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サヴァイヴ系スクールアイドル。

お久し振りです。かみなりひめです。

さっそくですが、

虹ヶ咲学園
スクールアイドル同好会
First LoveLive!
with You
両日参戦してきました!

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今あるニジガクの全楽曲を披露したライヴ。
アニメ制作決定などの嬉しい発表も盛り沢山でした。

今年3月に行われたニジガク最初のイベント「校内マッチングフェスティバル」からの成長を見せてきた、1stにしては完成度の高いライヴでした。

ところで、
このニジガク、
今までのラブライブ!シリーズとは
一線を画す側面があるのです。

今までのラブライブ!シリーズは、μ'sAqoursといった9人でのグループアイドル活動がメインでした。
対して、ニジガクは9人がソロのスクールアイドルとして同じ同好会に属しているという設定なのです。

今回の1stライヴでは
そのスタイルによる
様々な側面が見えてきました

アンコール後、最後のMC。
キャスト一人ひとりが想いを述べていきます。
そのなかで、近江彼方役鬼頭明里さん。
涙ぐみながら以下のような発言をしました。

投票が悪いというわけではないけど、
一位になれないと悔しいし、
一位になっても「何であの子が?」って
言われるのはとても悲しい。(発言要旨)

ソロ活動がメインのため、
ニジガクはありとあらゆるところで
人気投票が行われます。

・ODAIBA ゲーマーズ開店記念 看板娘決定総選挙
・アニメーションPV付きシングル総選挙
・ラジオ新パーソナリティ組み合わせ投票
・ユニット投票企画
・AbemaTVウルトラゲームスイメージガール決定戦

こういった投票企画が盛り沢山な他、
ゲーム「ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」(以下、スクスタ)の公式サイトでは、「マンスリーランキング」というキャラの人気投票が毎月行われています。

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何なら、このライヴすらも投票の場でした。

アンコールが鳴り響く会場。
始まるドラマパート。
ファンに突きつけられたのは、
次のような真実でした。

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選ばれたひとりだけが、
アンコールを歌える。

一日目は、優木せつ菜ちゃん。
二日目は、中須かすみちゃん。
ともに、マンスリーランキングでは上位の常連
ファンの数=人気のある者が勝つという仕組みを
まざまざと見せつけてきたのです。

ここから分かることはただひとつ。

ニジガクのメンバーは
常に激しい競争に
晒されているのです。

先ほど挙げた鬼頭さんのコメントには、
人気が伸び悩んでいるキャラを担当している声優の
まっすぐな悲哀がこもっているのでしょう。

しかし、思うに、
鬼頭さんの発言すらも
ファンたちを
熾烈な競争へと
駆り立ててしまう
のではないでしょうか?

キャストの悲哀はキャラの悲哀。
キャラの悲哀はファンの悲哀。

どうしても、
何としてでも、
自分の推しが一位に輝く瞬間を見たい。
そう思うのは、当然の心理です。
となれば、他者が二位以下にならざるを得ない。
バトル・ロワイアルのような空間です。

これはまさに、評論家・宇野常寛さんの指摘する
サヴァイヴ系」の想像力に他なりません。

宇野さんは、以下のように述べます。

世の中が、「正しい価値」や「生きる意味」を示してくれないのは当たり前のこと=「前提」であり、そんな「前提」にいじけて引きこもっていたら生き残れない――だから「現代の想像力」は生きていくために、まず自分で考え、行動するという態度を選択する。たとえ「間違って」「他人を傷つけても」何らかの立場を選択しなければならない――そこでは究極的には無根拠であることは織り込み済みで「あえて」特定の価値を選択する、という決断が行われているのだ。(宇野常寛『ゼロ年代の想像力』より)

これをニジガクのファン(=スクスタ内では「あなた」と呼ばれる)に当てはめると、

自分の推しを
輝かせるためには、
他者の「大好き」よりも
推しへの「大好き」を
貫かなければならない

ということになるでしょうか。

これに、真っ向から抗ったのが、
優木せつ菜役の楠木ともりさんでした。

彼女の一日目MCの趣旨は以下のようなものでした。

自分の「大好き」の気持ちも、
ここにいる誰かの「大好き」の気持ちも、
大切にしてあげてほしい。(発言要旨)

彼女の発言は大きく支持を受けたようです。

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先ほど挙げた鬼頭さんのMCも、
楠木さんの発言に影響を受けたものでした。

楠木さんのMCで言わんとしていること、
それは「相対主義」に尽きます。
異なる考え、異なる推しの人を否定したり、自分の推しを強要することがあってはならないのです。
私も、楠木さんのMCには心打たれていますし、
間違っているとは微塵も思っていません(重要)。

確かに間違いではありません。
ですが、限界は存在します。

これだけ投票が待ち構えているニジガク。
みんなの「大好き」を全て尊重しては、
みんなが一位になってしまう。

「投票」というシステムは、どうしても
多数=人気のある者を尊重する側面があるのです。

今回の1stライヴでも、
得票数=人気がある者が救われてしまう
という事実を見せつけられた「あなた」たち。
そして、キャストたち。

上へ行けないことへの葛藤、
上へ行ってしまったことへの苦悩。

声優たち、
そしてファンの
「あなた」たちは、
この仕組みの中で
いかに「サヴァイヴ」する
のでしょうか?

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