子宮筋腫のこと(手術前日と手術当日)

以前書いていた子宮筋腫の話の続きを、ずっと書いていなかったので、今回は入院から手術までのことを思い出しながら書こうと思います。

概要をお伝えすると、2019年の秋に、子宮筋腫を腹腔鏡手術で摘出するまでの話を、これまで記事にしています。手術することになった経緯や、手術前のホルモン注射の話もあるので、ご興味のある方は、その辺りの記事もご覧ください。タイトルは、すべて、【子宮筋腫のこと】で統一してあります。


さて。

手術前日に母に実家から出てきてもらい、東京滞在中の我が家の使い方を伝え、当日はスムーズに手続きも終わりました。昼過ぎに手続きで、手術は翌朝だったので、とにかく暇でした。母はせっかく東京に来たから人に会うと言って、夕方には帰ってしまい、静かに病院ではじめての夜を過ごすことに。

そういえば、手術前日の夜に、人生ではじめての浣腸というものをやりました。人並みに羞恥心はあるので、人間の尊厳に関わるような…と思っていましたが、看護婦さんは手慣れたもので(当たり前かもしれないけど)、こんなものかと思ったものです。身も蓋もない言い方をすると、謎の液体を注入されて3分我慢してから出すというものだったのですが、けっこう大変でした。この前人間ドックでバリウムを飲んだ時も思ったけれど、何というか、これだけ科学技術が発達してもなお、生理的な反応を極限まで耐えるという設計でしか人間の体を調べたり治したりすることができないものなのかと、思いました。あと、やっぱり管の生き物なんだなぁ、と。


私は風が強い日が少し苦手になったのですが、それはこの入院前夜のもたらしたものでもあります。首都圏に大きな被害をもたらした台風が近づいていて、一晩中雨と風の強い音が、慣れない病室に響いていました。今でも、夜に雨風が強いと、心がざわざわとして、不安になります。あとは、相部屋のご婦人のいびきもうるさくて、全然眠れなかったのも覚えています。寝なきゃ、眠れない、うるさい、という、ネガティブな印象が、耳に体に刻み込まれてしまったのかも知れません。


台風は夜のうちに通過して、翌朝は晴れていましたが、首都圏の交通網は夜間の台風通過による被害で大幅に乱れていました。病院の先生や看護師さんも出勤できないとのことで、手術の時間がずれ込みました。家から電車とバスで20分ほどの、近くの病院でしたが、母も電車が動いておらず遅れて来たため、結果ちょうど良かったのですが。

手術着に着替えて、手術室まで歩いて行って、母と別れ、看護師さんから最後の説明を受けて、やけに小さく感じた手術台に乗って、マスクをつけると、麻酔というのはすごいもので、あっという間に意識がなくなりました。


目が覚めたと同時に、ものすごい下腹部の痛みと喉の渇きを感じました。喉が枯れて声が出ない。体が痛くて動かせない。付き添ってくれていた看護師さんが、いろいろサポートしてくれました。どの段階で水を飲んだのか覚えていませんが、割と早めに水は飲ませてくれた気がする。水を飲んでも喉の渇きが取れず、ちょっとでも体を動かすと激痛が走る。枕元のボタンを押すと鎮痛剤が点滴ですぐに入る、と教えてもらっていたので、痛くなるとすぐにボタンを押しました。とはいえずっと仰向けというのも辛いので、痛みに耐えながら足を倒す向きを変えたり、上体の向きを変えたりしていました。起きてすぐに、どばっと出血を感じたので看護師さんに伝えたけれど、大丈夫ですよということだったので、とりあえず放置。

午前中に手術が始まって、麻酔から目が覚めたのが夕方頃。眠いのか眠くないのか分からず、ぼんやりとした頭で、痛い痛いと思いながら寝たり起きたりを繰り返していました。

そういえば、手術が終わって目が覚めたら、弟も来てくれていて、心強かった、と感じたのを覚えています。ひたすら痛くてしんどそうな私しかいない病室で、母のことを構う余裕がなかったので。弟がいるから、私はもう自分のことだけでいいや、と思えました。


そんな感じで夜を迎え、また痛みで目が覚めて枕元のボタンを押すと、ピーピーと変な音が鳴るので、うごうごとナースコールをすると、もう点滴の麻酔はなくなったとのこと。それを聞いて、私はプチパニックに陥ります。こんなに痛いのに!とりあえず痛みを訴えても、強い痛み止めだからこれ以上投与できないとのことで、別の痛み止めをもらったのですが、あまりよくならない。日中ほぼ寝ていたので眠気もなく、暗い病室で、痛みと、ご婦人の大きないびきだけが聴こえてくる。眠れない。つらい。痛い。うるさい。気が狂いそうな頭の中で繰り返されるのはこの言葉だけになり、段々呼吸が苦しくなってきて、やばい、と思ってナースコールをしました。看護師さんがきた頃には、たぶん過呼吸状態になっていて、金切声とはこれか、と思うような声で、痛い、とだけ伝えて、先程とは違う痛み止めの座薬を打ってもらい、やっと落ち着いてきました。いびきのご婦人も私の悲鳴で目が覚めたようで、(申し訳ないけど全員起こしたようでした)しばらく静かにしてくれていたので、やっと落ち着いて、気づいた頃には眠っていました。

そんな感じで手術は無事終了。一年半くらい前のことなのに、意外と覚えているものだなぁと、自分でも感心しています。


そもそもこれは、子宮筋腫の手術を勧められた方や、手術を決めている方など、当時の私がそうであったように、不安でとにかく情報探してしまう…という方に、なんらかお伝えできることがあればと思い、記事にしているものです。

安心してと言われても不安は拭えない、どんなことが起こるのか、他の人はどうだったのか、暇があると調べてしまう、そんな方がこれを読んで、不安が増した、と思われるのでは…という気持ちもあります。でも、実際私は痛かったし辛かったので、テキトーに誤魔化してぼんやりしたことを書くより、こんな奴もいたんだという、1人の人間の体験談として、なるべく忠実に書き起こしておきたいなと思い、書いています。

不安が増長されたという方がいらしたら、本当に申し訳ないと思いますが、時間が経過して一層、私は手術をしてよかったと思っているので、何かのお力になることができていれば、幸いです。

次回はあまり間をおかずに、手術翌日以降の話を書こうと思います。

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