『女子大に散る』 第9話・蝶よ花よ
まだ遠慮と物怖じの抜けない四月末の一年生のうち、最初に話しかけてきたのはAさんIさんEさんだった。授業後ヒソヒソキャッキャしては、
「先生──」
春風に吹かれたようにちょっとの距離を駆けてきた。「アア女子大」と悶絶しかけつつ、憂鬱ぎみの顔面つくろい出席簿をつけるふりをしていた。
「はいはいはい」
「あのっ、わたしたち特待生になりたいんです」
「だから『秀』ください」
「なんだそれ!」
本末転倒の要求に思わず笑ってしまった。特待生は年間の成績優秀者から選出される若