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「体を温める」と病期は必ず治る

 今回は石原結實さんの、「体を温める」と病気は必ず治るを読んだ。低体温は生命予後不良であることは何となく理解できる。白血球、免疫機能が低下するためであるし、適切な体温の維持は消化管機能、心肺機能、自律神経機能、悪性新生物の発生抑制…様々な人体の生命維持に関連している。
 この本は東洋医学的な見地から一般の方向けに低体温のリスク、体温を適切に維持するメリット、体温を高める方法を解説している。西洋医学的なアプローチが難しい場合に東洋医学的なアプローチが有効であるcaseがあることは日常診療でも実感される場面があるし、特に普段の食事、生活習慣などにおいて西洋医学が完全ではないことは容易に理解できるが、自身もすべての東洋医学的アプローチが有効とは思っていない節もあり、この本の内容が全て有効とは思っていないけれど、前半の記載においてなかなか興味をそそる内容もあり面白かった。
 筋力を鍛えること(特に筋肉量が多い下肢)、過度な冷暖房環境や不適切な入浴習慣、普段の食生活や衣食住による食・環境整備、体重測定に加え体温の定期的な測定、不要な薬剤接種を控えることは一般の人にも伝えやすい重要な事項と思う、癌と熱・体温の関係も理解しやすい話と思う、ハイパーサーミアは本当に良い治療であると思うが何せ十分なevidenceが不足していると言わざるを得ない点が多く保険外診療となりがちで医療費の問題と1回1回手間暇のかかること、治療機器がどこでも導入できるわけではなく医療者・患者さん双方にとっても負担のかかる点もあり、普及の点ではなかなか難しいなと思う。

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