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てんぐのスターウォーズ語り:モスマ議長の気苦労からわかる銀河の勝敗を定めるもの、そしてアソーカとサビーヌの剣術修行の意味


モスマ議長、お疲れ様です

 昨日は不穏なフラグを立てたてんぐですが、仕事はつつがなく終わり、アソーカ3話もつつがなく終わりました。
 てんぐの方はそれで良かったのですが、新共和国の最高指導者どのの方はというと、つつがない一日なんてものとは縁遠そうな日常を送ってそうです。

 クローンウォーズの元老院パートや反乱者たち後半戦、ドラマ「アンドー」での帝国元老院パートなどで、気が付いたら映画のEP6で出てきたことを忘れそうになるくらいスピンオフ勢の一員と化したモン・モスマ議長。
 新シリーズ初登場はスローン大提督の生存と帰還、それによる帝国軍の復活を懸念するヘラに全く理解を示さない元老院議員たちに取り巻かれてるという、実にイメージ通りのものでした。
 でも、少し違ってくれたのは、モスマ議長自身はヘラの危惧を正しく理解してくれていそうな点でした。
 でも、それと同様に、周囲の日和見主義者の顔を潰すわけにはいかないという気苦労を感じました。
 ではなぜモスマ議長はそんな気苦労を背負い込むのか。それは、汎銀河系政権軍だったはずの帝国軍が、遥かに弱体だったはずの反乱者たちに敗れ去った最大級の要因こそが、この日和見主義者だったからではないでしょうか。
 この手の日和見主義者は大勢に流されるものですが、その流されるに際しても、決して自己の身命を賭すような覚悟はありません。旧共和制末期でも新共和国時代でもそうなら、帝国時代においても同様でしょう。そして、そんな覚悟なき姿勢こそ、反乱者たちが活動する余地を与えるものではなかったでしょうか。
 思想のために死ぬ覚悟も、正義のためだけに生き続ける理想も持ちえない
 世界の大多数はそんな人たちなのはいかなる体制であれ変わらない現実ですし、その現実を受容し理解して社会を運営するのが共和主義の政治家です。もし仮に独裁政治を指導者が志向したとしても、社会の趨勢を定めるのは、結局は圧倒的な多数派の動向です。
 かつて反乱勢力だったモスマたちの、決して誇れるものではない優位性は、今度は新たな体制側となった彼女たち自身の敵のものとなっています。

 それにしても、そんな日和見主義者の議員たちが、おそらくはエンドア以後に内戦の潮目が完全にモスマ政権側に向いた状態になってから加わった外様的な集団であることを、「あなた戦ったことありますか?」というヘラからのたったひとつの問いで浮かび上がらせる脚本は見事でした。

 でも、そんな鋭い問いを投げかけるヘラ姐さんも、新共和国は鹵獲したスターデストロイヤーをバラして部品を転売するという公営スカベンジャーをやって稼いでいるくらい慢性的に金欠だってのに、艦隊を勝手に動かしてエズラ捜索に当たっていたことが判明しました。
 こっちはこっちで、反乱軍捕捉撃滅のための機動部隊だったはずの死の小艦隊を使って銀河中で息子探しやってたベイダー卿みたいなことをやってるって報告と官僚からの抗議を受けてるモスマ議長のストレス値が偲ばれます。
 モスマも「アンドー」だと、危機的状況でストレスMAXになって酒をパカパカやってるシーンがありましたが、この時期での酒量も相当な量になってそうです。
 健康診断で血液検査したら、医療ドロイドが「なんですかこの数値!?」「ジェダイ騎士のミディ=クロリアン値じゃないんですよ!?」「というか、今日健康診断やるって通知してるのに何でお酒呑んでるんですか!」と回線をショートさせてそうです。

アソーカとサビーヌの剣術修行の意味

 1話でサビーヌがダークジェダイ師弟の弟子の方のシン・ハティと対峙したときに見せた構えは、日本の古流剣術のそれに似て見えました。
 この中に似た構えもチラホラ見かけましたし。

 そんなサビーヌへのアソーカのライトセーバー剣術修行ですが、往年のジェダイたちへの稽古さながらな一方で、アソーカはサビーヌをジェダイにする気はないらしい。そもそも、アソーカ自身も自らを「ジェダイではない」と言っています。なのになぜ、銃も爆破工作の手腕も上々のマンダロリアンであるサビーヌにセーバー剣術を修行させようとするのか。
 それは、セーバー剣術を通して自分の内なるフォース、リビングフォースへ繋がらせたいんじゃないでしょうか。

 そして、「誰かに物を教える」ということは、自らの学びにもなるものです。
 アソーカもまた、「弟子に教える」という修行を経て、自らの修行を重ねている。それを最も実践的に、かつ自分たちらしく学べる方法が、セーバー剣術の修行だった。
 そして、リビングフォースを真に体得するということは、ミディ=クロリアン値やフォース感知力を問わず、「自分の運命と精神の手綱を、自分の自我によって握り続ける」という境地に至ること。

 我々の世界に生きる古今の武術家たちの道の先にある理想同様に、アソーカがサビーヌと共に求めるものも、多分そういうことなんだと思います。

 このテーマが掘り進めされると、「戦士であることが本分ではないというジェダイは、なぜライトセーバーを手に取るようになったのか?」というスターウォーズの世界観における問いの回答も浮上するかもしれません。

復活してほしい伝家の宝刀

 さて、日本の剣術も交えたライトセーバー剣術の話をすると、同時に思い浮かべるのがクローンウォーズで登場し、反乱者たちを経てマンダロリアンでも再登場した惑星マンダロアの王権の証、伝家の宝刀ダークセーバーです。

 マンダロリアンS3の決戦を経て、復興マンダロリアンの王権の象徴は聖獣ミソソーの加護に移りましたし、誰が持っていても決闘を挑まれる心配もなくなりました。ただ、その最終決戦で、モフ・ギデオンのメカアームによって握りつぶされてしまいました。ウィザードリィでいえばムラマサブレードなみの希少価値だってのに、もったいない。そして、もったいないお化けはシス卿やダソミアの魔女より恐ろしい。
 というわけで、この宝刀も修理して、復活してほしいものです。
 そして、状況から考えていま持ってそうなおじさんも、この際アソーカやサビーヌと一緒に稽古をしてもらいましょう。

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