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『女子大に散る』

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成熟まぎわの花々を活写しつつ条理なき「大学」を剔抉する連作短編集、各4000字程度・第一部として全10話。
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#自分

『女子大に散る』 第9話・蝶よ花よ

 まだ遠慮と物怖じの抜けない四月末の一年生のうち、最初に話しかけてきたのはAさんIさんEさんだった。授業後ヒソヒソキャッキャしては、 「先生──」  春風に吹かれたようにちょっとの距離を駆けてきた。「アア女子大」と悶絶しかけつつ、憂鬱ぎみの顔面つくろい出席簿をつけるふりをしていた。 「はいはいはい」 「あのっ、わたしたち特待生になりたいんです」 「だから『秀』ください」 「なんだそれ!」  本末転倒の要求に思わず笑ってしまった。特待生は年間の成績優秀者から選出される若