思い出の明日に架ける橋

2020年6月30日をもって国内のFMラジオ局(愛知のRadio Neo、新潟のFM PORT)が2局同時停波。一つの県をカヴァーした広域のラジオ局が長期に刻んだ歴史に幕を下ろす。
(Radio Neoは6年ちょっとでしたが)
こんなことがあって良いものかと驚嘆する反面、様変わりするメディア構造の波と経済状況に揉まれ、いかにラジオ局の経営が厳しい局面に立たされているということを改めて痛感させられます。

昔からFMラジオが大好きだった自分は、両局最後の瞬間をradikoを通して聴き届けました。そのうちFM PORTの停波自体は深夜0時だったのですが、最後のエンドロールがSimon & GarfunkelのBridge over Troubled Water"明日に架ける橋"をBGMに、歴代のナビゲーターの皆様の挨拶で終わるという流れがあまりにも印象的で、夜な夜な感慨深い想いにふけておりました。

新潟に行った時は大抵FM PORTをBGMに街を移動することが多かったというのも思い入れの理由の一つではあったのですが、それ以上にこの"明日に架ける橋"という、誰もが一度は耳にしたであろう偉大なる名曲は、自分にとっても思い入れの深い名作でもあったりします。

振り返れば中学時代、特に部活動の記憶は今思い返すだけでも苦笑いしてしまうようなことばかり...なわけですが(笑)、当時の顧問が部活の準備・片付けの時に、必ずといっていいほどBGMとして流していたのがまさにSimon & Garfunkelのベストアルバムでした。1960年代に生まれた曲の数々を、1990年代後半毎週毎週繰り返し聴かされ続けていたわけです(笑)

特に体育館だと音がよく響き渡ることもあり、ラジカセとはいえ大音響で流すものだから、尚更耳に強烈に足跡を残してしまうことになるのです。中でも今回のテーマである"明日に架ける橋"のメロディの壮大感がますます強みを増し、あれ何かいい曲だなこれと、片付けしつつもその魅力に徐々に気付かされ、ある時顧問にアルバムを貸してくれませんか?と頼んだところ、喜んで貸し出してくれました。顧問も驚いたことでしょう、まさか顧問自身が好きでただ流してただけなアルバムを、リアルタイム世代ではない中学生にいきなり貸してくれだなんて言われることになろうとは(笑)

その後カセットテープに録音し、もう繰り返し聴き続けました。折しもこの頃は尾崎豊氏や渡辺美里氏といった自分のリアルタイム世代ではないアーティストの作品に次から次へと手を伸ばしていた時期でもあります。
歌番組を通じてリアルタイムの音楽ばかり聴きつづける日々から少しづつ方向が変わり、そして今の自分があるのかなって感じますね。勿論新しい音楽も大好きですけどね(笑)

そういうこともあり、この明日に架ける橋を聴くたびに、今でもその頃の記憶が次々と蘇ってくるものです。いい思い出もそうでないものも(苦笑)

話しが随分逸れてしまいましたが、ナビゲーターのFM PORTに対する想いやリスナーへの感謝などの気持ちを乗せて流れてきた明日に架ける橋は、どこかグッとくるものがありました。これからはこの曲は、中学時代の思い入れであると同時に、FM PORT最後のミュージックセレクションという新たな価値を加え、今後の自分の記憶として残り続けてゆくことでしょう。

長らく新潟県民、更にはradikoなどを通して全国のリスナーに情報と音楽を送り続けた同局のナビゲーター、スタッフの皆様に心より敬意を表します。