アミュボchから学ぶ日本語
こんにちは。かみなりひめです。
気づけばあっという間に8月。
光陰矢のごとしなんてレベルではない。
一寸の光陰軽んずべからず、です。
さて、そんな大層なことを言いつつ、
ちょっとした隙間時間にはYouTubeを
徘徊してしまうワタクシ。
以前にも紹介しましたとおり、
アミューズ所属の声優たちが繰り広げる
ドタバタや意外な一面を楽しめてしまう
アミュボchがお気に入りです。
そんなアミュボchの新作がこちら。
前田佳織里さんが絡む動画は
たいがい安心して観ていられるって
田舎のばーちゃんも言ってました。
最近のアミュボchのトレンドである
足ツボマット企画(?)のファイナル。
前田佳織里さん、船戸ゆり絵さん、
某少女歌劇の稽古が休みなのにも拘わらず
わざわざ収録に臨まれた佐藤日向さんが
足ツボマットの上で早口言葉を言うという
何とも分かりやすい企画でした。
(稽古休みの日だから休みたい佐藤日向さん)
この企画のなかで、前田佳織里さんが
選んだ早口言葉がこちらでした。
初っ端から流暢に言い終えた前田さん。
しかし、スタッフの判定は「×」でした。
理由は上の画像のとおりです。
「四」は「し」と読まれるべきであり、
「八」は「や」と読まれるべきだと。
これ、果たしてホントでしょうか??
1. 数の読み方
皆さんは数字を読むとき、
①「いち・に・さん・し・
ご・ろく・しち・はち……」
②「いち・に・さん・よん・
ご・ろく・なな・はち……」
どちらを使っていますか?
ポイントとなるのは、
四番目が「し」なのか「よん」なのか、
七番目が「しち」なのか「なな」なのか
という箇所でしょう。
「いや、どっちでもよくない??」
という声が聞こえてきそうですが、
実はこれには正解があります。
結論を申し上げてしまうと
上記の①と②では、
日本語学的には①が正しいのです。
さて、それはなぜか?
①が正解であることを述べるために、
日本古来の数字の読み方を参照しましょう。
日本には昔から、
「ひ・ふ・み・よ・
いつ・む・なな・や……」
という数の読み方がありますね。
(「ひとつ」とか「ふたつ」といった語に
その名残を留めています)
つまり、「四」を「よ」と読んだり、
「七」を「なな」と読んだりするのは、
日本古来の訓読みなのです。
逆を言えば、
「四」が「し」、「七」が「しち」なのは
あくまで音読みの場合ということです。
②では、音読みと訓読みが混在しており、
それならば統一された①のほうが正しい。
そういう理屈になるわけです。
ちなみに、この日本古来の読み方ですが、
興味深い法則があります。
「ひ」に対する「ふ」
「み」に対する「む」
「よ」に対する「や」
これらから分かるように、
二倍になっている数の組合せが
母音交代によってできているのです。
/hi/→/hu/、
/mi/→/mu/、
/yo/→/ya/と見ると、
より分かりやすくなりますかね。
日本語って綺麗だなぁなんて、
ありふれた言葉を投げたくなります。
2. 前田の早口言葉、ふたたび
今一度、前田さんの早口言葉を
見てみることにしましょう。
先に「八」の読み方を検討すると、
直前の「七」を「なな」と読んでおり、
直後の「九」は「く」と読まれます。
であるならば、訓読みの「や」の方が
適切であると思われますね。
また、これは早口言葉であるために、
「かえるぴょこぴょこ 三ぴょこぴょこ」
という基本ユニットの音数(七五調)も
関係していると考えられます。
この観点から考えると、
「ななひょこやひょこ」だと七音。
「ななひょこはちひょこ」だと八音。
なら、七音の方が良いと言えるでしょう。
以上から、アミュボchスタッフの
×「はち」→○「や」というジャッジは
妥当であると判断できます。
続く「四」の読み方ですが、
直前の「三」を「み」と読むからには
やはり「よ」と読みたくなるモノ。
とはいえ、
直後では「五」を「ご」と音読みするので
音読みの「し」でもよさそうな気配。
七五調という観点からしても、
「しひょこごひょこ」と
「よひょこごひょこ」とではともに六音。
個人的には、「み」からの繋がりを
重視して「よ」と読みたくなりますが、
なかなか悩ましいところです。
ということで、
「よ」優勢でありつつも、
積極的に判断しきれない感じですね。
3. おわりに
前に挙げた②のように、
日本古来の読み方と音読みのものが
混在しているという事実からは、
あるひとつのことが言えるでしょう。
それは、
「日本語の数の読み方は複雑である」
ということです。
と船戸さんにふわりとツッコミを
入れられそうな結論ですが、
ま、事実そういうことなので……。
本日はこれにてご勘弁!さらば!
(あとは吉海先生に任せました!)