を維持し続け。
閉園時にも、実に27両の保存車両を所有し、そのうちの11両がなんと動態保存されていたのです。
かかる保存を維持し続けてらした加悦SL広場ですので、閉園即保存車の廃車、というような事態をさけるべく、現在もなお、車両保存に向けた取り組みが続けられおります。
その貴重な保存車両群のうちの一両。
「加悦鉄道4号蒸気機関車」がこの度、千葉県いすみ市にある「ポッポの丘」
へと移送され、同地で保存されることが計画されております。
計画の主体は「加悦鉄道4号機関車保存会」様。
https://twitter.com/Kaya_steam_04
移送には700万円の移送費が必要となるとのことで、同会ではその金額をクラウドファンディングで調達することをご計画されています。
この度ご縁ございまして、『レヱル・ロマネスク』も「加悦鉄道4号機関車移送のためのクラウドファンディング」に協力させていただくことになりました。
具体的には、レヱル・ロマネスク世界観下での「夏夜鉄道4号機関車専用レイルロオド かよ」の設定、デザインを作成し、
それらのCFリターンでの使用を許諾させていただいたという形になります。
つまるところ
『加悦鉄道4号機関車移送のためのクラウドファンディング』の返礼品の一部には、「かよ」のグッズが提供される可能性が極めて高い――ということとなります。
このような形で希少な、そして個人的にも「超かっこいい!」と思っておりました
保存蒸機の移送・保存のお手伝いをできることは、とても喜ばしいことだと感じております。
みなさまにもどうぞ、加悦鉄道4号機関車の移送のためのクラウドファンディングへのご協力、ご検討いただけますと幸いです。
生まれたばかりの「かよ」をどうか、新天地、いすみ・ポッポの丘での新生活へと送り出してあげてください!
と、いうことで本日は「かよ」ご紹介の第一弾として、「かよの設定」を公開させていただきます。
どなたにも無償で御確認いただけるコンテンツといたしますので、どうぞご笑覧いただけますと幸いです。
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■かよの設定■
『かよ』 (旧夏夜鉄道4号蒸気機関車専用レイルロオド)
元々は果糖鉄道3号機関車の専用レイルロオドであったが、同機が夏夜鉄道に移籍したときにともに移籍。
夏夜鉄道4号機関車専用レイルロドで「かよ」と大変シンプルに新しい名前を付けられた。
もともとは小型タンク機らしいちんまりとまとまった印象のレイルロオドだった。
が、愛機である4号機関車が、空気ブレーキ装置一式を、外観一切お構いなしの後付け改造をして、左右アンバランスでゴテゴテした印象になったのにあわせるため、制服改造をしまくるようになってしまった。
改造後はかよも、左半身に重量物が集まるゴツくソリッドな印象へと変貌してしまったが、足元だけは製造時のまま、一切改造を加えていないシンプルなブーツを履いている。
制服改造の理由は「4号機関車の専用レイルロオドなのだから、機関車の変化にかよもあわせるべき」という几帳面、生真面目すぎる考え方からきている。
ゆえに、仕事ぶりもまこときっちり。
貨物輸送においても旅客輸送においてもミスらしいミスをしたことがなく、接客も過不足なくこなし、乗客、職員、他のレイルロオドたちからも大変に好かれている。
まさに「ザ・優等生」なレイルロオドが、かよの本質であるといえる。
口癖は「問題ありません」。
実際、かなりやっかいなトラブルが発生したときにも、自力・他力をフルに活かして速やかに解消することができる、大変な有能さを持っている。
そのため、夏夜鉄道の中心的レイルロオドとして長年活躍を重ね、夏夜鉄道が廃業したのちも、夏夜SL広場の看板ガイドとして、八面六臂の大活躍を見せた。
自身の能力と努力に正しくプライドをもっているがゆえに負けず嫌いな一面もあり、全国の有名レイルロオドたちをややライバル視している。
本人および4号蒸気機関車も、全国区とはいかないものの、専門家やマニアからの、地域レベルを超えた高い評価・人気を誇っている。
そのため当然、諸事情により夏夜SL広場が閉鎖されることになった際にも、引取希望が引く手あまたとなった。
のだが「4号蒸気機関車を現在と同等かそれ以上の環境で、確実に保存・展示してくれること」という条件をつけての新オーナー探しを徹底的に行ったため、オーナー候補決定まで、3年以上の時間をかけてしまった。
この度晴れて新オーナー候補が決定したので、新天地での新生活に、自らと4号機関車をよりよい環境で送り出すべく、地道かつ的確な努力を重ね続けている。
<セリフ例>
「かよですか? かよなら一番最後に残ったひとつをいただく形で問題ありません」
「問題ありません。クラウドファンディング――夏夜SL広場で行ったものを手伝った経験があります」
「ハチロク……8620形トップナンバー機だけあり、優れたレイルロオドだと認識しています。もっとも、貨物輸送に関してはかよの方が優れているかとも思いますけれど」
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いかがでしょうか?
今後段階的に「かよ」の短いお話などなども作成・公開していければと思いますので、どうぞご期待と――
「かよ」のご応援のほど、よろしくお願いいたします。
さて、以降は平常更新に戻りましてのWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』のネーム&字コンテ更新。
前回までで第40話「工場誘致撤回調印」の3シーン分のものを公開いたしましたので、
今回は1話まるまるをまとめて公開いたします。
ネーム&字コンテはメンバーシップ会員さまむけの特典コンテンツとなってしまいますが、
アバンタイトル部はどなたにも無償でお楽しみいただけますので、よろしければそちらだけでもご覧いただけますと幸いです。
今回紹介部分を書くのに頭を使いましたので、短いお話は頭を使わずいよ&りいこで書いてみたいと思います。
タイトルは「りいこの虫取りCF計画」
どなたにでも無償でお読みいただける作品となりますので、よろしければご笑覧いただけますと幸いです。
■いよ■
いよかん鉄道甲1形1号蒸気機関車専用レイルロオド。
楠海トラフ地震での四國の被害予想にびびっているところに
台風にまで接近されてしまい、気が気ではない。
■りいこ■
頭部鉄路5号機関車専用レイルロオド。
昆虫大好き。
最近「クラウドファンディング」という語にはじめてふれた。
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『りいこの虫取りCF計画』
「りいこ、クラウドファンディングしてみたい」
「!!?」
ひさびさに電話かけたらいきなり、まったく予想外のこといわれたぞね!
「いきなりなんゆーとんのん」
「いきなりじゃない。『8620運転台通信』の最新号、みてないの?」
「あー、地震じゃ台風じゃで見そびれちょったぞね」
メールを検索……ああ、これじゃね。ん、と――
「ほうほう、夏夜鉄道4号蒸気機関車の移送のためのクラウドファンディングに、御一夜鉄道が協力しよるんね」
「だって。で、りいこ『クラウドファンディング』ってよくわかってなかったから、マスターに「どゆもの?」って聞いてみたの」
!? 今さらCF初耳って――
あー、けどりいこはあの大頭部の一員やけん、資金調達のためのCFとか、きっと検討に触れたこともなかったんじゃろーね。
「で、マスターさんはなんて?」
「『大きな目的を達成するのに不足している資金を、大勢に呼びかけて募る試み』だって教えてもらった」
「ゆーことは……りいこにはなんぞ、大きな目標がありよるん?」
「ある。Anisodactylus signatus――コウチュウ目オサムシ科ゴモクムシ亜科に属する、いわゆる『ゴミムシ』の、網羅的な標本群を作りたい」
「ゴミムシの標本なんて、りいこすごいのもう作っちょるでしょお」
「あれは1011種しかまだ標本できてない。ヒノモト国内にもまだまだりいこが採取してないゴミムシはたくさんいるし、世界に目をむければもっともっといる」
「どんくらいぞね?」
「約4万種っていわれてる」
「めちゃくちゃ多いぞなもし!!!」
「そう。そこがゴミムシの魅力。……いよ、逆に考えてみて? どうしてゴミムシがそんなに多種多様に変化をしつづけたのか」
「え!?」
い、いきなりアカデミックぞね。
虫に関してだけはりいこ、こがいとこあるから油断ならんぞね。
「ええと……変化する必要におわれたから、とか」
「大正解。ゴミムシ類は飛翔能力に乏しく、一年に一世代という早いペースで世代更新される。だから、地上の環境変化への適応能力にすごくすぐれている」
「ああ!」
どがいしてりいこがゴミムシめちゃくちゃ収集したいか、なんとなーくわかったよーな気がしてきたぞね。
「つまり、ゴミムシをたーーーーくさん集めて分類したら」
「そう。どういう地形にどういう適応をしたかということ。そこから、地形の変化が昆虫の変化に与える影響を導き出せるかもしれない。
だからりいこは、ゴミムシの網羅的な標本群を作りたい」
「……すごいぞね」
そがいにはっきりした目的があるなら、クラウドファンディング、ひょっとしたら成立するかもしれんぞなもし!
「で、具体的にはどがい準備をすすめちょるん?」
「まだなんにも。だって、そういうふうにお金を集められるかもしれないなんて、りいこ、考えたこともなかったから」
「ならならこれからちょこっとずつでも準備していくぞね。何年がかりで、何カ国をまわって、どこでなにを収集して、収集したものをどう活用するのか――そがいなことをひとつひとつ、金銭的な支援を検討しれくれよる人たちの背中を押せる説明になるように、ちゃあんと文章にしていくぞね」
「……う、それは大変そう。りいこ、そういうの苦手」
「なら、ワシが手伝どーてあげるぞね! もちろん、手があいたときにちょこっとずつになるけんど」
「ほんと!? いいの?」
「もちろんぞなもし!」
……CFの準備が終わるまで、きっと何年もかかっちゃうぞね。
その間にいよもりいこも、もしかしたら引退しちょるかもしれないし――。
(レールの上を走れんよーになったあと、どがいしよったもんか、ちいとも想像できちょらんかったけど――)
りいこにおっきな夢があるなら、それを手伝って叶えたい。
なんのかんのゆーて、の。
「りいこはいよの、一番大事な友達じゃけんね!」
;おしまい
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いかがでしょうか?
CF、いろんなテクニックもきっとあるのでしょうが、一番大事なのはそもそもの「大目的」かと存じます。
加悦鉄道4号機関車の移送・保存。
どうか成功してほしいものでございます!
そんなこんななWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』。の過去話。
どなたにも無償でご確認いただける0~7話はこちらで
それ以降のまとめはメンバーシップ特典で
それぞれお読みいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。
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また『レイルロオド・マニアックス』の掲載時には、紹介されているレイルロオドの設定画や三面図などの資料で存在するものを公開していきたく思っております。
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【製品版 WEBTOON版『レヱル・ロマネスク』のご案内】
本noteでネーム連載をしております『レヱル・ロマネスク0』の完成品は、
WEBTOON版『レヱル・ロマネスク』として順次リリースされております。
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