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通り過ぎていく

使っているメールサーバーから容量が一杯ですという
お知らせが少し前から届いていた。
容量を増やすには月額250円払う必要があるらしい。
生来面倒くさがりな自分は購入も検討したが、
昨日読んだ「藤田田」さんの言葉を思い出し
届いていた数万通のメールを整理することにした。

戻るボタンを連打しまくり、受信ボックスに示される
日付がどんどん過去になっていく。
2020、2019、2018、2017年まで遡った。
残っているメールのほとんどは仕事に関連する
お知らせばかり。

「〇〇のリリース情報です」
「〇〇のライブのお知らせです」
という案内に交じって
「先日はお世話になりました」という件名が。

誰だろう?メールを開いてみる。
どうやらイベントでお世話になった方みたいだ。
イベントの内容などは思い出すが、
メールを送ってくださった方の顔までは思い出せない。
なんだか申し訳ない気持ちになる。

過去の思い出が未知になるような感覚。
人の記憶や感情は地層のように積み重なる。
掘っていくと過去の自分の記憶の地層にぶち当たる。
それは過去でありながら新たな発見になる。

「退職のお知らせ」というメールがある。
「私、〇〇は今月末を持って〇〇を退職いたしました。
本来であれば皆様に直接お伝えするところ
このようなメールという形で申し訳ありません」

同じような定型文で「さよなら」を言われる。
きっと何度か仕事でお世話になり、音楽の話をしただろう。
今、何をしているのだろう?

人生には交差点ですれ違うような出会いがある。
というかほとんどがそうだ。
3年、5年、10年、それ以上の友人関係って
学生時代の友人を除いて、そう居ない。
個性のない文字でのやり取りだけで、
指先で消去出来てしまう人間関係。

なんだか切ない気持ちになるのは
急に寒くなったからだろうか。
さて、メールの整理に戻ろう。

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