シナリオライターのための手荒れ対策基礎講座＆3分で読めるレイルロオドのお話「ハチロクの手、真闇の手」
冬ですね。
若い時分の冬は「さむいけれど楽しいイベント盛りだくさん！」という感じの季節でございました。
しかし、いい歳になってまいりまして――本格的な冬の訪れが、仕事にダイレクトに差し障るようになってしまってまいりましたのです。
その理由は「手荒れ」。
肌が乾燥し、乾燥によってひび割れ、ひび割れの痛みによってタイピングが苦しいものになってしまう――という、シナリオライターにとっての軽い地獄を、わたくし今冬、かなり長期間味わわさせられることとなってしまいました。
と、書いたところで。
「味わわせる」――これ、誤記では？ と感じた方がいらっしゃるかもとふと思いました。
つまり「味あわせる」が正しいのでは？ という方がいるかも、と――
しかしながらこれ、「味わわせる」が正なのです。
活用としては
食らう→食らわせる
と全くおなじで、
味わう→味わわせる
なわけです。
のですが「わわ」と続くことに恐らく違和感が生じ、「味あわせる」という誤用が生じたのではないか――と想像します。
この辺ググりましたら、ＮＨＫ放送文化研究所の記事にもふれられておりましたので
https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/20160601_3.html
もしご興味あったらあわせ御確認ください。
閑話休題。
乾燥肌の話に戻ります。
タイピングするたびに痛みで指が縮こまるようでは仕事になりませんので、
わたくし、Xで「助けて！」的なポストを発信し、有識者のみなさまからのたくさんのリポストをいただきました。
その辺ベースに『乾燥肌を防ぐ方法と、ひび割れてしまったときの対処法』をみなさまに共有させていただきたく存じます。
【なぜ冬の手指は荒れやすいのか】
冬は湿度が低下します。
湿度が40%以下になってしまうと、肌や粘膜の水分は失われていくそうです。
冬場にインフルエンザや風邪などが流行るのは、喉の粘膜が乾燥してしまい、ウィルスへのバリア機能が落ちてしまうからだそうです。
皮膚にも同じくバリア機能がありこれが正常に働いていれば皮膚は紫外線、雑菌、異物などから守られます。
ところが皮膚の水分が失われてしまうとバリア機能は低下し、乾燥肌からの各種トラブルや、循環障害からのしもやけなどが発生してしまうのです。
若い肌は皮脂の分泌量も水分保持機能も高いので、雑な乾燥対策でも手荒れが防げたりします。
しかし加齢はそれらも等しく低下させていうので――「歳をとっても冬の手肌は荒れやすい」という現象が起こります。
【いかにして手指の荒れを防ぐのか】
上記のとおり、乾燥が手指のバリア機能を低下させる最大要因です。
ですので「お部屋の加湿」「お肌の保湿」が、手指の荒れ予防の最適解となります。
濡れタオルや洗濯物を部屋干ししたり、加湿器を使ったり。
ハンドクリームや乳液を塗ってみたり――は、誰もが簡単に気づける対策となるかと存じます。
が、見落としやすいのは「手指についた水」です。
水がお肌についていれば保湿されそうな気が一瞬しますが、さにあらず。
お肌についた水は、蒸発するときにお肌の中の水分も一緒にもっていってしまうそうなのです。
ので「手洗い等のあとには、必ずきっちり水気を拭き取る」ことも、手荒れを防ぐ重要なポイントとなってくるかと存じます。
アルコール消毒も、皮脂を強力に除去した上で、揮発することによって水分ももっていってしまうので、手荒れ防止という観点からは避けたほうがよいとのことです。
【わたくしがひび割れを治した方法】
対策むなしく、手指の乾燥が肌荒れ、ひび割れにつながってしまったときにはどうするか？
これはもう、お医者さんにいってくださいまし――というのが大正解かと存じます。
のですが、「なかなか医者に行く時間も」という方にちょっとでも参考になるかとも思いますので
＜わたくしが指のまたのひび割れを治した方法＞をご紹介させていただきます。
１：肌荒れ・ひび割れの薬を塗布する
→わたくしは「ヘパリン類似物質」というのが配合されてるのが効くと効いたので、それを試しました。
実際薬効あらたかでした。
２：その上から、薬+傷口を保護するワセリンを塗る
→これをしないと「３」のステップで傷口が染みまくって辛いのです。
わたくし、少年期に陰毛がなかなか生えてこないことに悩んで、男性器に、父親の毛生え薬をぶっかけて悶絶しまくったことがあるのですが――
そのときの20-30%程度の染み感に襲われるので、それは回避したほうが安全ではないかと存じます。
３：その上に「液体絆創膏を塗る」もしくは「絆創膏を貼る」
→絆創膏貼れる場合は、普通に貼ればいいと思うのですが、指の股とか指先は、絆創膏を貼って→維持しておくのが困難です。
ので「液体絆創膏」というものを薬局で買ってきて、塗りました。
これが傷口にめっちゃしみるのですが――傷口の保護効果は期待以上に高く、この１・２・３をセットで頻繁に実施することで、
わたくしは指先の荒れと指の股のひび割れとを快癒させた次第でございます。
――以上、タイピングの際に手荒れに苦しんでいるどなたかの助けになればと思い、情報共有させていただきました。
さてさて、そんな手指で作業地道に重ねておりますWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』の方。
先日第26話「観光列車のつくりかた」の全ネーム＆字コンテを公開させていただきましたので
今回はネーム更新おやすみとさせていただきます。
短いお話の方はもちろん掲載いたしまして、今回のテーマは「肌荒れ」とさせていただきます。
登場するレイルロオドは、ハチロク。
手荒れに悩む真闇姉とのひとこまを切り取る感じのお話になるかと存じます。
どなたにも無償でお楽しみいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。
■ハチロク■
御一夜鉄道8620専用レイルロオド。
蒸気レイルロオドの人口皮膚はとくに頑健なため、
手荒れというものに悩んだことがない。
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『ハチロクの手、真闇の手』
「あ痛たたたた」
「？」
なんでしょう、こんな時間に。
真闇様のお声のようですが――
「どこか痛まれるのですか？」
「あら、ハーちゃん」
手。真闇様の手がやけにぬらぬらしてらっしゃいます。
「それはいったい」
「格好悪かとこ見られちゃったとね」
ぺろっと可愛く舌を覗かせ、真闇様は手の中のチュウブを見せてくださいます。
「ワセリン？」
「そ、ハンドクリームば塗ったあと、上からワセリンで保湿効果を高めるの」
「保湿効果」
「おねえちゃんもいい歳やけんね。そんくらいせんと、乾燥肌がキツくてキツくて」
「乾燥肌」
オウム返ししかできていないと自覚しますが、あまりにわたくしに――
「ハーちゃんには縁遠い言葉みたいね」
こくこくこく。まさにです。おおきく何度もうなずいてしまいます。
「わたくしは蒸機レイルロオドですので、人口皮膚の耐性はとくに強いのです」
防傷、防汚、撥水、耐油、耐熱、耐摩耗――
それだけの性能を持つ上に、四年に一度の全検時には、劣化した部分が貼り替えられます。
「ですので、乾燥肌はまったく経験のないもとで」
「うらやましかーーーーー！」
「!!?」
「よかとねー！ 貼り替えられる、トラブル知らずのお肌！
手指荒れると焼酎づくりのしんどかもん！！ まっこと！ まっことうらやましかと！」
……真闇様がここまで強くおっしゃれるほど、手荒れ状態での焼酎づくり、厳しいものかと想像します。
ですが。
そうであったとしても――
「わたくしは逆に、真闇様のお肌をうらやましく存じます」
「うちの？ どぎゃんして」
「だって」
お手を、そうっとお借りします。
あたたかい――わたくしがそう感じているということは……
「ひんやりして気持ち良かとね。ハーちゃんの手」
「ひんやりとしか、ならないのです」
「え」
人工皮膚の頑健さは、そのまま皮膚の分厚さです。
わたくし内部の罐は人間の皆様の発する熱より、よほど高熱を発しましょうが――
「熱を、伝えてはくれないのです。わたくしのうちから発する熱も、そうて――真闇様が発してくださる、暖かさも」
「ああ……」
声にならない息ですけれど、いえだからこそ、気持ちが伝わってまいります。
この寂しさを――真闇様はわかってくださったと感じます。
ぬくもりを、思いっきりに受け止めてみたい――
その贅沢をこの肌は、決して許してはくれないのです。
「弱くて傷つきやすかかわりに、よかとこもあるんねぇ、こん手には」
「そのお手だからこそ、真闇様のおつくりになられる焼酎は、きっと多くの方に愛されるのかと」
「あはっ！」
気持ち良さげな笑い声。
続いて少し、少しだけ、お声に照れが混じります。
「かっこわるかとこ見せちゃったとね。
おねーちゃん、おねーちゃんやのに」
「いえいえ、いいえ、真闇様？」
お借りしてる手を胸元へ、そっとそうっと引き付けます。
「わたくしの方が、ずうっと、ね？
真闇様よりおねーちゃんでございますから」
;おしまい
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いかがでしょうか？
真闇姉とハチロクの絡みはあんま書ける機会ないので、
今後はできたら増やしていきたく思います！
そんなこんななWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク』0の過去話
、
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それぞれお読みいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。
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