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2024年の今、Optane SSDを買いたい人へ送る購入ガイド

※記事が長いので、結論を知りたい人は 3.まとめ だけ読めばよい

 PCIe5.0接続のストレージもすっかり一般的?になった2024年、いま筆者が自分のPC用に必死に探しているのはそういった最新SSDではなく、既にプロダクトとしては終わってしまい、未来のないテクノロジーを採用した製品である。そう、IntelとMicronが2015年に共同開発した不揮発性メモリ、3D Xpoint技術を使ってIntelが製品を出していたOptaneシリーズ。なぜ?

実性能で未だにトップクラスを維持しているからである。

 今回、この記事ではOptane シリーズや3D Xpointというものがどんな中身かは既にある程度理解していて、実際に欲しいけどどうやって買えばいいか、この2024年の今に何が買いやすいかなどを知りたい人向けの中身とする。Optaneや、その構成要素である3D Xpointの技術的な特徴などについて知りたい人は他で探してほしい。


・はじめに

 Optane シリーズには、大きく分けてOptane MemoryシリーズとOptane SSDシリーズの2つが存在する。正確にはもう一つ、Optane Persistent Memoryという主にサーバープラットフォーム向けのメモリー製品が存在したが、筆者は使ったことがないしここでは扱わない。

Optane Persistent Memory。普通のメモリーと同じ形状をしている

 Optane Memoryは主にHDDのキャッシュ用途として使われた関係で、小容量(16~64GB)の製品が多い。それに対してOptane SSDは、単純にストレージ用途として用意された製品でありコンシューマー向けとサーバー(エンタープライズ)向けに製品ラインが分かれている。
 ということで、それぞれのシリーズに存在した製品を順に記述し、それぞれについて簡単に解説、現在の入手性や相場、そもそも買うべきか個人的な考えを書いていく。

1.Optane Memoryシリーズ

 最初はOptane Memoryシリーズである。もともとHDDのキャッシュ用として用意されたが、QLC NANDと組み合わせた製品も後で登場した。

・Optane M10(廃盤) ※USBメモリ用途におすすめ

 今一番買いやすいOptane製品だと思う。実際はこのM10シリーズの前に、ただOptane Memory という名前のシリーズも存在したが、中身はこのM10と大差ないので省略。

 容量も少ないし、書き込みがあまり速くないが、この容量でも書き込み耐性は365TBWあるのがOptaneらしさといえるか。しかし最も大事なのは値段で、特に一番小容量の16GBは現在500円とか600円くらいで買えてしまう。

Aliexpressで適当に検索すればたくさん見つかる。
Choiceと書いたものを買えばすぐ届くので個人的にはおすすめ

32GBや64GBは割高(3,000円台/6,000円台後半)なのであまりおすすめできないが、家に適当なM.2のケースが余っていれば、16GBモデルと組み合わせてOSインストールメディアとして使うのが向いていると思う。この用途なら16GBで十分だし、仮に壊れてもダメージが少なく済む。
 ところで筆者も1枚買ってみたが、扱いが悪かったか届いた日に速攻で壊してしまいゴミ箱に直行となった。しかし600円くらいなので許した。

・Optane H10/H20(廃盤)

 QLC NANDとOptane Memoryを組み合わせた製品だが、特に安くないし個人的には買う意味を見いだせないので省略。

2.Optane SSDシリーズ

 こちらはキャッシュ用途ではなく、普通にSSDとして登場したものである。PCのシステムドライブ等で使うなら基本的にはこちらになる。一部容量が少ないモデルもあるので注意。
 またネガティブな特徴として、普通のSSDに比べて消費電力が高い(10W以上、ものによっては20W以上出る)とか、一部古いモデルはパフォーマンスを出すのにウォームアップが必要(起動してから3時間以上経たないと全力が出ない)などあるが、正直そこまで気にするのは面倒くさい。ただファンで風を当てるくらいはした方がよい。

・Optane SSD 800P(廃盤)

 M.2プラットフォームの製品。容量が58GB/116GBしかなく、入手性が良くない上にあまり安くない。こちらも省略。

過去に購入した58GBのOptane SSD 800p。
やはりOSインストール用メディアとして使っていた

・Optane SSD 900P(廃盤)

 Optane SSDシリーズの最初の製品。既に登場から7年が経っており普通に購入するのは困難だが、eBayやAliexpress、Taobaoではまだ新品が普通にある。が、基本的に今新品で出回っているのはほとんど280GBばかりで、480GBはほとんど見ない。あっても中古である。
 形状としてU.2(2.5インチサイズ、15mm厚)形状か、PCIeスロットに挿すカード形状がある。前者の場合、マザーボード等にU.2端子がないならPCIeに変換するアダプターや、M.2スロットから変換するケーブルが必要になる。リテール品はM.2への変換ケーブルがついていたりいなかったりするので、ここは確認したい。ただ使い勝手を考えるとPCIeアダプターで使う方が楽。
 システム用途として使うならこの900Pからだと思うが、280GBは現在Windows用として使うにはやや心許なく、また入手性を考えると後述のP4800Xの方が実は向いている。ただ280GBは安ければ1万円台前半でTaobaoに転がっており、少容量で良ければアリかもしれない。

以前持っていた900p 280GB(U.2版)

・Optane SSD 905P(廃盤)

 900pの後継製品。容量の選択肢が増えて380GB、960GB、1.5TBが追加された。380GBは唯一M.2で貴重だが、サイズがよくある2280ではなく1つ大きい22110サイズのため、使えるマザーボードやアダプターが限られる。
 性能も900pより少し向上したが、やはり現在は入手できるのがTaobaoやeBayなどに限られる。一時期だけ、1.5TBがトータル約5万円でおつりが来るというとんでもない捨て値で処分されていたが、筆者は買い逃した。元は何十万もしたSSDがこんな値段というのが無情だが、買えた人は幸運だろう。

 ただ、900pと基本同じで今買うなら後述のP4800Xの方がよいと思う。

以前使っていた905p(380GB)。
普通のマザーボードはM.2スロットが2280までのため
使えるマザーボードは少ない……はず

 ここまではコンシューマー向け、つまり一般市場向けである。このあと紹介するサーバー向けよりも信頼性では劣るが、そのコンシューマー向けですら900Pや905Pでは10DWPDと、仕様上は一般的なSSDの10倍以上(一般的なコンシューマー向けSSDは0.3DWPD~高くて0.6DWPDくらい)である。普通のサーバー向けSSDも1~3DWPDが多いので、それすら上回っている。

※DWPD……Drive Writes Per Dayの略。保証期間中の間、ドライブに 1 日あたり何回完全に書き込むことができるかを示した指標。たとえば1DWPDで1TB、5年保証のSSDの場合、毎日1TBを5年間書き込み続けることができるという感じ。

・Optane SSD 1600X

 800pと同じ容量/プラットフォームの製品。実はまだディスコンになっておらず、製品としては現役。なので基本的に高いが、もし今後安く沢山出回ればOSインストール用メディアとしてこれ以上都合のいい製品はないと思う。ただM10でいいじゃんという気もする。

今も使っている1600X(118GB)。
これが安くなってくれればOSインストールメディア用として最高なんだけど

・Optane DC SSD P4800X ※システム用途におすすめ

 Optane SSD 900Pと同じ頃にリリースされた、サーバー向け製品。型番にDCが付くモデルはサーバー向けと覚えると分かりやすい。
 ところで以下を読む限りは実はまだ廃盤扱いではなく、一応現役製品ということになるが、これが実情を示してるかどうか自分には分からない。

 P4800Xは900p/905pと同じようにU.2/HHHLの二種類あるが、容量は375GB/750GB/1.5TBの三種類。性能も似ているが、違うのは耐久性でありP4800Xは375GBですら書き込み上限が20PBWを超えている。これは900P/905Pの3倍程度で、905Pは960GBモデルでようやく17PBWを超えるのと比べると要するに耐久性の要件が全然違う。1.5TBに至っては60DWPDとなり、想像の範疇を超える。
 今は750GBは安ければ4万円台、1.5TBは8万円台くらいで売っているが、容量からすれば高いけども元々は数十万したようなSSDであり、ハッキリ言えば現状でも非常に安い。もっと安いのは375GBで、発売当初は375GBで20万円と流石サーバー製品という値段だったが、今は安ければ1万円台後半程度でTaobaoなどに転がっている。この理由は、恐らくサーバー向けとしてベンダー等が持っていたものが放出されまくっているからだと思うが、実際市場ではHPEやLenovo向けのモデルもたくさん見かける。375GBならOSインストール先としてはギリギリ許せるかなという用途だと思うので、今試しに使ってみようとなったら、自分としてはこれが一番おすすめ。
 単に使うだけならIntel純正でもベンダー向けでも同じだが、Intelの純正ツール(Intel Memory and Storage Tool)でファームウェア更新できるかどうかが変わってくると思うので、気にするならその辺が確実なIntel純正品を探して買う方がよい。いずれも商品ページに書いてあったり、SSDのラベルにメーカーロゴがあるので判別はしやすい。

某ゲームをインストールするためにかつて使っていた、
375GBモデル。これはIntel純正品

・Optane SSD DC P4801X

 P4800XのM.2版という感じのモデル。容量が少ないのと、これもM.2だが22110サイズのため一般的に使いづらい。あとP4800Xより高価で100GBでも3万円以上するのでなおさら手が出しづらい。

・Optane SSD DC D4800X

 P4800Xと型番が似ているが、こちらはU.2のみ。インターフェースが特殊なもので以下のようなケーブルを使う必要がある。

PCIeスロット2つからU.2に変換している

これはインターフェースを冗長化して、片方が潰れてももう片方でOKですよというもので、まさにサーバー向けである。SSD側の外観や性能はP4800Xとあまり変わらないが、P4800Xとは接続方法が違う上に一般的ではないので、選ばない方がよい。


 ここまではPCIe3.0世代であり、(Optane M10みたいな例外はあるが)その辺のリアル店舗で新品を買うというのは無理で、必然的にインターネットで買うことになる。既に書いているが、基本的に安く買いたいならAliexpressやTaobao、eBayなどで探すことになる。905Pの1.5TB品のように、Neweggのような有名サイトが大量に放出した事例もあるが例外といってよい。パッケージや流通形態が色々あり、900Pのようなリテールパッケージもあれば主にサーバー向けのような茶箱、白箱、プラパッケージのバルク品までさまざまだが、普通に使う分にはどれでも一緒なのであまり気にする必要はない。

・Optane SSD DC P5800X(金が唸るほどある人におすすめ)

 ここからがPCIe4.0接続の世代となる。P5800Xは2020年に登場したモデルで、順次読み書きもかなり速くなり、当然ランダム読み書きも相当向上している。形状はU.2のみで、HHHLはなくなった。

 読み書き性能と共に書き込み耐性も大幅に向上しており、どのモデルを買っても仕様上100DWPDである。あまりに現実味がなさすぎる。
 P5800Xはまだ新しめのモデルなので高く、3.2TBともなれば実店舗なら120万前後の値付けである。3.2TBの容量に120万も出せる人には関係ないが、その辺の4TB SSDの3~40倍と考えるといかに狂っているか分かると思う。市場ではインテル純正か、Dell向けのモデルのどちらかがよく出回っており、Dell向けは多少安い。正直、筆者には普通に買えても400GBが限界で、それでも安くて7万円以上するのだから基本的にはお大尽向けといえる。
 少しでも安く買いたいなら、400GBをeBayやTaobaoで買うのが安く上がるが、まじめに買うなら秋葉原のオリオスペックに頼むのが多分一番よい。

筆者がかつて持っていたP5800X(400GB)。今は次のP5801Xを使っている

 自分がP5800Xの400GBを買った時に書いたブログ記事がある。相場が16万~17万だった頃になぜか9万円くらいで買えた。

 ただ、もっと安く上げたいなら今なら次の抜け道的なモデルがある。

・Optane SSD DC P5801X ※PCIe4.0世代ならおすすめ

 P5800Xの形状違いみたいなモデルで、これはE1.Sという、M.2に似ているが異なるプラットフォーム用のもの。容量は400GBと800GBのみ。

 P5800Xと比べると多少性能が落ちるが、大差はないし書き込み耐性は同じである。先に抜け道と書いたのは、なぜかこのモデルは400GBが安ければ総額4万円台で入手可能で、P5800Xと比べると明らかに安い。理由は不明。

最初からヒートシンクがついている。端子形状がM.2と違うのもわかる
ヒートシンクの高さがかなりある

800GBも仕様上存在するが、市場で見かけたことがない。

 ところで重大な問題として、E1.Sなんてインターフェースは通常お家にあるようなPCには用意がない。しかし心配は無用で、ちゃんとPCIeスロットで使うためのアダプターが世の中にはいくつかある。例えば以下。

 他にもいろいろあるが、条件としてP5801Xのような厚さ15mmに対応したアダプターでないと使えない可能性があるので確認が必要。上の商品はきちんと対応している。他にもU.2に変換するものもあるが省略。ただし、見ればわかるが結構ヒートシンクに高さがあり、PCIeに変換すると1.5スロット分くらいスペースを取るので注意したい。

[注意]
 Taobaoで探すと、型番の末尾がBEFとBF1の二種類が見つかると思う。画像を見る限りBEFの方はES品で、BF1が製品版と思われる。SSDのES品すら普通に売っているTaobaoが恐ろしいが、とりあえずBF1の方を選べば間違いないと思う。BEFの方はパッケージに黄色いシール(これはES品や、売りもんと違うでみたいな英文が書いてある)が貼ってあって判別しやすい。たとえば以下のURLで扱われていた。

ES品のパッケージ画像の例。

・Optane SSD DC P5810X

 P5800Xの登場から2年後に出てきたモデル。容量は400GBと800GBのみで、400GBの方はP5800Xより書き込みが速くなってるが800GBは逆に遅くなっている。あまり生産されなかったのか、なぜかP5800Xより入手性が悪く現状ではほとんど入手困難である。

 このモデルは、超有名な自作PC系ブロガーのやかもち氏がレビューしているので、多分見たことがある人もいると思う。

・Optane SSD DC P5820X

 モデルとしては存在しているが、詳細がよくわからないもの。容量は400GB/800GB/1.6TBで、U.2形状らしいのと、他のモデルと違って筐体がシルバーであること以外詳しい情報がない。なぜならインテルのサイトでも仕様が載っていないからだが、海外サイトのフォーラムで実際に買った人がスレッドを立てており興味深い。

 正直よくわからないので購入どうとかの話にならないが、もしかしたら特定のサーバーベンダーかサービスプロバイダー向けのモデルかもしれない。

3.まとめ

たくさんモデルがあるが、個人的おすすめは以下。

・USBメモリ用途として……Optane M10の16GB
・システム用途として……Optane DC SSD P4800Xの375GBか、P5801Xの400GB。
・カネのある人……Optane SSD DC P5800X


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