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てんぐのSW考察~レイの父親、パルパティーンの“息子たち”、そして“スカイウォーカー”について

「スカイウォーカーの夜明け」も劇場公開が終了ということで、これからはネタバレを気にせず感想や考察ができます。

さて、「予想通りすぎて一周回って逆に予想外」なくらいだったレイの本当の出生、というよりレイの父親がパルパティーンの息子だったという背景。実はてんぐは、これについて、ふせったーで長文考察を何度かしておりました。

ネタバレ解禁期間に入ったことでもありますし、note記事でも公開してみます。


パルパティーンの息子

レイの“父親”=パルパティーンの息子が何者か、てんぐ説の結論から申しますと、世間一般でいう夫婦から生まれたものでも、精子バンクから代理母に受胎させたものでもなく、シスの魔術によって生み出されたコズミックフォースの集中ではないでしょうか。

まず前提として、自分がシス卿であること、そして共和国ごとジェダイ騎士団の壊滅を目論んでいること、その実現のために銀河中の勢力に陰謀の網を張り巡らし自作自演の戦乱を呼び起こそうとしていること、こういった大きすぎる秘密を抱えているパルパティーンにとって、“妻”というプライベートで接せざるを得ない他者の存在は、巨大すぎるリスクに他ならなりません。代理母に産ませた“子供”も例外ではありません。そもそも、「親の血を引く子供ならば、親の思い通りになる」という価値観のアンチテーゼがSWの世界観のひとつですし、パルパティーンにしても血統が何の保証にもならない事は把握しているでしょう。

一方、EP3でパルパティーン=シディアスは、自分の旧師ダースプレイガスについて、「ミディ=クロリアンを操り生命を作り出すことができた」と証言しています。

そして、エクセゴルでの最終決戦時にパルパティーンとレイの周囲に現れた黒い無数の人影が二人の掟により弟子に殺された歴代シス卿で、彼らの知識と技を新たなシス卿は継承していくとしたら、パルパティーン=シディアスもまた、同じようにその「ミディ=クロリアンを操り生命を作り出す」方法を会得していたと考えられます。

しかし、アナキンの母シミは、息子の「父親」の存在について全く言及していなかった、それどころか、なぜアナキンを授かったのかすら理解できないといった様子でした。さらに、パルパティーン自身もアナキンが「フォースの集中」であること、彼がタトゥーインで育っていた事を、ナブー危機まで全く把握していませんでした。

このことから、ミディ=クロリアンの操作して人為的に強大なフォース感知者を生み出す方法には、「いつどこで、どの種族の母親に受胎するかわからない」という大きな欠点があると思われます。

そして、ムスタファ―での決闘でアナキン=ダースベイダーが重傷を負い、次代のシスマスター足りえなくなったとき、パルパティーン=シディアスには「次のアナキン」を探し出すという大きな課題が生じました。

ハーヴェスター計画

パルパティーンにとって、ムスタファ―後のダースベイダーは自分の“生きたセーバー”としてはともかく、次代のシスマスターにはなりえない。共和国簒奪時ですでに初老の域に入り、またダークサイドの反作用で通常以上に早い肉体の老化に晒される事も考えれば、この課題は喫緊となります。この課題を達成する方法として、アナキンを生み出した方法をもう一度実行するというのは、むしろ自然な選択といえるでしょう。

EP7時点でのレイの年齢から逆算すると、パルパティーンの“息子”が生まれたのはクローン大戦終結から10年後から15年後(シークェルからざっと35年から40年前)、スピンオフ『反乱者たち』がスタートした時期にあたります。

この時期の帝国、それもジェダイハンター機関尋問官が実施した作戦のひとつに「ハーヴェスター計画」というものがあります。

ハーヴェスター計画の趣旨は「フォース感知者を帝国陣営(今にして思えば、帝国の資産を利用したシス信奉者カルト?)に取り込む」というものだとされていましたが、本命は、どこかで産まれているはずの「新たなアナキン」の捜索だった可能性もあります。

とはいえ、事の性質を考えれば大々的に行えるものでもなく、そして正規のマニュアルに沿った公的機関によらない非公然・非公式の捜索というものは、任務従事者がどれだけの権限や影響力を持っていようとも遺漏が多くなるのが道理。シス卿の秘密主義を考慮すれば、当の尋問官やその元締めたるダースベイダーすら本当の目的は知られていなかった可能性が高いです。

当然の結果としてハーヴェスター計画による新たなアナキン捜索は頓挫し、パルパティーン=シディアスは、野にあってフォースに開眼した年少者を直接シス卿に誘惑する方法を取ります。その対象となったのが、『反乱者たち』のエズラ・ブリッジャーであり、旧三部作のルークだったわけです。そして、これも失敗し、“皇帝パルパティーン”と帝国軍は敗亡することになります。

レイ・スカイウォーカー

時は流れ、新共和国時代。

エクセゴルのシス・エターナルが帝国の政策として未知領域に蓄えさせた資産を元手に勃興したファーストオーダーは、その過程で、誘拐や勧誘など硬軟取り混ぜた方法で銀河各地の若年層を兵士として取り込みました。スピンオフ『スターウォーズ:レジスタンス』でも、その顛末は語られました。(この展開には、個人的に強いリアリティを感じました)

ファーストオーダーのこの動きは、もちろん兵力の確保やプロパガンダの材料なども面もあるでしょうが、もうひとつとして、最高指導者スノークにフォースで遠隔指令を送っていた(または直接操作していた?)エクセゴルのパルパティーン=シディアスが、手に入れそびれた“新たなアナキン”の代わりに、世代的に生まれているはずのその子供すなわち「“新たなルーク”」の身柄を確保させたかったのではないでしょうか。

その“新たなルーク”こそ、レイ・スカイウォーカー。あのタトゥーインでレイが自らをそう名乗る、それによって自己を定義づけた事には、物語としての整合性が極めて高かったことがわかります。

「スカイウォーカー・サーガ」とは、シスと呼ばれる暗黒面そのものの存在に呪詛され続けたSW世界の歴史とも言い換えられます。

そしてアナキン、ルーク、そしてレイの“スカイウォーカー”たちは、その暗黒面の呪詛の精髄であり、その表裏にあるものとして真に対峙できる存在だったと言えるでしょう。

スピンオフの世界もご紹介

YouTubeでは本稿でもちょっと触れたSWスピンオフ『反乱者たち』のショートムービーが4本配信されています。

せっかくなので、そのショートムービーもご紹介しちゃいます。

このイカす奴らに興味を持ったら、是非とも本編もご覧ください。さらにイカす連中が出てきますので。




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