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【ラジオ制作の流儀(5)】初めてマイクに向かうときの流儀

長い間ラジオの仕事をしていると、「ラジオでしゃべるのは初めてです」という方にもよく出会うようになります。「テレビにも何度も出ているけれど、ラジオはゲストでしか出たことがない」というタレントから「ラジオは聴いたこともない」という素人まで、本当に様々な人たちが日々、マイクの前に座ります。

特に「初めてラジオのパーソナリティーを担当する」という方には、スタジオに入ったとき、僕はいつも、身振り手振りを交えてこんなことを話してきました。

「目の前にあるマイクが、これからあなたの声を電気信号に変換します。その信号が、このケーブルを通ってガラスの向こうにある機械で調整されて、この放送局か東京タワー(当時)に送られて、そこから電波になって広がっていきます。その電波を、各地の家やお店や会社や車にあるラジオがリアルタイムに受信して、また音声に変換し、ラジオを聴いている、働いている人や運転している人、勉強している人、そのほかたくさんの人たちのすぐそばで語りかるんです。全国ネットなら、これが日本中に。録音番組は、時間差はあるけれど、みんなに届くのは一緒。あなたがみんなに伝えたいと思った言葉、みんなに聴いてもらいたいと思った音楽が、電波に乗って遠くまで、あっという間に届くのってスゴいと思わない?」

今までラジオを聴いてきた人は、ここで目を輝かせてうなずいてくれます。ラジオを殆ど聴いたことがなかった人も、ここでハッと何かに気づいてくれます。

今はラジオに限らず、YouTube でラジオ、Podcast でラジオ、Radiotalk でラジオ……と、個人が放送局やプロのスタッフを介さずに、直接発信できる機会がグッと増えてきました。それでも、その「ラジオ」のトークで誰かに伝えたいことがあるのなら、知っておくといい「流儀」があることに、気を留めてくれるとうれしいです。

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