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イリヤ クーリックとその当時の人々

長野オリンピックのシーズン、Mr.4回転のストイコ、スケーティングNo.1のエルドリッジ、総合力に優り芸術的かつテクニシャンでトータルパッケージのイリヤ クーリックの争いになるだろうと言われていて、シーズン序盤は世界チャンピオンのストイコが優位だったのが、GPファイナルで直接対決を制したイリヤへと風向きが変わってきたのでした。

大雑把イメージ(諸説あり)
【スケーティング】
トッド>イリヤ>ストイコ

【ジャンプ】※多回転という意に限る
ストイコ>イリヤ>トッド

【プレゼン】
イリヤ>トッド>ストイコ

この3人はそれぞれの持ち味を備えていて、本当に見応えがあった。

オリンピック前哨戦と言われるファイナルは、ストイコが4回転を転倒。一方のイリヤは冒頭の4回転を手をついてしのぎ、エルドリッジはこのシーズン、初めから4回転無しで挑むと公言していました。そしてイリヤがSP2位から逆転。優勝したのです。
確かイリヤは4回転で転倒したことは無い。
基本的にジャンプで転倒しない。まず、後ろに倒れることが無い。
手をつくか、パンク(開く)で2回転とかになるか…。
これって結構すごいことだと思う。


私は長野オリンピックが4回転のある無しで語られるのがちょっと嫌。跳んだから勝てた…みたいな。いやいや、そういう問題じゃない。だったら、8位の選手は2回跳んでるんですよね。
あくまで結果論です。たまたまそうなっただけで、4回転跳んだから勝てた、…ではないと思っています。それだけではないということです。今みたいにGOE(あれほどいい加減なものもないけど)はありませんが、ジャンプの質も重要でした。そして今よりも”印象”が最重要視されていました。
前年、グランプリファイナルで見事な4T決めてるけど、後半崩れちゃったから順位下がっちゃった事例あるしね。

2021年のロシア女子、最早オリンピックで勝つよりナショナルで勝って代表となることの方が難しいとまで言われています。
長野オリンピックのシーズン、まさにロシア男子がそうでした。
クーリック、ヤグディン、プルシェンコ、ウルマノフ、アブト。
なんて豪華!!新旧の王者達が勢揃い!!!
震えてしまうメンバーですね。。。

ミーシンさんは当時ウルマノフ、ヤグディン、プルシェンコのコーチでしたが、連盟(ご自身もその中心人物であったはず)はオリンピックのための照準はすべてイリヤクーリックに合わせられていたと言っています。
一方、タラソワさんは、クーリックやグリーシュク&プラトフをオリンピックに向けて育てている時、連盟からの支援は一切無かったとご立腹でした。

……、この2人は当時バチバチ。隣の芝生がってやつなんでしょうかね。

ロシアと一括りにしてはいけませんが、ロシア人は思いっきり激しいケンカをして、それですっきりするのかあっという間に(いつの間に?)仲直りしているイメージがあります。裏表がないのかな。

イリヤもヴィクトールさん、タラソワさんと、それぞれのコーチと派手に喧嘩別れしているようなのですが、後引いていないようですしね。
どこで見たか…ちょっとソースが明らかではないので事実でないかもですが、イリヤとタラソワさん、控室で相当激しいケンカをして、仲裁に何人も入らなくてはならなかったことがあったとか何とか…。ちょっと見てみたい…。イリヤだけじゃなくてヤグディンとかでもあったみたいだけど、タラソワさん、強そう…。そりゃ続けて金メダリスト輩出するだけあるわ。
っていうか、イリヤにタラソワさんがついて控室歩いているだけですでに物凄い威圧感だわ。童話の絵本から抜け出たような180cmの金髪美男子とかつて美女で面影残しつつ今はベイマックスな迫力おばちゃん…。それがケンカしてるなんて凄まじい絵面…。どんなディズニーよりも観たいわ。

キスクラで見てる限りは、息子溺愛のお母さんと、その反抗期真っ只中の息子…て感じなんだけどな。鬱陶しがりかたが半端なくて、もうちょっとタラソワお母さんに優しくしてあげようよ、イリヤ…って何度思ったことか。。。まぁ、時々派手に叩かれてたけど。イリヤもそんなタラソワさんの扱いをわかってるのか、毎回叩かれた後に一声かけるとたちまちタラソワさんの機嫌が良くなるという…、何なんだあれは。何て言ったの?? だから、控室だろうがどこだろうが、派手にケンカしてましたというのは現実味大アリ。日常茶飯事だったんじゃない??…それが、2017年でのタラソワさん70歳のパーティー(イリヤとは生まれ年で30歳違いなのかな??この時はまだイリヤは誕生日きてないから39歳だと思う)では自分からぶちゅぶちゅいくもんだから面食らったわ。イリヤ…年取って丸くなりすぎだよー。まぁ、仲良くて何よりだけれどもー。

長野オリンピックのエキシビジョンのラストはほっこりの連続でした。
王子(イリヤ)、騎士(ロロ)、紳士(エルドリッジ)、若い男の子(ヤグディン)が、イリヤの声かけで、みんなで揃ってロロのダルタニアンお辞儀するの。
壮観!!すごく可愛い。
いやー!イリヤ、あんたほんとに粋だなぁー。可愛いし。

ほんとにほんとにラスト、選手たちが真ん中に集まって、どう締める?みたいな時に、オレ行くわー。みたいな感じでイリヤが先陣を切って女子シングル選手たちから上手く先導してリンクを一周していくの。オレ行くわー…のとき、近くにいたロロやエルドリッジが、おぅ!!行け行けー!!引っ張ったれー!みたいな感じでイリヤを送り出すの。よかったなぁ…。
多分、運営的には花束渡してから回って欲しかったんだろうけど、結果オーライ。

長野の表彰式の時もケガをしたストイコへの気遣いが感じられて、じんとしました。だから、プロ転向後にいろいろあって、あることないこと言われた時もタラソワさんからネチネチ言われてた時も特段何とも思わなかった。
もうイリヤのそういうあったかいところを知ってしまっていたので。
…っていうか、そもそもアスリートに品行方正とか求めてないです。そもそも清廉潔白な人だっているわけないじゃないですか。むしろ、どこかに秀でているならばどこかでバランスとってるでしょ?…という前提。。

この日を境に競技選手としての重圧や極度のストレスから解放された彼からは冷たく突き刺さるような美しさは消えていき、代わりにどこか優しさや柔らかさ、温かみが感じられるようになっていきます。
想像を絶する過酷さとストイックさがあったからこその浮世離れしたあの極上の気高い美しさ。
これはフィギュアスケートに限ったものではないかもしれませんね。
彼は20歳にして現役を離れました。儚いからこそ、イリヤクーリックの競技選手時代、言葉にならない超絶な美しさは脳裏に焼き付いて決して離れないのです。

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