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【ラジオの流儀・番外編】 〜 6日間で新番組を作る流儀

 毎年、この季節になると、たったの6日間で新番組をゼロから立ち上げたことを思い出す。類いまれなる経験だったので、この機会に書き残しておくことにする。

 クリスマスの特番の企画を進めていた頃、編成のスタッフから、キャスティングについて相談された。「ある企業で来年からの新番組の企画を考えていて、その番組に出演する予定のある女性タレントを特番で使ってほしい。テレビでは生放送の経験も豊富だけど、今までラジオをやったことがないタレントなので、その特番で雰囲気を見てみたい」とのことである。特番は12月23日の祝日におこなう8時間の生放送なので、生放送に慣れているのなら……と快諾し、特番の準備を進めていった。

 その特番は、4組のミュージシャンが2時間ごとにメインパーソナリティーを担当し、全体の8時間をその女性タレントがアシスタントとして進行する、という複雑な作りだったので、構成・企画はなかなか複雑になり、合計5組の出演者に流れを説明するだけでもけっこう大変だったことを記憶している。まずは目の前の特番を作り上げるために、スケジュール調整、構成、打合せ、選曲、ジングル作り……と、とにかく忙しい日々が続き、「来年からの新番組」のことは殆ど忘れていた。

 そして迎えた放送当日の12月23日、渋谷のサテライトスタジオからの公開生放送も終盤にさしかかった頃、放送中のスタジオに、編成のスタッフがひょっこり現れ、「新番組、1月1日からの放送で決まりましたから、よろしくです!」と声をかけられた。

 そうか……1月1日なのか。……と、いうことは、放送まであと一週間なのに、放送枠以外、何ひとつ決まっていないじゃん!

 生放送終了後、8時間のアシスタントをつとめてくれた彼女に、「今日は本当にお疲れさまでした! あと、1月からの新番組も決まったそうなので、こちらもよろしくお願いします!」「え? あ、はい。わかりましたー」みたいな会話をしたと思う。
 そして、6日間でゼロから番組を立ち上げて完成させるという、今までにないミッションがスタートした。

とにかく何も決まっていない

 12月23日の時点で決まっていたことは、以下の通りであった。

・出演者
・スポンサー
・毎週日曜の21時30分からの30分番組

・東名阪の3局ネット
・CM は番組内に「インフォマーシャル」として挿入する

・スポンサーの要望は出演者の起用のみなので内容に関しては要望は特にない

・番組サイトを後追いでいいから作りたい

・3局ネットなので12/29までに納品しなくてはならない(せめて30日にしてほしいとごねたが断られた)

 一社提供の番組の場合、普通は「こういうスポンサーなので、こういうテーマでやってほしい」「コーナー企画でいいからこういうネタを入れてほしい」などの要望が必ずあるのだが、「何もない」というのである。つまり、番組作りの「起点」がないのだ。

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